2019年12月28日(土)~31 日(火)明治座にて、 「明治座の変 麒麟にの・る」(通称:る変(るへん))が開幕。
2011 年より、演劇製作会社る・ひまわりと創業140年を越える老舗大劇場の明治座がタッグを組み、歴史ものをテーマに上演を続けてきたシリーズの舞台。伝統ある商業演劇スタイルに則って第一部ではお芝居、そして第二部ではショーの2部構成となる。
第一部のお芝居では、忠臣蔵・源義経・阿弖流為、武田信玄など、 歴史的にも有名な人物や物語を題材に、史実に忠実ながらも「もしあの時こんなことがあったら…」という歴史の「もしも」 に着目し、斬新な解釈を取り入れた新しい歴史エンターテインメントを上演します。出演者は、小劇場・ミュージカル・映像など様々なジャンルから『つわもの』俳優たちが集結し、笑いあり、歌あり、踊りあり、涙ありの疾走感たっぷりの時代劇で、個性的なキャラクターたちが奔走。 そんな今年の第一部の演目は『麒麟にの・る』。日本の歴史上、最も有名にして最も謎が多いとされる“本能寺の 変”を、今まで見たことがないトンデモ設定の新たな物語として描き出す。主人公は、重大な秘密を抱えた明智光秀と織田信長。「明智光秀はなぜ織田信長を討ったのか?」“本能寺の変”最大の謎に迫る! そして第二部は、番外編「3.5 次元舞台~日本の歴史~」と題して、歴史上の人物たちがミュージカル、LIVE、恋愛シミュレーションゲーム、寸劇、ネタ見せなど多様なコンテンツ盛りだくさんでお届けする 60 分。俳優陣のシュール且つお茶目な一面をご堪能!
幕開き、空港の雑踏、アナウンス、そして緞帳が上がると、どこかの航空会社の人々、スチュワーデスっぽい人、パイロットぽい人、様々。
「ようこそ!明治座へ!」「Have a nice trip!」そして・・・・・客席から動物園の飼育員の田村さん(中村龍介)とキリン(加藤啓)がやってくる。ここで客席いじりをするのでいじられたら素直に応じよう。そして、ごく普通の格好をした若者が・・・・・彼の名前は竹中くん(井阪郁)、田村さんは竹中半兵衛の代役を探しているという。竹中くん、いまいちわかっているのかいないのか・・・・・科学を勉強しているという。そして・・・・・タイムスリップ!「おおおお〜」という間に3人(2人と1頭?)は日本の戦国時代に到着。場面変わって・・・・おっちゃん(粟根まこと)が紙芝居で麒麟の話をしている、ついでにロビーで販売の金平糖の宣伝も(笑)。おっちゃんはある兄弟の話を始める。
さて、先ほどの3人は1567年にタイムスリップ。この年は戦国時代でもドラスティックな出来事があった。稲葉山城の戦い、斎藤氏の居城・稲葉山城を、織田信長(安西慎太郎)が攻め取った攻城戦があった。織田信長は稲葉山城を岐阜城に改名して居城とし、本格的に天下統一を目指すようになる。また、講談などでは木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)(木ノ本嶺浩)が出世した戦としても有名だ。その他、あちこちで戦さがあり、まさに乱世と呼ぶにふさわしい。そんな史実を押さえておくと俄然面白くなる。
田村さんが竹中くんに時代や状況の説明をしていると木下秀吉や石田三成(谷戸亮太)といったおなじみの武将が現れ、格好が怪しすぎるので、竹中くんたちは刀を向けられてしまうが持参したロボット(某携帯ショップで見たことのある)を披露し、妙に気に入られてしまい、あるお方に合わせると言いだす。そのお方こそ!戦国時代の超有名人、織田信長、なんと!空からやってくる!しかも歌いながら!一定の上の世代なら懐かしい歌謡曲、歌詞の内容が織田信長にぴったり!妻の帰蝶(椿鬼奴)も登場(かなり派手ないでたち!)、秀吉は麒麟を捕まえるために竹中くんやロボットが利用できると考える・・・・・・。
