藤田玲、栗原英雄、中村優一らが事件に挑む 舞台「私に会いに来て」犯人は?極限状況で見えてくるもの、そしてその顛末は?

軍事政権下で比較的治安のよかった1980年代後半に発生し、10人の犠牲者を出しながら未解決となった華城連続殺人事件を元にした戯曲の映画化作品「殺人の追憶」の初の舞台化。なお、実在の事件を題材にしているが、映画はあくまでフィクションである。そして舞台版も、もちろんフィクションである。
開演前は映像で仮面をかぶった人物が映し出されている。犯人がわかっていない、その不気味さをビジュアル的に見せる。仮面をかぶった女性がヴァイオリンを奏でる。その美しい音色が帰って不気味さを表現する。「大丈夫ですか?」の声、車椅子に男、キム・セゴン課長(栗原英雄)呼びかけに無反応。車椅子を押すのはパク・ヨンオク記者(兒玉遥)。場面変わり、大雨の音、男たちが次々と舞台に上がってくる。事件を追っている刑事たち、キム・インジュン刑事(藤田玲)、チョ・ナンホ刑事(中村優一)、そしてミスキム(西原瑞希)、教会をイメージする音楽、そしてタイトルロール。場面変わりくわえタバコのキム・インジュン刑事、パン・ヨンオク記者が勝手に写真をとっているのを見てフィルムを抜く。「写真撮っていいわけねえだろう!」と声を荒げる。

 

そこへ中年の刑事・キム・セゴン課長が赴任してくる。コーヒーの出前がやってくる。そこへ電話がかかってくる。犯人が捕まったという電話だった。チョ・ナンホ刑事が嬉しそうに登場する、「タマが捕まった」と、皆でパーティ、踊り始める。そして尋問シーン、きつく尋問するチョ・ナンホ刑事。彼は手荒な方法を取りたがる。記者のパク・ヨンオク、何かを嗅ぎ回っている。何かを盗んだり、不穏な動きを見せる。時折、コーヒーショップの (西原瑞希)がコーヒーの出前にやってくるが、それが一服の清涼剤のようだ。犯人が挙げられないなら新聞に書かれる。キム・インジュン刑事、チョ・ナンホ刑事、キム・セゴン課長が事件の詳細を振り返っている。基本的にはラブサスペンスであるが、登場する人間関係、キム・インジュン刑事とチョ・ナンホ刑事はそりが合わない様子。パク・ヨンオク記者とチョ・ナンホ刑事の関係性、キム刑事がきになるミスキム。彼らの心理状況を映像や音楽、照明で見せる。フードをかぶった不気味な男、客席通路を使っての表現。殺人が起こる、それも凄惨な方法で。捜査はすんなりといかない。

不気味な緊張感が漂うが、時折、ユーモアを孕んだシーンもある。追い詰められた彼らから透けて見えるもの、そんな状況でも恋愛、そこが人間のおかしさや愛おしさ。犯罪との戦い、その攻防の果てにあるものは・・・・・・?

ゲネプロ前に囲み会見があった。藤田玲、中村優一、兒玉遥、西葉瑞希(きゅい~ん’ズ)、グァンス(SUPERNOVA)、栗原英雄が登壇した。藤田玲は「たくさん体を動かす作品ではありませんが、脳みそがどんどんカロリーを消費しているのがわかりました。心や体にいい意味でストレスがかかる物語なので、お客様にも観劇しながらいろいろ考えていただけると思います。稽古で煮詰めてきたので、韓国の作品に恥じない日本バージョンをお届けできたら」とコメントした。西葉瑞希は「重たい内容の作品です。皆さんに観ていただきたいなと思って稽古を重ねてきました。ぜひいらしてください!」と語り、この6月にHKT48を卒業したばかりの兒玉遥は、「やってきたことを信じて本番に臨むのみ!自信あります!って、自己暗示をかけてます(笑)」と語ったが、なかなかの健闘を見せた。兒玉の印象を問われた栗原が、「すごく努力されていたので、ぜひ“コジマ”さんの姿を見てほしい」と真顔でコメント、兒玉遥はソッコーで「私、“コダマ”です!!(笑)」 と笑わせた。高校時代に本作と出会い「100回以上観た」と言うグァンスは「忘れられないほど大好きな作品の中で生きられることに、すごくワクワクしています。今回の出演は自分にとってターニングポイントになるのでは」と語ったが、複数役をこなし、演技派なところを見せた。中村優一は「(非常に)限られた公演数なので、ぜひ劇場へお越しください!」とコメント。また公演中に兒玉遥が誕生日を迎えるそうで、栗原英雄が「きっと誕生日プレゼントを用意しますよ! 藤田くんが(笑)」と!藤田玲は「僕ですか!? お願いしますよ、先輩!」といいつつ欲しいものを尋ねたところ、兒玉遥は「マグカップ」とコメント。藤田玲は「旅行のおみやげみたいなものでいいの!?」といいつつ「10個買ってあげます」とウケ狙い回答。
最後に、藤田玲が「ぜひ、僕たちに“会いに来て”ください!」と締めて会見は終了した。

【舞台「私に会いに来て」 概要】
タイトル:「私に会いに来て」
出演: 藤田 玲/中村優一 兒玉 遥 西葉瑞希 グァンス(SUPERNOVA)/栗原英雄 ほか
原作:キム・グァンリム
演出・映像:ヨリコ ジュン
上演台本訳: 後藤温子
日時・会場:
2019年9月13日(金)~16日(月祝)東京・新国立劇場 小劇場
2019年9月19日(木)・20日(金)大阪・サンケイホールブリーゼ
公式HP:https://www.watashiniainikite.com/
公式twitter:@wataai_St