名作推理小説を大胆アレンジ! 鈴木勝吾、平野良らが19世紀末英国で高らかに歌い上げる!ミュージカル『憂国のモリアーティ』

2019年5月10日(金)にミュージカル『憂国のモリアーティ』が東京・天王洲 銀河劇場にて開幕した。集英社「ジャンプSQ.」で連載中の構成/竹内良輔、漫画/三好 輝による人気漫画を原作とした本作は、生演奏を交え、若手実力派俳優が多数出演する注目のミュージカルだ。

コミックス発行部数も累計100万部を突破した原作は、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」を原案に、ホームズ最大の宿敵であるモリアーティ教授の視点で再構築した物語となっている。脚本・演出は幅広い物語作りの技巧に定評がある劇団「InnocentSphere(イノセントスフィア)」の西森英行、音楽は多数の企業CMを手がけ、演奏家としても多くのアーティストの作品に参加している、ただすけが務める。

ストーリーは、上流階級の人間達に支配され、差別が蔓延している19世紀末の「大英帝国」を舞台に、階級制度による悪を取り除き、理想の国を作ろうとするモリアーティ三兄弟と、宿敵ホームズとの戦いを中心に描いている。

主人公のウィリアム・ジェームズ・モリアーティ(鈴木勝吾)は体制と時代に反旗を翻すために、ロンドンを犯罪都市へと陥れようと非凡な頭脳を持つ犯罪コンサルタントとして数々の完全犯罪を企てる。そのウィリアムを支えるアルバート(久保田秀敏)とルイス(山本一慶)。モリアーティ三兄弟の絆と、内に秘めた憂国の想いを鈴木、久保田、山本の3人が静かに熱く演じる。

ウィリアムによって計画される完全犯罪を手助けするのはモリアーティ家の使用人であるセバスチャン・モラン(井澤勇貴)とフレッド・ポーロック(赤澤遼太郎)の2人。変装を得意とするポーロックの存在はミステリー作品の趣をより高め、井澤と赤澤によるアクションシーンはダイナミックさとスピード感を本作にもたらしている。

モリアーティたちは上流階級の貴族でありながら、その貴族たちに支配される国を憂い、下層階級へ手をさしのべる情を持ちつつも非常な犯罪者たちとしても描かれており、鈴木らは、犯罪によって彼らの正義を目指すという非常に複雑なキャラクターを演じきっている。

そのモリアーティたちの宿敵となるシャーロック・ホームズ(平野良)は、コミカルで軽口を叩くという新たなるホームズ像となっている。演じる平野は軽妙洒脱な演技によってステージに笑いを添えて盛り上げる。そのホームズと共に事件に挑むのがジョン・H・ワトソン(鎌苅健太)。ワトソンは常識人としてホームズに振り回されながらも、平野と鎌苅によって名コンビぶりが発揮されている。

そして、バイオリンとピアノの生演奏を交え、バリエーション豊かで、難易度の高い数々のナンバーを力強く歌い上げるキャストたちによるミュージカルシーンは必聴・必見。メインテーマ「憂国のモリアーティ」を筆頭に、モリアーティたち5人による志と誓いを高らかに歌い上げる重厚なナンバーらが観客の心を揺さぶり、原作でも有名なホームズとワトソンの出会いを描く軽快なナンバーなどで楽しませてくれる。

名作推理小説を大胆にアレンジした物語とキャラクター像が、階級社会をテーマに時代背景と共にしっかりと作り込まれている本作。若手実力派俳優陣によって贈られる数々のミュージカルナンバーがミステリアスでダイナミックな物語と繊細な心理描写を彩り、原作漫画ファンだけでなく、コナン・ドイルの原作ファンでも存分に楽しめるミュージカルへと仕上がっている。

なお、ゲネプロ前の囲み会見には鈴木、平野、久保田、山本、鎌苅の5名が登壇し、挨拶や意気込みなどを語った。

鈴木勝吾(ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ役):
バイオリンとピアノによる生演奏で届けるということで、お芝居や音楽面にいろんなタスクがあって、今日まで稽古場でみんなで作り上げてきました。ぜひ本番でそれを余すことなく届けられたらいいなと思っており、カンパニーで勝負したいという思いがすごくあります。

平野良(シャーロック・ホームズ役):
ミュージカルなのでアンサンブルを含めて全員の熱量が届きやすいと思います。物語もそうですし、音楽性も素晴らしいので、そこをどう聴かせるかですね。個人的にはシャーロック・ホームズという人物を昔から憧れていたので、演じることに緊張とワクワクと、それにへっちゃら感があります(笑)。

久保田秀敏(アルバート・ジェームズ・モリアーティ役):
世界的にも有名な「シャーロック・ホームズ」を題材にした作品を敵役の目線で描いた新しい作り方をしていて、これは原作の「シャーロック・ホームズ」を知っている方にもまた新しい目線で観て頂けるんじゃないかと思っております。それを生演奏で、ミュージカルとして初上演しますので、お楽しみにしてください。

山本一慶(ルイス・ジェームズ・モリアーティ役):
原作自体に空気感があって、雰囲気が好きな作品です。謎解きもあるので、舞台化した時に緊迫感が途切れちゃいけないと役者として思わされます。そこが一番大変なんじゃないかなという作品でもあるので、そこに気合いを入れてみなさんにお届けできたらと思います。

鎌苅健太(ジョン・H・ワトソン役):
この原作の世界観とこの時代の美しさ、つらさ、醜さ、脆さという、いろんなものがミュージカルでやるということの挑戦で、みなさまにお届けできるように僕らはアンサンブルを含めて世界観を広げるようにやってきました。それをお届けできるように、これから大阪まで駆け抜けたいです。

【公演概要】
ミュージカル『憂国のモリアーティ』
公演日程・会場:
<東京>
5月10日(金)~19日(日) 天王洲 銀河劇場
<大阪>
5月25日(土)~26日(日) 柏原市民文化会館リビエールホール 大ホール
原作:構成/竹内良輔  漫画/三好 輝『憂国のモリアーティ』(集英社「ジャンプSQ.」連載中)
脚本・演出:西森英行
音楽:ただすけ
キャスト:
ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ :鈴木勝吾 シャーロック・ホームズ :平野良/
アルバート・ジェームズ・モリアーティ:久保田秀敏 ルイス・ジェームズ・モリアーティ:山本一慶 セバスチャン・モラン:井澤勇貴 フレッド・ポーロック:赤澤遼太郎/
ジョン・H・ワトソン:鎌苅健太/
ミス・ハドソン:七木奏音 ジョージ・レストレード:髙木俊/
レニー・ダブリン男爵:山岸拓生 ジェファーソン・ホープ:山﨑雅志 ブリッツ・エンダース伯爵:小南光司
安島萌 荒木栄人 伊地華鈴 大澤信児 貴嶋美愛 今野晶乃 佐々木駿也 下道純一 白崎誠也 堀部佑介 松谷嵐
舞台公式サイト: https://www.marv.jp/special/moriarty/
舞台公式twitter: @mu_moriarty   舞台公式Instagram:@mu_moriarty
©竹内良輔・三好 輝/集英社 ©ミュージカル『憂国のモリアーティ』プロジェクト
取材・文:櫻井宏充