舞台版『PSYCHO-PASS サイコパス Chapter1―犯罪係数―』、正義と熱い思い、「理屈で考えるな、心を動かせ」(狡噛慎也)

『PSYCHO-PASS サイコパス』は、Production I.G制作による日本のオリジナルテレビアニメ作品、および、これを原作としたメディアミックス作品。
テレビシリーズはフジテレビ「ノイタミナ」にて放送され、2012年10月から2013年3月にかけてテレビアニメ第1期が放送されたのをはじめとし、2014年7月から9月に第1期の新編集版、同年10月から12月に第2期『PSYCHO-PASS サイコパス 2』が放送され、2019年10月からは第3期『PSYCHO-PASS サイコパス 3』が放送。
このほか、2015年1月には映画『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』が公開され、2019年には劇場版三部作として『PSYCHO-PASS サイコパス | SS (Sinners of the System)』が連続公開。
舞台としては、今年の2019年に本広克行演出で「舞台 PSYCHO-PASS サイコパスVirtue and Vice」が上演されている。

そして今回はアニメ第1期に沿ったストーリーである。前説(諸注意)は作品世界に合わせたイメージ、これだけでもテンションが上がるので、早めに着席したい。セットは無機質な感じで開演前からフードをかぶった人が6、7人登場してものを動かしたり。そして激しい風の音とともに始まる。最初に登場するのは狡噛慎也(久保田悠来)、舞台中央のセットが回る。視覚的にもダイナミック、後ろには映像、アニメのイメージを丁寧に踏襲している。新任監視官として公安局刑事課一係へ配属された常守朱(河内美里)。宜野座伸元(真田佑馬)から征陸智己(今村ねずみ)、縢秀星(橋本祥平)、六合塚弥生(立道梨緒奈)、狡噛慎也を紹介される。

一見、何も異常性もない彼らではあるが、犯罪係数を測定する銃[ドミネーター]を向けると、その数値は間違いなく潜在犯で合った。執行官の手によって逃走中の潜在犯は捕らえられるも朱のとっさの行動で狡噛慎也に傷を負わせてしまう。彼女の考え方に一部の執行官は反発するも、狡噛慎也は彼女の正義を認めた。それは彼の過去に関係が合った。3年前のこと、ある事件が起こるまで、彼は監視官の職についていたのだった。そんなおり、刑事課に新たな事件の一報が入る。名門女子校である私立桜霜学園の生徒が標本化された遺体となって発見された。狡噛慎也は3年前の事件との類似性を見つける。しかし、宜野座伸元の判断で外されてしまうのだった。常守朱は狡噛慎也からある男の名前を聞く。その名前は”マキシマ”。監視官だった狡噛慎也の部下だった佐々山光留(細貝 圭)の殺害事件に関与した男だと・・・・・・。

セットを動かすことによって疾走感をだし、また『風雲急を告げる』感も醸し出す。狡噛慎也は厳格でぶっきら棒だが、正義感がある男、犯人は自分自身の手で倒したい、だからこそストイック。そんなキャラクターを久保田悠来が熱演する。またアクションシーンでは迫力のある場面を見せてくれる。

 

この物語のキーマンである”マキシマ”、こと槙島聖護を演じる前山剛久、不気味な笑みをたたえて登場、期待を裏切らないキャラクター作りでアクセントに。そして、このカンパニーの最年長である征陸智己演じる今村ねずみ、剛と柔を使い分けた演技でさすがの貫禄。映像演出に照明、音楽、アニメを視聴していたファンなら脳内で名シーンが再現。そして常守朱、不器用だが天真爛漫で正義感が強い。初日から異例の対処をしてしまうも、様々な経験を経て成長していく。後半では「サイコパスって一体なんなんですか?」と言い、「なぜ、死ななくていい命が失われるのですか?」というところは胸が痛い。狡噛慎也は「理屈で考えるな、心を動かせ」と言う。この作品の世界観だけのことではなく、現代にも通じる言葉、キリキリとした展開の中にも哲学的な要素が詰まっている作品、また群像劇的な要素があり、人間模様もこの作品の重要なポイント。第1期のアニメ放送が2012年のこと。風刺、サスペンス、群像劇など多くの要素が詰まっている。多様なテーマ、キャラクター、息の長いコンテンツである。

