ーー『ザ・空気』(2017)『ザ・空気 ver.2』(2018)と、観客が「今、日本で起きていること」をリアルに体感する話題作を立て続けに発表してきた永井愛が、一転、明治~大正期に発行された雑誌『青鞜』の編集部を舞台にした青春群像劇ーー
<若さあふれる女性たちが青鞜社で体験した豊かな時間を再現>
『青鞜』は、封建的な家制度が根強く残る時代に、女性たちの覚醒を目指して創刊されました。編集スタッフは十代~二十代の女性たち。若さあふれる彼女たちが人間らしく生きたいという切実な願いのもと、年齢・性別・立場の異なる様々な人々とスケールの大きな問題について議論をし、怒ったり笑ったりしながら過ごした密度の高い豊かな時間を舞台上に再現します。登場人物たちの輝かしい生命力や圧倒的なエネルギーを、今なお進学や就職で差別を受ける現代日本の女性はもちろん、社会の中で困難を抱えて生きる全ての人々にぜひ共有していただきたいと思います。
<『青鞜』編集部でキャラの濃い女性たちが放つ前向きなパワーを客席に>
『青鞜』は度々小説や舞台の題材として取り上げられてきましたが、本作の特徴は、これまであまり描かれることのなかった “編集部”の活動に焦点を当てたこと。「元始、女性は太陽であった」から始まる創刊の辞で有名な平塚らいてうや、彼女の後を継いで編集発行人となった伊藤野枝だけでなく、保持(やすもち)研(よし)や尾(お)竹(たけ)紅(こう)吉(きち)、山田わか、岩野(いわの)清(きよ)など、一般的にはほとんど知られていない女性たちも、編集部に出入りしていた重要なキャラクターとして登場します。様々な背景を持つ個性の強い女たちが入れ代わり立ち代わり現れ、普通の娘や主婦の立場で堂々と自分の意見を述べ、社会に対して主体的に発信する姿を通して、何かと“空気”を読み、言いたいことがあっても自己規制してしまう現代日本の私たちに、前向きなパワーを届けます。
<独自の視点で『青鞜』と平塚らいてうの謎に迫る>
1911年10月に創刊され、1916年2月に最終号を出した『青鞜』は、わずか4年半足らずの期間に多くの女性たちを引きつけてセンセーションを巻き起こし、やがて世間からの激しいバッシングを招きました。伊藤野枝に『青鞜』を譲るまでその中心にいた平塚らいてうは、妻子ある作家との心中未遂事件を起こした経歴の持ち主で、『青鞜』時代も、10代の社員・紅吉と同性愛的な関係になったり、「運命の人」と見定めた年下の男性に迷うことなくアプローチし、世間体など一切気にせず夫婦別姓の事実婚をつらぬいたりと、その行動が常に世間の注目や批判を浴びてきました。本作品では、何が『青鞜』をこれほどまでに特別な雑誌にしたのか、そして、クールな雰囲気を漂わせながらどこかミステリアスならいてうが、本当に目指していたものは何だったのかを独自の視点で探ります。
<ストーリー>
平塚らいてうを中心とする「新しい女たち」の手で編集・執筆され、女性の覚醒を目指した『青鞜』は、創刊当初は世の中から歓迎され、らいてうは「スター」のような存在となる。しかし、彼女たちが家父長制的な家制度に反抗し、男性と対等の権利を主張するようになると、逆風やバッシングが激しくなっていく。やがて編集部内部でも様々な軋轢が起こり――
<キャスト>
朝倉あき(平塚らいてう)☆映画『七つの会議』(ヒロイン)『かぐや姫の物語』(かぐや姫の声)、ドラマ『下町ロケット』、舞台『書く女』等。
藤野涼子(伊藤野枝)☆映画『ソロモンの偽証』(ヒロイン)、ドラマ『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』(ヒロイン)等。
大西礼芳(岩野清)☆ドラマ『ごめん、愛してる』、映画『嵐電』、舞台『民衆の敵』等。
夏子(尾竹紅吉)☆ドラマ『偽装不倫』、舞台『BACKBEAT』(ヒロイン)等。
富山えり子(保持研)☆ドラマ『ごめんね青春!』『海月姫』、映画『愛しのアイリーン』、舞台『るつぼ』『チャイメリカ』、等。
須藤蓮(奥村博)☆ドラマ『ワンダーウォール』『俺のスカート、どこ行った?』、映画『よこがお』等。
枝元萌(山田わか)☆ドラマ『わろてんか』、舞台『シングルマザーズ』『兄帰る』『私はだれでしょう』『北齋漫畫』等。
【東京公演概要】
日程・場所:2019年11月29日〜12月22日 東京芸術劇場 シアターウエスト
作・演出:永井 愛
美術:大田 創/照明:中川隆一/音響:市来邦比古/衣裳:竹原典子/ヘアメイク:清水美穂
演出助手:白坂恵都子/舞台監督:増田裕幸/票券:熊谷由子/制作協力:飯野千恵子
制作:安藤ゆか 弘 雅美
<ツアー日程>
11月24日(日) 埼玉/富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ
12月28日(土) 東京/亀戸文化センター カメリアホール
1月4日(土) 兵庫/兵庫県立芸術文化センター
1月8日(水) 長野/まつもと市民芸術館
1月10日(金) 三重/三重県総合文化センター 三重県文化会館
1月13日(月祝) 愛知/穂の国とよはし芸術劇場PLAT
1月18日(土) 滋賀/滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール
2月1日(土) 愛知/ウインクあいち
2月8日(土)・9日(日) 石川/能登演劇堂
公式HP:http://www.nitosha.net/nitosha43/