大人気シリーズ第四弾公演 舞台「信長の野望・大志 -零- 桶狭間前夜 ~兄弟相克編~」兄弟同士の骨肉の争い、果たして家臣たちは?どっちにつくか、はたまた・・・・・・。

シリーズ第1作の発売から約35年、今なお絶大な人気を誇る歴史シミュレーションゲームの金字塔「信長の野望」シリーズ。その最新タイトル『信長の野望・大志』を 2018年に舞台化。これまでに第一弾公演「信長の野望•大志 -春の陣- 天下布武 ~金泥の首編」、第二弾公演「信長の野望・大志 -冬の陣- 王道執行 ~騎虎の白塩編~」、第三弾「信長の野望•大志 夢幻 ~本能寺の変~」を上演。ゲームとい う特性上、何度もその世界をやり直せるかのごとく、本能寺の変を迎えた本作の第四弾公演「信長の野望・大志 -零- 桶狭間前夜 ~兄弟相克編~」は桶狭間へと時を戻す。

第四弾公演でも<SIDE織田信長><SIDE織田信行>とWサイドストーリーで構成される。前作までと 同様に、どちらの目線で物語が進むのかによって、全く違った裏側が見え隠れすることが特徴である。 その時自分は何を考えていたのか?相手にはどのように写っていたのか?など、様々な角度から物語を 楽しむことができるだろう。
公開されたのは<SIDE織田>。
まずは前回公演の復習から始まる。映像で名場面が大写しになり、ここでちょっと『思いだし』をする。観てない観客は『こんな感じだったのか』とここで把握。それから、始まる。織田信長と織田信行、兄と弟、この2人は仲が悪い。信行は信秀の三男として生まれ、信長はすぐ上の兄、母親は同じ、正室の土田御前であった。史実では父の信秀の生前から尾張国内に判物(公的文書の一種)を発給するなど一定の統治権を有しており、信秀の死後は末森城主となって兄の信長と尾張の支配権を巡って争い、信長にとって大きな脅威であった。一時は信長に代わって弾正忠家の当主を名乗り、それから稲生の戦いで敗北、その後、信長に謀殺された。信行は兄である信長に敵意を抱いていたとされており、また、父である信秀の葬儀の際には信長は仏前で抹香を投げつけるという不行跡を示したのに対し、信行は正装をして礼儀正しく振舞っていたとされており、この逸話はおおよそ事実と言われている。「信長の野望」はフィクションであるが、こういった史実を押さえておくとストーリーも面白い。信長SIDEのため、信長視点で描かれているが、ここでは信長は現代の記憶を持っている、という設定だ。それは前回も同じで、「本当はこうだったんだけど・・・・・ここでは・・・・・」という『IF』である。信長は弟によって窮地に立たされるが、現代の記憶を持っているがゆえにどういう足取りを歩むかということを知っている。

弟の信行も「私はこれから天下を狙います」と不敵な笑みを見せる。家臣たちは、それぞれにつく。画策する信行、そして彼にも・・・・・。現代の記憶があるなら、自分がこれからどうなるのかを知っているので、それが悲劇的な結末だったなら、回避しようと思ったり、自分が勝利するとわかっていたなら、それに向かって邁進もする。それが、この舞台「信長の野望」の面白さであるのだが、人間関係などは史実に沿っていたりする。そして兄弟同士の争い、今川義元はこれを『好機』と捉える。悲しい別れも経験する信長、しかし、そこから立ち直り、前を向く、信長は目覚める。『織田信長』であるためにはどうすればいいのか、どう考えればいいのか、内面が変化していく。そして桶狭間の戦いへと進んでいくのである。「天下を取るのは桶狭間の後だ!」と叫ぶ信長。だからここで自分は負けてはならない、
史実では天文21年8月、清須の織田大和守家は、弾正忠家との敵対姿勢を鮮明させ、信長は萱津の戦いで勝利し、これ以後、清須方との戦いが続くこととなる。

スピード感のある殺陣、アクション、綺麗な立ち回り、これだけでも十分に堪能できるが、人間ドラマ、家臣たちの苦悩、兄についた方がいいのか、弟についた方がいいのか、忠誠を誓いつつ、迷いもある。人間的な一面を見せる。また女性たちもまた、それぞれの思惑もあり、うごめく。織田信長演じる鶏冠井孝介は織田信長役が板についており、安定感もある。後半、自分が自分であるためにどうすべきか、に気がつき、ラスト近くはその信念をにじませながら、刀を持つ。弟の織田信行演じる沖野晃司は舞台「信長の野望」には初参加となる。不敵な笑みを浮かべ、兄に対する敵対心を見せつけ、信長との対比をはっきりさせる。田中れいな、今回も新曲があり。ここは聴かせどころ。

ラストは、もちろんそれなりの決着をみせるのだが、これを見てしまうともう一つの<SIDE信行>も見たくなる。2つみることによって「そうだったんだ」と思える発見があるようにしている、とのこと。楽曲も立派で交響曲のような感じの楽曲が効果的でスケール感を出す。凝った映像演出は特にはない。体を張った殺陣とアクションと芝居できっちりと見せる。そして恒例のカーテンコールも終わってからスクリーンにドドーーンと!次回公演のタイトルが出るので、終わったからといっても目が離せない。おっと!サブタイトルだけで!もわかる。次回も!絶対に見逃せない!

