大規模な装置・美術、 約200着の衣裳はすべてロシアの職人たちの手作り。 アーティストたちのこだわりのつまった新たな新作!
東京バレエ団 新制作「くるみ割り人形」
https://www.nbs.or.jp/stages/2019/nuts/index.html
今年で創立55周年をむかえる東京バレエ団。 3月の「海賊」全幕初演から 世界的振付家、 勅使川原三郎の新作世界初演やミラノ・スカラ座、 ウィーン国立歌劇場などの世界屈指のオペラハウスへの客演など、 精力的な活動を約1年にわたって続けてきた。 その集大成として上演するのが 「くるみ割り人形」 新制作だ。
都内の東京バレエ団のスタジオにてマスコミ向けの公開リハーサルと記者懇親会が開催。
当日のリハーサルキャストは、 川島麻実子 (マーシャ役)とNHKの「旅するフランス語」のレギュラー出演でもお馴染みの 柄本弾 (くるみ割り王子)。 斎藤友佳理 (東京バレエ団芸術監督)をはじめとする指導陣の見守る中、 2幕の冒頭から終幕のグラン・パ・ド・ドゥの手前までをほぼとおしてリハーサルは進められた。
「 これまでの振付を活かしつつ、 より物語がお客様に伝えられるように手を入れた 」という斎藤。 その言葉どおり、 2幕のディヴェルティスマン(物語の本筋には関係のない踊りの見せ場)が続く場面においても、 ただの踊りの連続ではなく、 川島(マーシャ)がダンサーたちに絡んでいくことで、 “この踊りが誰のために踊られているのか”ということが非常に明確に示されている。 “女優バレリーナ”と称された斎藤友佳理の経験が活かされた演出だ。
リハーサルに続いて開催された記者懇親会では、 「これまでの東京バレエ団のヴァージョンの良いところを残しつつ、 新しい『くるみ割り人形』を創っていくことがとても難しかった」と語る斎藤。 構成について悩んでいるとき、 家族のすすめで自宅のクリスマス・ツリーの中をのぞいてみたところ、 その美しさに心打たれ、 今回のコンセプトが決まったという。
演じるダンサーたちにとっては「新作を踊れるのは貴重な機会。 新版は前の版に比べて、 マーシャが物語の進行とともに成熟していく過程がより自然な気持ちで演じられる」(川島)。 「パ・ド・ドゥではかなり高度なテクニックにも挑戦している。 また、 王子もマーシャとともに成長していくことが踊っていて実感でき、 良い舞台になると感じている」(柄本)と確かな手応えをつかんでいるようだ。
ロシアの6か所の工房で製作された装置と衣裳も約7,500kmの道のりをこえて日本に到着 したとのことで、 新制作の舞台は確実に整いつつある。 東京バレエ団が今度はどのような新しい世界を魅せてくれるのか、 大いに期待したい。