辰巳雄大、高田翔、伊藤萌々香らが新海誠原作舞台に挑む! 舞台「雲のむこう、約束の場所」開幕

舞台『雲のむこう、約束の場所』が開幕した。本作は映画『君の名は。』で、今や世界から注目の新海誠による初長編アニメーション『雲のむこう、約束の場所』(2004年11月公開)の初舞台化作品。南北に分断されたもうひとつの日本を舞台に、若い男女の葛藤を中心とした2人の運命が描かれる。

 

出演は主人公・藤沢浩紀を辰巳雄大(ふぉ〜ゆ〜)、浩紀のクラスメイト白川拓也を高田翔(ジャニーズJr.)、ヒロイン役の沢渡佐由理役を伊藤萌々香(フェアリーズ)、さらに湖月わたる、松澤一之、浅野温子らが名を連ねる。

津軽海峡をはさみ日本が南北に分断された、もうひとつの世界——。引き裂かれた人々、占領されたエゾ(北海道)に高くそびえる謎の塔。対岸の国境の地、青森に住む2人の少年、浩紀と拓也は、ヴェラシーラと名付けた飛行機を自作し、2人の憧れの少女、佐由理と共に、塔まで飛ぼうと約束する。しかし、佐由理の突然の転校により、約束は果たされないまま時が過ぎる。やがて海峡間の摩擦は増大、塔の秘密が暴かれるにつれ、あの時の約束が一つの鍵となって、再び3人を結びつける。あるべき「未来」を取り戻すため、彼らの想いを乗せた飛行機は、約束の地へ飛ぶことができるのか——。

舞台上には巨大な白い飛行機<ヴェラシーラ>が置かれており、若者たちを結びつける象徴的存在であるその造形はインパクト抜群。さらに、曲線で構成された複数のスクリーンが場面転換に合わせて動き、そこに原作の美麗な映像が映し出される。その映像と舞台セットが一体となることで、新海ワールドの美しき世界が現実世界のステージ上に再現されていた。

第一幕では、辰巳の会見での言葉にあった“キラキラキュンキュン”した甘酸っぱい青春時代が辰巳と高田によって若々しく表現されている。その2人に憧れを抱かれる伊藤は繊細で透明感のある演技により観る者の心を奪う。第ニ幕となると、大人になった3人の関係に大きな変化が訪れ、青春時代の淡く切ない人間模様から一気にSF展開が加速し、物語が大きく進む。

若者3人を取り巻く大人たちには、青森アーミーカレッジの所長で塔を研究している富澤常子役に湖月、浩紀と拓也がアルバイトをしている製作所の社長・岡部智之役に松澤、南北分断で夫の岡部と生き別れてしまった阿知良芳江役に浅野という豪華な顔ぶれ。

その大人キャストが演じるキャラクターたちは原作から大きな変更が加わっている。富澤の性別は女性に変更され、同郷出身の先輩・岡部に思いを寄せる存在となっている。そして、阿知良は舞台版オリジナルのキャラクターとして登場。舞台版では分断された2つの国に暮らす大人の背景も描かれることで、物語により深みをもたらすと共に、ストーリー展開を分かりやすくしている。

初日公演を観劇した新海監督が「見事に愛らしく鮮烈な舞台として蘇らせていただけていて、心から感謝です」と語った本作。SF作品ではあるが、その根底には人間の、そして男女の情感と心の機微をしっかりと描く新海誠らしい原作を、しっかりとステージ上に表現した舞台となっている。

なお、ゲネプロ前の囲み会見には辰巳、高田、伊藤、湖月、松澤、浅野の6名が登壇し、挨拶を行った。

辰巳:浩紀の人生を今生きているなかで僕は31歳なんですけど、日本中どこを探してもこんなにキラキラキュンキュンしてる31歳はいないんじゃないかなと思います(笑)。ステージ上でキラキラキュンキュンさせて頂いています。原作の映像を映しながらお芝居をさせて頂くということで、この世界に入り込める作品になっています。そして、この舞台オリジナルのストーリー、生身の人間が演じるからこその熱さ、佐由理と浩紀の歌といった、この舞台でしか見られない作品になっています。

高田:稽古をやっていく中で、最終稽古がすごい熱量で本当に泣きそうになりました。これから本番なので泣くのはやめておこうと思っていましたが(笑)。今回は原作のファンの方も、初めて舞台を観られる方もどちらの方にも満足して頂けるような作品になってると思います。

伊藤:あっという間に初日を迎え、すごくソワソワしています。今日は1時間以上早く楽屋に入ってしまい、さらにソワソワしてます(笑)。短い時間ですが、沢渡佐由理として精一杯生きていきたいです。今日の本番も緊張はありますが、楽しんで演じていきたいなと思います。

湖月:私は松澤さんにひたすら思いを寄せ、浅野さんとのシーンでは浅野さんの素晴らしい演技に必死について行って頑張っていきたいと思っています。個人的にはラストシーンが大好きで、稽古場でも毎日特等席で涙を流していました。アニメーションの世界と舞台芸術の融合が素晴らしく、鳥肌が立ちました。ぜひ、みなさんにこの感動を味わって頂きたいです。

松澤:浅野さんと湖月さんに愛されるという美味しい役どころになっています(笑)。浅野さんと湖月さんは素敵な方たちばかりと共演されてきたと思いますが、その中じゃ僕は最低だと思います(笑)。だけど、「男は顔じゃないよ、心だよ」というところを見せたいと思います。

浅野:夫を慕って亡命してきた妻ですが、帰ってきたとたんに「えー!」となる展開が待ち受けています(笑)。そこで夫婦の愛情と女の友情が芽生えるという美しい形に大人たちも落ち着いていきます。若者たちのキュンキュンドキドキにどうやって対抗しようかと頑張ってきました。どうやって舞台の上でそのキュンキュンドキドキを盗むのか、今はそれだけを考えています(笑)。

 

【公演データ】

舞台「雲のむこう、約束の場所」

<東京公演>
日程: 2018年4月20日(金)~4月24日(火)
会場:東京国際フォーラム ホールC

<大阪公演>
日程:2018年5月2日(水)
会場:大阪府NHK大阪ホール

原作: 新海 誠「雲のむこう、約束の場所」
上演台本: モトイキ シゲキ
演出: 内藤裕子(演劇集団・円) 音楽: 鎌田雅人

出演:
辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)
高田 翔(ジャニーズJr.)
伊藤萌々香(フェアリーズ)
松澤一之
湖月わたる
浅野温子 ほか

主催・企画・製作:舞台「雲のむこう、約束の場所」製作実行委員会
(エイベックス・エンタテインメント/プロデュースNOTE/サンライズプロモーション東京)
協力: コミックス・ウェーブ・フィルム
制作協力: オレガ

公式ホームページ:http://www.kumonomukou-stage.com

文:櫻井宏允