史実を押さえつつ、そこから『もしもこうだったら面白いだろうな』という内容、ベースは『1567年』で合間に『1603年』のおっちゃんと徳川家康(内藤大希・原田優一(W キャスト))の説明が入る。つまり、ストーリーテラーのような役割となる。すったもんだの末、日本史最大の謎である「本能寺の変」へと進んでいく。本能寺の変は1582年、京都の本能寺に滞在していた織田信長を明智光秀(平野良)が謀反を起こして襲撃した事件として世に知られている。寝込みを襲われて包囲されたのを悟り、自害。大河ドラマなどでおなじみだ。そして織田家当主の信忠は妙覚寺から二条御新造に退き、戦うも力及ばずに自害。そして光秀が天下人となるもわずか11日後に羽柴秀吉に敗れ敗走の途中で命を落とした、とされている。だが、なぜ光秀が謀反を起こしたかについてははっきりとしない、よって多様な説が存在する。だからこそ!!!!このシリーズの『ネタ』としては格好の題材なのである。え???な関係、そして壮大な展開(そもそも竹中半兵衛が現代からタイムスリップしたところからして!)、セリフがちょこちょこと笑いをとる。挙動や発言もいちいちおかしく、笑っているうちに!衣装も!なかなかに魅せる。特に信長の衣装、南蛮かぶれ的な洋装、戦さではいち早く鉄砲を導入し、新しいものが大好き、南蛮の衣装もいち早く取り入れ、さしずめ『ファッションリーダー』とも言えるであろう。よってこの舞台で信長が着用している衣装は、あながち突拍子もないものではない。
また『第六天魔王』と呼ばれているが、自分で言ってるという説もあり、相当な変わり者であり、ある意味時代の先端を行った人物であったであろうことは想像にかたくない。この舞台では安西慎太郎が『俺様キャラ』でインパクトのある芝居で!平野良は飄々とした役創りで、これもまた舞台のアクセントに。また宣教師・ルイス・フロイス(日替わりゲスト)が登場するが、キリスト教の布教を目論んでおり、信長にとりいっていた。よってこの舞台でもうろちょろと信長にまとわりついている。史実をベースにところどころ『トンデモ解釈』が抱腹絶倒だったり、ちょっと涙だったり、明治座らしい大衆演劇的なエンターテイメントを盛り込んで、賑やかな2幕ものに仕立て上げている。そして、このシリーズでは、いわゆる『綺麗どころ』として凰稀かなめがお市の方として登場、艶やかな着物姿が印象的。そして椿鬼奴の帰蝶、通称『濃姫』、髪型はソバージュ、実際にはどういう女性かは不明だが、小説などでは気の強い女性として描かれていることが多く、ここでもかなり”濃い!”(濃姫だけに)。
出演者も多く、わちゃわちゃと舞台に登場、年末の明治座の公演としてすっかり定着、毎年年末はここで!という観客も多いことであろう。
そして芝居パートが終わり、休憩の後はお待ちかねのライブ!パターンとしては先ほど芝居に登場した歴史上の人物たちが、イケイケなライブを繰り広げるもの。今回は大流行の「2.5次元舞台」に対抗して「3.5次元舞台」、3次元と4次元の間らしいが(笑)、さてさて、何か飛び出すのかはお楽しみ。
<出演者コメント>
[平野良]
令和元年の締めくくりにこのお祭りに参加できて光栄です、6年ぶりですが、臆することなく、余すことなく楽しみたいと思います。一部のお芝居パートは例年とは一味違った空気感になっていると思います。笑える面白さ、物語自体の面白さがパープル模様を成していますので存分に体感していただければと思います。二部はとりあえず、ものすごいことになってますと言っておきます。ご期待あれ。
[安西慎太郎]