なお、ゲネプロ前に囲み会見が行われた。登壇したのは、久保田悠来、真田佑馬、 河内美里、 橋本祥平、 愛加あゆ、 立道梨緒奈、 細貝圭、今村ねずみ、前山剛久。
まずは挨拶、意気込み。

「いよいよ今日、あいにくの天候ではありますが、サイコパスらしい始まりだなと。むしろ恵まれています。最高のキャストなので、『最高パス』です!(ダジャレにキャスト一同、大ウケ)」(久保田悠来)

「子供の頃から見ていた大好きな作品ですので出られることが幸せです。一生懸命演じさせていただきます。宜野座と誕生日と実年齢が一緒なので、もしも自分がこの時代に生きていたら、どう全うするのか、わかりませんが、そこも含めて楽しんでいただけたら」(真田佑馬)

「たくさんの方に愛される作品に関われて嬉しく思っています。皆さんを信じて、自分を信じて一生懸命、朱として駆け抜けたいです」(河内美里)

「いよいよ初日を迎えます。稽古中はいろんなことがありまして、三浦さんの演出は役のそこの底まで掘り下げて人間性を出していこうという作り方をしています。それがためになる稽古場でした。役としても葛藤して今日に至ります。無事にここにいる喜びを噛み締めて」(橋本祥平)

「ものすごい世界観でどういう舞台になるんだろうって思っていました。三浦さんの演出が面白く、想像のはるか上で!楽しく稽古しました。お客様の反応が楽しみです」(愛加あゆ)

「学生時代に見てました。嬉しく思っています。ここで描かれている世界観は安全な世界に見えて実は窮屈・・・・・よろしくお願いいたします」(立道梨緒奈)

「セット見ていただければわかりますが集中していないと・・・・・でも『サイコパス』という世界を表現できる舞台。長い公演なので怪我なく千秋楽まで駆け抜けられたら。」(細貝圭)

とっつぁん役です。ジェネレーションギャップを感じつつ若者と心と体を一つにして全うに生きていきたいです。みなさん、お楽しみに」(今村ねずみ)

「アニメ大好きで、しかも槇島が大好きで自分が演じられるのはとても光栄です。稽古を通して、演劇でやる意味というものをとても考えまして、生身の人間が演じるという意味を感じながら今日まで稽古を頑張ってきました。初日が『最高パス』になるように頑張りたいです」(前山剛久)

それから難しかったことは?と聞かれ
久保田悠来は「より人間味を・・・・・アニメの作品ですが、より人間の本質を出していくこと、それぞれの人生があることを噛み締めながらやっていく・・・・いろいろと話し合ったりしました。劇中にはないシーンもやってみながらも、少しづつ築き上げてきました。気持ちとか・・・・・」とコメント。群像劇的な要素もあり、それぞれの性格付けやバックボーンを考えながら演じることの難しさを語る。

また稽古中のエピソードについて久保田悠来は「稽古中に誕生日の方もいて・・・・いろいろお祝いしたり、誕生日ではない人も、お祝いして(笑)」とコメント。また「監修の虚淵 玄さんが最終稽古にいらして『こんなに面白いホンを書いた覚えはない』と言うことを(笑)・・・・・・最大の賛辞を・・・・・身にあまる光栄です」と久保田悠来。終始、和気藹々とした会見であった。

【公演概要】
日程・場所:2019年10月25日(金)~11月10日(日) 品川プリンスホテル ステラボール
脚本:亀田真二郎
演出:三浦 香
監修:虚淵 玄(ニトロプラス)
出演:
狡噛慎也役:久保田悠来

宜野座伸元役:真田佑馬
常守 朱役:河内美里
縢 秀星役:橋本祥平
唐之杜志恩役:愛加あゆ
六合塚弥生役:立道梨緒奈
チェ・グソン役:磯野 大
泉宮寺豊久役:大塚尚吾
王陵璃華子役:藤本結衣

佐々山光留役:細貝 圭

征陸智己 役:今村ねずみ

槙島聖護 役:前山剛久

主催:舞台版『PSYCHO-PASS サイコパス Chapter1―犯罪係数―』製作委員会

公式HP:https://pp-stage.com/#gallery
公式ツイッター:https://twitter.com/pp_butai

(C)サイコパス製作委員会
(C)舞台版『PSYCHO-PASS サイコパス Chapter1―犯罪係数―』 製作委員会