河合郁人:主演、ヒロイン:井上小百合、ミュージカル「天国の本屋」出会いと奇跡と運命が何かを変える。

断裁寸前からシリーズ100万部超えのベストセラーとなった話題の小説「天国の本屋」(原作:松久淳+田中渉≪天国の本屋≫新潮文庫刊)。 その後、舞台化(出演:谷原章介、小雪、ルー大柴、演出:中村龍史)、映画化(出演:竹内結子、玉山鉄二他)はもちろん、日本のみならず海外でも出版され、感動を生み続けている。そして、2020年1月、いよいよ初めてのミュージカル化の幕が開く。
主演のさとし役には、音楽活動のみならず、映像、舞台と活躍を続けるA.B.C-Zの河合郁人が決定。ヒロインのユイ役には、乃木坂46井上小百合が決定。そして、物語のキーとなるヤマキ役をブラザートム、その他のキャストとして、末次美沙緒、佐々木崇らミュージカル界で活躍する面々が名を連ねる。
脚本・作詞・演出は、ブロードウェイ・ミュージカルからオリジナル・ミュージカル、コンサート、大型スポーツイベント等、その活躍は多岐にわたる菅野こうめい。

 主人公であるさとし(河合郁人)は大学4年、就職活動の真っ最中だが、なんだかうまくいかない。面接もしどろもどろ。がっくし!そんな時にアロハシャツを着た怪しげなおっさんが!彼の名前はヤマキ(ブラザートム)、さとしに声をかけ、有無を言わさずに!彼を連れ去る。わけがわからないさとし、連れてこられたのは本屋さん。ところが、この本屋は普通じゃない!なんと「天国の本屋」だった・・・・・・。略して『HBS』(ヘヴンブックストアー)。

 説明されるもなかなか事態が飲み込めないさとし、無理からぬこと。ヤマキはここの店長で「バカンスにいく」といい、簡単にいえば「あとはよろしく!」という事態。そこには可愛い店員ユイ(井上小百合)。さとしと出会うが、これが運命の始まり。ところがユイはさとしに冷たい態度をとる。ユイはヤマキに半分切れかかった感じで言う「もしかして、何にもできない人を連れてきたの?」。出会いは最悪だ。

 そして天国・・・・・一見普通の本屋、そして天国の、つまり天国とこの世の”ぐるぐる”(簡単にいえば生まれて死んでまた生まれる)やら、寿命100年を解説するヤマキ。そして帰るに帰れないさとしは『短期バイト』として働くことになるのであった・・・・・・。
 本屋ではあるが、読み聞かせもする。やったことがないさとしであったが、なぜか好評で、さとしは次第に「自分は必要とされている」と感じ、生き生きと輝き始める。一方のユイは相変わらずなツンツンした態度をとるが、彼女も次第に変わり始める。そしてユイには大きな秘密と、また心に傷を負っており、それがトラウマになっていた。それが明らかになっていく。それはヤマキはもちろん知っていた・・・・・・。

 さとしが本屋にきたことによって周囲の人々も、そしてさとし本人も変わっていくが、その過程が温かい。ヤマキは一見いい加減な感じに見えるが、店長だけあってちゃんと皆を見守っている。そして店の凸凹コンビであるアズマ&ナガタが作品のアクセントになっており、これがなかなかの芸達者ぶりを見せる。本屋にくる客もセリフでしっかりとどんなバックボーンなのか、どんな人間関係なのかは特に語られることはないが、その動きで関係性がそこはかとなく見えてくる。菅野こうめいの多彩な楽曲、そしてミュージカル仕立てなのでダンス、歌が要所要所で入り、楽しく賑やかな印象も。ノンストップの2時間、見終わったあとは、本屋に行きたくなるかもしれない。やはり本には、いろんなことが詰まっている。劇中に登場する作品、これがストーリーに関わってくるのだが、その作品も実は泣ける物語。劇中朗読のシーンがなかなかに泣けてくる。心を閉ざしたユイが少しずつ心を開いていく、それ自体はいいことであるには違いないが・・・・・。

 河合郁人、最初は冴えない就活生、それが、自信がついて変わっていく様を好演。井上小百合、ツンツンしたところが意外なほど似合っており、それを後半の『落差』につなげていく。ブラザートムの人を食ったアロハおじさん、しかし、時折見せる真剣な眼差しが温かく好感が持てる。そしてアンサンブル陣のスキルの高さ、舞台を底から支えており、良い座組であった。
  ゲネプロの後に囲み会見が行われた。登壇したのは河合郁人(A.B.C-Z)、井上小百合(乃木坂46)、ブラザートム。ラストシーンで見せる白い衣装で登場。
 河合郁人は「準備万端で作り込んできました!安心です!」と自信をのぞかせた。井上小百合は稽古が年またぎだったことに触れて「クリスマスやお誕生日などいろんなイベントがありました」と稽古期間を振り返る。河合郁人は「いい作品になりそうだな〜」といい隣のブラザートムが「この2人が近づいていくいいシーンが・・・・・・これがなかなか近づかない(笑)、最終的にはプロの力で!」と笑いながら語ったが、恋愛部分の展開が奥ゆかしい作品、イマドキな『ど直球』な恋愛ではなく、どこか片思い的なところもある作品、それが、この「天国の本屋」という作品の特長的なところ。またミュージカル仕立て、「歌の力で入っていける!人生で一番歌った!」と河合郁人。彼が歌う場面はかなり多い。「ミュージカルってすげえな!」と続けてコメント。それに対して井上小百合も「ここまでのミュージカルは初めて!」と語る。ミュージカルを知り尽くしている菅野こうめい、構成はさすが。そんなこんなで河合郁人が重大な告白を・・・・・・「高所恐怖症なんです!」、2階に上がる場面もあり、ここから舞台、客席を見下ろす景色は・・・・・よくいえば「すごくよく見渡せる」が悪くいえば「よく見えすぎて足が震えそう」(筆者の想像)。この河合郁人のコメントに井上小百合が追い打ちをかけるように「(それ)感じる!」とコメント。どうも手すりに捕まっている手に力が入っているそうで(笑)、しかし、遠目で見る限りは、”高所恐怖症”に見えないところはプロ魂で!また河合郁人は「こういうラブストーリーって初めてかな?見られるのが恥ずかしい」とコメント。そして2020年の目標を聞かれて「お芝居を!俳優としての活動を!」(河合郁人)、「今までやってきたことを続けたい」(井上小百合)、「目標?成仏!!!!」(ブラザートム)。
 最後に河合郁人から「素敵な作品になっています!よろしくお願いいたします!ぜひ、劇場へ!」
東京公演は1月25日まで、大阪は1月末日から2月2日まで!

 

【公演概要】
タイトル: ミュージカル「天国の本屋」
出演:河合郁人(A.B.C-Z)/ 井上小百合(乃木坂46)/ ブラザートム
末次美沙緒 佐々木 崇 ほか
原作:松久淳+田中渉≪天国の本屋≫(新潮文庫刊)
脚本・作詞・演出:菅野こうめい
音楽:坂部剛
日時/会場:
東京:2020年1月17日(金)~1月25日(土)よみうり大手町ホール
大阪:2020年1月31日(金)~2月2日(日)サンケイホールブリーゼ
公式HP:https://www.tengokuno-honya.com
公式twitter:@Tengoku_Honya