再び、明治座に立ち、平野良さんとともに座長を務めることができ幸せに思います。心境としましては、良い緊張感が流れ、ドキドキしています。今回も「面白い作品」を作るべくカンパニー一同一生懸命にやってきました。お客様から頂いた時間を誠心誠意、大切に扱わせていただきます。また、一味、いや、三味違う年末祭シリーズをお楽しみください。
<演出家コメント>
[原田優一]
2019年はみなさまにとってどんな年だったでしょうか。早くも年末を迎え、共に明治座で盛り上がって締めくくるに相応しいパフォーマンスになるべく準備をしております。観劇後に劇場を出るとき、新たな年を明るく迎えていただけるような、壮大でお馬鹿なスペクタクルになっていればと。”とんでも設定”に生きる人間模様にご注目ください。
<第一部 芝居『麒麟にの・る』 「この世に名君現るとき、麒麟もまた現る」>
時は戦国。 武将たちが天下統一を目指して戦を繰り広げた戦乱の世。 残虐非道な第六天魔王、織田信長は今日も今日とて戦に明け暮れていた。
一方。令和元年。 動物好きで歴史オタクの青年が、動物園で突然“きりん”に 突進される。 青年が気が付くとそこは―戦国時代だった。
何故か擬人化した“きりん”が言う。 「おめでとう。今日からお前は竹中半兵衛だ。」 更に“きりん”は言う。 「“きりん”は織田信長を探しています。あ!見つけた信長!」
話を聞かない“きりん”が再び突進した先にいたのは、 明智光秀と名乗る武将だった― 「何故、明智光秀は織田信長を討ったのか」
トンデモ設定で繰り広げる“本能寺の変”。
[登場人物]
明智光秀/平野良 織田信長/安西慎太郎
明智左馬之助/神永圭佑 木下秀吉/木ノ本嶺浩 浅井長政/大山真志
竹中半兵衛/井阪郁
荒木村重/松田岳
柴田勝家/小早川俊輔
森蘭/吉村駿作
森丸/土屋神葉
顕如/林剛史 石田三成/谷戸亮太 足利義昭/川隅美慎 佐久間信盛/二瓶拓也 明智煕子/井深克彦 飼育員田村さん/中村龍介
きりん/加藤啓 徳川家康/内藤大希・原田優一(W キャスト)
ルイス・フロイス/28 日昼:多和田任益 29 日昼夜:佐奈宏紀 30 日昼:永田聖一朗
31 日昼:山崎大輝
帰蝶/椿鬼奴
正親町天皇/辻本祐樹 おっちゃん/粟根まこと お市/凰稀かなめ(特別出演)
夜:佐藤貴史
夜:杉江大志、近藤頌利 夜:原田優一
<第二部 番外編「3.5 次元舞台~日本の歴史~」>
歴史上の人物たちが、ミュージカル、LIVE、恋愛シミュレーションゲーム、寸劇、ネタ見せなど
多様なコンテンツに挑戦する 60 分!
[3.5 次元とは]
(1)三次元と四次元の間
(2)あらゆる世界に乗っかろうとすること、その意志。
(3)祭シリーズを原作としたキャラクターによる、また別のお話の世界
(出典:るー辞苑)
◆総合司会:三上真史 ◆日替わりゲスト
28 日(土)昼:多和田任益 夜:佐藤貴史
29 日(日)昼夜:佐奈宏紀
30 日(月)昼:永田崇人、永田聖一朗 夜:杉江大志、近藤頌利 31 日(火)昼:山崎大輝 夜:内藤大希
【公演概要】
◆公演名:「明治座の変 麒麟にの・る」
第一部:芝居「麒麟にの・る」 第二部:番外編「3.5 次元舞台~日本の歴史~」
◆公演日程:2019 年 12 月 28 日(土)~31 日(火)明治座
◆演出:原田優一
◆脚本:赤澤ムック
◆出演: 平野良、安西慎太郎/ 神永圭佑、木ノ本嶺浩、/大山真志
井阪郁巳、松田岳、小早川俊輔、吉村駿作、土屋神葉/ 林剛史、谷戸亮太、川隅美慎、二瓶拓也、井深克彦、中村龍介/ 加藤啓、内藤大希(W キャスト)・原田優一(W キャスト)、椿鬼奴/ 辻本祐樹/粟根まこと/凰稀かなめ(特別出演)
URL☞ https://le-hen.jp
「麒麟にの・る」出演メンバー発表番組動画
URL☞ https://youtu.be/jEYBBdVpdcM