作品発表から四半世紀!舞台『魔術士オーフェン はぐれ旅』「我は放つ光の白刃!」(オーフェン)2020年1月アニメ放映も!

『魔術士オーフェン』は、秋田禎信原作の日本のライトノベル作品でイラストは草河遊也。漫画化やアニメ化、ドラマCD化といったメディアミックス展開も積極的に行われ、2019年、初舞台化となった。そして2020年1月には再びアニメ化(公式HP:http://ssorphen-anime.com/)、作品登場から四半世紀、長く愛されている作品である。11月公演も決定している(11月7日〜12日 六行会ホールにて)。
舞台が始まる前に紗幕にアニメ化の予告映像が流れ、これで客席は温まる。そして、始まる。
冒頭はアザリー(花奈澪)の悲劇的な出来事から。「見ないで!」と叫ぶアザリー。キリランシェロ(上堂地かんき)は飛ばされる。アザリーが獣に変貌していくところは映像と人間の芝居を融合して見せるが、ここは舞台技術の進歩を感じ、圧巻だ。そしてナレーション、作品世界を知らなくても、ここで解説が入るので、ご安心を。
それから場面が変わる。オーフェン(松本慎也)が寝ている。ハッと目覚めるとそこにはアザリーの姿はない。「だよな」とつぶやくオーフェン。オーフェンとマジク(奥井那我人)の掛け合い、アザリーの衝撃的な出来事から5年、大陸南西部の都市トトカンタで、オーフェンはもぐりの金貸しを営んでいた。そして、債務者の地人ボルカンが持ってきた儲け話に乗って、名家エバーラスティン家に行き、そこでなんと一本の古剣と異形の怪物を目にする。オーフェンは叫ぶ、「待ってくれ!」。

賑やかなオープニング、それから物語が動き出す。
ストーリーの基本は原作の「はぐれ旅」を軸にしてそこに「プレ編」を挿入させていく。「牙の塔」でも別格のチャイルドマン(冨森ジャスティン)教室、教師と生徒たち、幼さを残したキリランシェロ(上堂地かんき)、アザリーとは姉弟のような関係であることがわかる。アザリーに対して人一倍思い入れも強い様子だ。また、牙の塔の人々の性格などもここで語られる。そんなエピソードを交えながら物語はスピード感を持って進行していく。地人族のボルカン(西尾来人)とドーチン(中村悠希)のコンビは思わず笑ってしまうような軽妙さ、そしてエバーラスティン家のクリーオウ(天音みほ)、好奇心旺盛で興味本位でオーフェンの周りをちょこちょこ、詐欺で捕まったオーフェンらを金にものを言わせて牢屋から出す。そして彼女と一緒に行動するマジク、クリーオウより年下、一見、おとなしそうな感じだが、実は行動的だったりする。

個性的なキャラクターたちの関係、作品の世界観、アザリーの謎、チャイルドマンの思惑、それらが絡み合う。そして牙の塔ではエリートであったキリランシェロは離反、オーフェンを名乗ることになった経緯、彼なりの信条がある。アザリーへの思い入れ、情が深く、まっすぐなオーフェン、クリーオウやマジク、ボルカンとドーチン、オーフェンの近くにいるが、単なる好奇心を超えて、オーフェンの心意気に引き寄せられているようだ。バトルシーンはとにかく映像と効果音、照明でロン情感を出す。新宿村LIVEは小劇場、濃密な空間でのバトルは迫力。そしてラストは・・・・・衝撃な展開、果たしてオーフェンは?アザリーは本当のところはどうなってしまったのか?ラストのバトルは手に汗握る展開、「我は放つ光の白刃!」。

上演時間は約1時間45分、1幕もの。オーフェン演じる松本慎也は芝居巧者ぶりを発揮するだけでなく、アクションや殺陣もこなし、安定感のある演技で座長として舞台を引き締める。舞台セットはシンプル、映像はものすごく凝ったものではないが、作品世界にマッチしており、しかも過剰に使うことをせずに、むしろナチュラルさが際立っていた。作品が生まれてから四半世紀がすぎたが、色褪せないのは普遍的なテーマ性、友情、そしてナチュラルな感情とそれぞれの正義、作品に関わっている人々の思いが詰まっている。