ゲネプロ前に会見が執り行われた。登壇したのは織田信長役:鶏冠井孝介、織田信行役:沖野晃司、お市役:田中れいな、今井宗久役:彦摩呂、 吉乃役:秋本帆華・弥役:咲良菜緒・帰蝶役:大黒柚姫・霞役:坂本遥奈[TEAM SHACHI]。

まずは挨拶
「みんなでできるのが楽しい、みんなで何かやるのは楽しい!」と鶏冠井孝介が挨拶。続いて沖野晃司が「初参加です。入ってみてみなさんの温かさが・・・・一生懸命作らなきゃ!兄弟同士の話で前回から戻るお話、今までのシリーズの大元になる話だと思います」と語ったが、ここで織田信長が『織田信長』として覚醒する。田中れいなは「お兄さん、信行兄さんが登場して・・・・お市の幼少期が描かれています。4作目ですが、幼い頃のお芝居もあるので、キャピキャピしている場面もあります」とコメント。彦摩呂は「今回は茶室から飛び出して逃げ回ります!宗久が走るところは見所です」と笑いをとった。秋本帆華は「兄弟の戦いですが。こちら側もバチバチ(と大黒柚姫をさす)、女の戦いも」とコメント。咲良菜緒は「信行様の正室です。緊張していたのですが、信行様が優しいので、信行様が勝てるように!」と健気な妻の愛を!大黒柚姫は「女同士の争いがあります。ひとつのストーリーを通しての気持ちの変化は難しさはありますが、頑張ります」と元気よく。坂本遥奈は「4人グループで出演するのが初めてで嬉しいです。霞は謎の女(笑)、殺陣がたくさんあるので!霞の殺陣を!」とアピール、アクロバット的な動きもあって健闘。
そして鶏冠井孝介が今回の作品について「前回公演では本能寺の変で生きながらえるシーンで、ここの最後で信行が!なぜか生きている、今日この理由が明かされます」と語る。また、沖野晃司も「兄弟の仲が悪いのは史実通りなんです。<SIDE信長>、<SIDE信行>両方見ていただいて『なるほどね』と・・・・・台本見て思いました(笑)」とコメント。彦摩呂も「兄弟喧嘩で大騒動!」とコメントしたが、家臣たちもどっちかにつく。世は戦国時代、天下が取れるかどうかのせめぎ合い、内紛してる余裕はない。当の兄弟で弟の信行演じる沖野晃司は「史実と違うところが見所」と語る。鶏冠井孝介は「信行は負ける、そこで殺されるのですが、それを変えるための戦い」とコメント。また沖野晃司は「素敵な座組で、素敵な座組でないとできない、一生懸命やるしかない!」と語り、田中れいなはいつも『ここ』という場面で歌うが「いいところで歌が出てきます!BGMみたいに歌うのですが(ここで鶏冠井孝介が『人が死ぬ時に歌ってる』と笑いを取りに)、音楽で人の気持ちを震わせるので・・・・・」と語り、また自身については「30歳ってことでお祝いしてもらいました!」と笑顔で。29歳の時も『信長』で過ごしました。30になって自分は変わらないのに周囲が変わって(笑)、『大台』とか言われました(笑)」と語ってくれた。
最後に「1ヶ月間稽古してきました。誰に観てもらっても恥ずかしくない作品です!ぜひ、劇場へ!」と締めて会見は終了した。

<キャスト>
織田信長 鶏冠井孝介
織田信行 沖野晃司

お市 田中れいな
吉乃(きつの) 秋本帆華(TEAM SHACHI)
弥(あまね) 咲良菜緒(TEAM SHACHI)
帰蝶 大黒柚姫(TEAM SHACHI)
霞(かすみ) 坂本遥奈(TEAM SHACHI)
<兄弟相克信長派>
池田恒興 馬場良馬
森可成 杉江優篤
佐々孫助 瑛(あきら)
河尻秀隆 三原大樹
前田利家 白柏寿大
丹羽長秀 中村ヒロユキ
<兄弟相克信行派>
滝川一益 小南光司
林秀貞 山本匠馬
柴田勝家 鵜飼主水
林通具  黒貴
角田新五 松村泰一郎
<今川家>
松平元康 竹石悟朗
朝比奈泰朝 神座慶
今川義元/足利義昭  加藤凛太郎
<その他の勢力>
松永久秀 南翔太
<現在(1582 年)編>
前田慶次郎 友常勇気
上杉謙信 根本正勝
本願寺顕如 吉田宗洋
お橋 笹木香利
お焦 荒澤守
今井宗久 彦摩呂

【公演概要】
公演名:舞台「信長の野望•大志 –零- 桶狭間前夜 ~兄弟相克編~」
日程:
<東京公演>2019 年 11 月 14 日(木)〜20 日(水)かめありリリオホール
<名古屋公演>2019 年 11 月 23 日(土)14:00 開演(信行) 19:00 開演(信長)名古屋特殊陶業市民会館
原作:コーエーテクモゲームス
脚本・演出:久保田唱 (企画演劇集団ボクラ団義)
企画:SANETTY Produce
主催:舞台「信長の野望•大志」製作委員会
共催:葛飾区文化施設指定管理者 後援:葛飾区/葛飾区教育委員会 協力:京成電鉄株式会社
主催:舞台「信長の野望・大志」製作委員会、CBC テレビ、キョードー東海
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取材・文:Hiromi Koh