舞台「HERO」～2019夏～が2019年7月31日に開幕した。8月4日（日）まで、ヒューリックホール東京にて全7公演を上演する。
西条みつとしは、芸人活動を経て、放送作家、コント作家として多数のお笑い芸人の作家を務め、2012年より自身が主宰する劇団TAIYO MAGIC FILM等、多数の舞台の脚本・演出を務めており、また、脚本家として、ドラマ「下北沢ダイハード」「オー・マイ・ジャンプ～少年ジャンプが地球を救う～」、斎藤工初監督長編映画「blank13」など舞台・映像と幅広く活躍。「HERO」は、西条みつとし主宰の劇団TAIYO MAGICFILM旗揚げ公演で2012年に上演した作品2019年 夏 バージョンにリニューリアルして上演。
今回主演を務める廣瀬智紀は2012年の旗揚げ公演にも別役で参加しており、「7年を経た進化もお楽しみいただきたいです」と意気込む。出演者は、廣瀬智紀、北原里英、小松準弥、前島亜美、小早川俊輔、飛鳥凛、伊藤裕一、根本正勝、今立進（エレキコミック）といった舞台・映像と幅広く活躍をしている人気俳優陣が揃った。
物語は基本的に病室で繰り広げられる。飯塚広樹（廣瀬智紀）は足の怪我で入院している。ちょっと浮かない表情、子供の頃はHEROものが好きで活発だったのだが、今はどうにもならない感情を抱えて生きている。そこへ広樹の彼女・木崎浅美（北原里英）が見舞いにやってきた。それから程なくして妹の飯塚真菜（前島亜美）もやってくる。浅美の表情はどことなく暗め。実は広樹と浅美は２年間限定で付き合っており、その２年がまもなく訪れようとしていた。別れたくない浅美、そんな彼女の気持ちをくんで、真菜はある行動に出るのだが・・・・・それがちょっとした波乱を巻き起すことに。
入院中という状況、することがないので、いろいろと思いをめぐらせがちだ。広樹はそんな状況でネガティブな感情に囚われている。暗い過去、「すぎたことを考えてもしょうがない」とはいうものの、優しい性格の広樹はそこから抜け出せない。それが元で一歩踏み出せない。そんな彼とは対照的に同室になる共武（今立進）、腕に怪我をして入院することになったのだが、超前向きで広樹にいきなり彼女自慢、写真を見せびらかせたり、一人でも賑やかな男だ。そして共武の彼女・渡辺皐月（中村涼子）も負けず劣らずな超前向きキャラ。そして蝶ネクタイの共武の友達・穴川亮一（米千晴）も明るい性格、この３人が揃うと賑やかを通り越して騒々しいが、なんだか楽しそうだ。
すったもんだの展開、妹が依頼したレンタル人材代行派遣会社、ここのやり方は突拍子もなく、周囲の人々を巻き込んで・・・・・。
キャラクターの性格と位置づけがはっきりしていて、わかりやすく、畳み掛けるようにストーリーはスピーディに進んでいく。時々、いかにも、な戦隊HERO３人組も登場し、これが象徴的で広樹の思いを観客にわかりやすく伝えている。妹の企み、手法としては「ちょっと大げさな」というものであるが、それは兄とその彼女を応援したいという愛ある思い。その思いが周囲の人々に「伝染」、それがラストに向かって大きくうねっていく。もちろんバッドエンドにはならないが、ハラハラドキドキ、そして見るからに怪しすぎるキャラクターも登場し、笑いを誘う。主人公の廣瀬智紀、ラストの吹っ切れた表情が清々しく、それを取りかこみ、見守る人々のキャラクターは皆、優しさに溢れている。木崎浅美役の北原里英のちょっと抑えた演技がかえってキャラクターの心の揺れをそこはかとなく見せ、妹役の前島亜美はそれとは正反対の元気いっぱいな挙動でコントラストをつける。1時間40分ほどの１幕もの、怪しいキャラクターを演じる面々もしっかりと怪しさを出し、一瞬、観客も「?!」な瞬間があり、目が離せない。大層な物語ではないが、見終わった後に心が温かくなる。誰かを元気にしたい、幸せになって欲しい、そんな愛に満ちた作品であった。
＜作品紹介＞
人はHEROに憧れる。
超人的な能力でどんな困難にも立ち向かい、弱きものを助け、華々しく活躍するHERO。
ただ、多くの人は思い描いたHEROには成れず、あきらめたり時には必要以上に自分を貶めてしまったり・・・。
HEROに必要なものってなんだろう？
それは勇気。はじまりは勇気をもって一歩前にでること。
この物語は、誰かのささやかな一歩が誰かに大きな幸せをもたらすハートフルコメディ。
＜ストーリー＞
外科病棟病室に、主人公：飯塚広樹は入院していた。
HEROに憧れる素直で元気な少年だったが、今は思うように生きられていない。
そこへ、兄思いで活発な妹・飯塚真菜、広樹の彼女・木崎浅美がお見舞いにやって来る。
同じ病室には、何事にもポジティブな男、共武も入院している。
だが、お見舞いに来た浅美は、浮かない顔をしている。
なぜなら広樹と浅美は
2年間限定の恋愛
間もなくその2年を迎えようとしていた。
約束通り別れるつもりの広樹、別れたくない浅美。
浅美の思いを汲んで真菜は広樹の真意を探ろうと松島竜司が経営する
「レンタル人材代行派遣会社」へ依頼する。
「あらゆるお悩み、トラブル解決します 成功しなければ100万円贈呈」と豪語する
松島。広樹の真意を探るために選択した方法は
パターン３１作戦
しかし、
この作戦が物語に大混乱を起こし、誰も予測できない方向へ進んでいく・・・。
【公演概要】
「HERO」～2019 夏～
脚本・演出：西条みつとし
日程：2019年7月31日（水）～8月4日（日） 全7公演
劇場：ヒューリックホール東京
出演者 ：廣瀬智紀 北原里英 小松準弥 前島亜美 小早川俊輔／
小築舞衣 中村涼子 米千晴 小槙まこ 加藤玲大 後藤拓斗 咲良七海／
飛鳥凛 伊藤裕一 根本正勝 今立進(エレキコミック）
主催：株式会社メディアミックス・ジャパン／ぴあ株式会社
公式HP：https://www.mmj-pro.co.jp/hero2019/
取材・文：Hiromi Koh