ゲネプロ終了後に囲み会見があった。登壇したのはオーフェン役の松本慎也、クリーオウ役の天音みほ、マジク役の奥井那我人、アザリー役の花奈澪、チャイルドマン役の冨森ジャスティン。
まずは挨拶から
「この『魔術士オーフェン』は25年前に生まれた作品です。4半世紀の長きに渡って愛され続けてきた作品です。これが舞台化できるということと、来年の頭には再アニメ化、新シリーズが始まります。この節目の年にみんなでこの作品をやれたことを本当に幸せに思います。みんなで一丸となって楽しく動いて一生懸命作った作品です。ぜひ、たくさんの方に見ていただきたいと思います」(松本慎也)
「私も25歳で(笑)、生まれた年に刊行されたということで。愛される作品に自分がヒロインとして出演させていただけるということで、原作ファンの方にも愛される、舞台で初めてこのシリーズを知ってくださる方にも楽しんでもらえるようなクリーオウになれるように千秋楽まで頑張っていきたいと思います。そして11月もありますので、楽しみにしてもらえるような舞台にしていきます」(天音みほ)
「初日を迎えるのでドキドキした気持ちでいっぱいです。『魔術士オーフェン』初舞台化、原作ファンの方、アニメファンの方、初めての方もいらっしゃいますが、みなさんに楽しんでもらえるように。僕たちにしかできない、舞台でしかできない、『魔術士オーフェン』の魅力を楽しんでいただけるように、25周年、おめでとうございます!」(奥井那我人)
「11月の舞台とアニメ版の、まとめた初日と言っても過言ではないので!アニメ化も盛り上がっていければいいなと思っています。新宿をぶっ壊す勢いで、魔法で!新宿をぶっ壊したいと思います!」(花奈澪)
「もともとアニメやファンタジーの作品が大好きです。チャイルドマンは至らない先生ではありますが、僕自身は、いいメンバーが揃いましたのでやりやすいです。怪我なくいい作品にしたいです」(冨森ジャスティン)
見所については
「ファンの方々が一番気になったところがアザリーが化け物になってしまったが、一体どうするんだろうと、あとめちゃ魔法を使っているけど、それも25年前の演劇だったら、多分表現できなかったことが今は技術の力と優秀なスタッフさんのおかげで舞台上で魔術を出すことができますので、楽しみにしていただきたいと思います。舞台でしかできない表現、みんなの力で、あとはお客様の魔法というか、想像力でこの世界を完全にしていただけると思います」(松本慎也)
「舞台ならではの映像と一体化しているのが迫力もあってかっこいいので!自分はちょっとだけ殺陣も頑張って!」(天音みほ)
「みなさんがおっしゃった映像を使ったところです。あと台本の36ページですが(笑)、僕が一人で出てくるお芝居で自分自身でも殻を破ったシーンです」(奥井那我人)
「『プレ編』の牙の塔の過去のことがすごく描かれていて、牙の塔のキャラファンにはきていただきたいのと個人的にはいろいろな機微というか私とチャイルドの関係も見ていただければ」(花奈澪)
「あえてハードルをあげて行こうと!ラストに大注目です!ここね!完璧に!」(冨森ジャスティン)
最後にPR,
「25周年、愛されているだけあり、まずストーリーが面白く、キャラクターたちが魅力的で素敵なキャストのみんなで一つのものを作っていくのは楽しいです。劇場に足を運んでいただいて『魔術士オーフェン』のキャラクターたちが生き生きと動いている、生きている姿を楽しんでいただけたらと思います」(松本慎也)

<ストーリー>
キエサルヒマ大陸の魔術士養成機関の最高峰《牙の塔》。
15歳の少年キリランシェロは、そこで黒魔術士として将来を期待されていた。
しかし、実験室で義姉アザリーが怪物に変貌した日から、キリランシェロは名前と将来を捨て、オーフェン<孤児>となったー。
それから5年後。
大陸南西部の都市トトカンタで、オーフェンはもぐりの金貸しを営んでいた。
しかし、債務者の地人ボルカン持ってきた儲け話に乗って、名家エバーラスティン家を訪れた時、彼は偶然にも一本の古剣と異形の怪物を目にする。
それは、5年前のあの日に行方をくらませた「彼女」だった。
果たしてオーフェンは彼女を見つけ出し、元の姿に戻すことはできるのかー。

<キャスト>
オーフェン:松本慎也
クリーオウ:天音みほ
マジク:奥井那我人
ボルカン:西尾来人
ドーチン:中村悠希
キリランシェロ:上堂地かんき
フォルテ:小栗諒
コミクロン:佐藤友咲
ハーティア:佐川大樹
レティシャ:千歳ゆう
コルゴン:木村優良
マリアベル:桃咲まゆ
アザリー:花奈澪
チャイルドマン:冨森ジャスティン
アンサンブル:松田浩毅、樋口拓馬、小田峻平、飯原優、宮ノ尾美友
【公演概要】
『魔術士オーフェン はぐれ旅』
日程・場所:2019年8月15日〜8月18日 新宿村 LIVE
原作:秋田禎信『魔術士オーフェン はぐれ旅』(TO ブックス刊)
脚本:吉田武寛(LIPS*S/ILLUMINUS)
演出:松多壱岱
制作:style office、秋山良介(De-LIGHT)
制作協力:井川楊枝
プロデューサー:米田 基、小宮山薫
主催:舞台『魔術士オーフェン』製作委員会(style office/ILLUMINUS/ASSH)
公式HP:https://www.orphen-stage.com/
©秋田禎信/TO ブックス/舞台『魔術士オーフェン』製作委員会