2019年6月6日(木)に舞台『LOOSER〜失い続けてしまうアルバム〜』が東京・品川プリンスホテル ステラボールにて開幕した。本作は、2004年にTEAM NACSが初の歴史ものにして、初の東京進出を果たした作品。その不朽の名作を舞台で活躍する実力派若手俳優である崎山つばさ、鈴木裕樹、磯貝龍乎、木ノ本嶺浩、株元英彰（劇団プレステージ）の5人が結集して上演する。
幕末の新選組と長州藩との確執をテーマに、歴史に残らなかった者たちの大義を綴った本作。全ての役をたった5人で演じ分け、チョンマゲも本格的なチャンバラもない表現で、歴史の偉人を現代に生きる若者の姿に重ねた演出により、多くのファンの心を打った作品となっている。
主演を務める崎山は、過去にTEAM NACSの戸次重幸が演じたシゲ役を担当する。そして、大泉洋が演じた土方歳三役を鈴木、森崎博之が演じた近藤勇役を磯貝、音尾琢真が演じた沖田総司役を木ノ本、安田顕が演じた芹沢鴨を株元がそれぞれ務める。
物語は現代、ごく普通の30男であるシゲが新選組のドラマ撮影に参加しているところから始まる。シゲはある日怪しげな男からタイムトリップできるという薬を手に入れ、それを飲むことで動乱の幕末「新選組」の時代へと来てしまう。
シゲの目の前に現れた、新選組の筆頭局長である芹沢をはじめ、近藤、土方、沖田といった歴史上の英雄たち。彼らはルーズ（LOOSE）な日々を過ごしていた。しかし、時が経つにつれ、新選組と長州藩との争いは苛烈となり、シゲもまたその身を翻弄されていくことになる……。
15年前に平均年齢30歳だったTEAM NACSに挑む今作の5人も平均年齢が30歳。何かの縁と巡り合わせを感じさせる5人がTEAM NACSを尊敬しながらも、自分たちの『LOOSER』を突き詰めて作り上げることにより、当時から色あせない伝説的作品を現代によみがえらせるている。
演出はTEAM NACS SOLOPROJECTの演出も手がける福島三郎が担当。当時の上演にあったTEAM NACSのメンバーに対する当て書きによるギャグをそのままに、逆手に取って新たな笑いへとする演出はTEAM NACSのファンもなるほどと楽しめる作りとなっている。もちろん、ギャグや細かいセリフなどを現代に合わせるアレンジも施されており、オリジナルへの尊敬と魅力を感じさせるものとなっている。
見どころの大きなポイントとなるのは、全ての役を5人で演じ分けるというところだろう。新選組と長州藩ら浪士という物語の核となる役柄を中心に、コミカルなパロディキャラから破天荒なキャラクターまで幅広い役柄を1人が何役も兼ねる。
特に、新選組と長州藩ら浪士の間の早替えについては、新選組のトレードマークでもある羽織をリバーシブルにすることで実現している。しかも、舞台上で早替えを行うことが、演出面だけでなく、ストーリー的にもキーポイントなのが実に面白いものとなっている。
現代人の目を通して描かれ、たった5人の若者たちによって、舞台上に描かれる幕末の夢と誠。ルーズな日々を懐かしみながらも、止めることのできない時代に突き進む若者たちの熱きドラマが舞台上に繰り広げられる。
なお、ゲネプロ前の囲み会見には崎山ら5人が登壇し、挨拶を行った。
崎山つばさ：TEAM NACSさんが2004年に上演して15年の時を経て、現代で上演することはすごく意味のあることだと思います。そして、今回、初めてこの舞台を見る方もいらっしゃると思います。そういう人が混在する中で、一つの作品を観て、同じ時間に感動してもらえるような、そんな時間になったらいいなと思っております。ですので、気負いせずに、腹を抱えて笑うところは笑って、泣けるところは泣いて、自由に楽しんで頂ければと思います。
鈴木裕樹：もともとTEAM NACSさんの作品なので、TEAM NACSさんのファンの方も観に来てくださると思います。そういった方も、そうでない方もひっくるめて楽しんで頂ければと思って、ずっと稽古を重ねてきました。フラットな気持ちでとにかく楽しく観て頂ければなと思います。
磯貝龍乎：ストレートプレイとしてお芝居を見せる舞台となっていて、裸一貫で頑張るという舞台でございます。どうか僕たちの裸を観て下さい（笑）。
木ノ本嶺浩：時代が変わってまた幕末の熱い男たちの物語を演じるということに、巡り合わせを感じます。個人的にTEAM NACSさんのファンなので、ファンが舞台上にいるなと思われないようにしないといけないなと思っております（笑）。楽しく演劇をしていると、お客様も必ず楽しんで頂けると信じておりますので、とにかく我ら楽しんで演劇に打ち込んでおり、それをお届けできればと思います。
株元英彰：台本の面白さというのがすごくありますが、僕ら5人で稽古をやっていてその辺が未知数といういか、僕も想像できていないというか、お客さんが入って初めて完成するものがかなり大きいと思います。その辺を僕らも楽しみつつ、そのリアクションがとにかく楽しみだし、ワクワクが今から止まりません。お客様も楽しみにして頂いていると思いますが、僕らも楽しみにしていますので、ぜひ期待を胸に劇場に足を運んで頂ければなと思います。
【公演概要】
原作・脚本 森崎博之(TEAM NACS)
公演日程：
＜東京公演＞
6月6日(木)~9日(日) 品川プリンスホテル ステラボール
＜大阪公演＞
6月16日(日)森ノ宮ピロティホール
演出：福島三郎
出演：崎山つばさ (シゲ/他)
鈴木裕樹 (土方歳三/他)
磯貝龍乎 (近藤勇/他)
木ノ本嶺浩 (沖田総司/他)
株元英彰(劇団プレステージ) (芹沢鴨/他)
制作：ポリゴンマジック株式会社
主催：ポリゴンマジック株式会社 サンライズプロモーション大阪
公式HP：http://looser-stage.com
(C)「LOOSER〜失い続けてしまうアルバム〜」製作委員会
取材・文：櫻井宏充
