ミュージカル「Code:Realize ~創世の姫君~」、愛と自分探しのアドベンチャー

ーーアルセーヌ・ルパン、訳あって貴女のハートを盗みに来ましたーー

オトメイトより発売された恋愛アドベンチャーゲーム「Code:Realize ~創世の姫君~」、アニメ化も好調、そして満を持してのミュージカル化である。

幕開き、中央にエルロック・ショルメ(君沢ユウキ)、ストーリーテラーでもある立ち位置、この物語の概略を説明する。「私はどこから来たのか?」ヒロイン、2年前までの記憶を失っており、また触れたものを溶解、腐敗させる猛毒を持っているがために『怪物』と言われ、心を閉ざしている。兵隊に取り囲まれるヒロイン・カルディア(長谷川愛)、「私はなぜ生まれたの?」と歌う。そこへ客席通路からルパン(良知真次)が登場する。高らかに笑い、カルディアを連れ出す、「訳あってハートを盗みにきた」と。スピード感あふれる展開、オープニングの歌と群舞、華やかな幕開きだ。原作もそうだが、カルディアの大いなる秘密、それは彼女自身もよくわからない。言ってみれば、自分探しのアドベンチャーだ。アイザックはカルディアの父、このストーリーのキーマンでもある。

基本、原作通りに進行するが、アニメよりも展開が早く、またところどころ、端折っているエピソード、キャラクターもあるが、それがかえって物語を凝縮させ、ぐっと観客に迫る。またカジノのシーンは明るく、ダンサンブルで、エンターテイメントな場面。「欲しいものは必ず手に入れる」と歌うルパン。また、ここで場を盛り上げるためにクラップを要請されるので、ここは楽しく参加したい。

 

カルディアの存在で、ルパン始め、彼の仲間たちは皆、彼女が好きになっていく。そんな周囲の反応に戸惑いながらも少しづつ心を開いていくカルディア。孤独だった彼女に変化が訪れる。しかし、彼女の持つ『特異能力』、基本、追われる身であることには間違いない。

 

少しずつカルディアの謎が明らかになっていくにつれて本人は絶望していく。そんな彼女にルパンは言う「俺の眼の前にいるのは普通の女の子だ」と。シンプルに本人だけを見つめるルパンは心優しい泥棒紳士。謎の人物、フィーニス(星元裕月)はカルディアを「姉さん」と呼ぶ。彼は一体・・・・・・。

 

 

少しずつ勇気を持ち始めるカルディア、それを温かく見守るルパンたち。吸血鬼ハンターのエイブラハム・ヴァン・ヘルシング(秋沢健太朗)、科学者のヴィクター・フランケンシュタイン(仲田博喜)、明るい発明家のインピー・バービケーン(鷲尾修斗)、サン・ジェルマン(滝澤諒)、彼らもまたカルディアに惹かれていく。「Code:Realize」の秘密、カルディアの真実、フィーニスの目的、それらがクライマックスへと突入していき、ラストへと連なる。

 

 

 

ルパン演じる良知真次、基本、かっこいいが、ちょっとキュートで自信家でノリの良いキャラクターを構築、カルディア演じる長谷川愛も後半は、ただか弱いだけでなく、眼の前にある危機に立ち向かっていく変化を熱く演じていたのが印象的。皆、ダンス巧者で、群舞のシーンでは、皆、負けじと踊る、踊る。セットもシンプルかつ象徴的。映像などのハイテクは一切使用せず、ひたすらマンパワーで魅せる。セットを動かすのは全てキャストが担う。これが、いかにも『セット動かしています』的ではなく、場面に溶け込んでいるので、違和感は感じない。布などを使い、基本、ローテクで架空のロンドンで起こる出来事を見せる。アンサンブルのダンススキルも高く、これぞミュージカルといった場面も多い。

 

 

ラストは愛を感じさせる。愛が凍った心を溶かし、あらゆるものを温かく包み込む。見終わった後は、心がほっとするような気分になる。

なおゲネプロ前に囲み会見があった。登壇したのはアルセーヌ・ルパン役:良知真次、カルディア役:長谷川愛、エイブラハム・ヴァン・ヘルシング役:秋沢健太朗、ヴィクター・フランケンシュタイン役:仲田博喜、インピー・バービケーン役:鷲尾修斗、サン・ジェルマン役:滝澤諒、フィーニス役:星元裕月、エルロック・ショルメ役:君沢ユウキ。

座長でもある良知真次は「今までの2.5次元ミュージカルと違うところがあります」と言い「映像は使っていません!人の力によって全てを表現しています」と語り「一人一人がアーティストです」と語り、自身の役については「自分で言うのもなんなんですが、すごくかっこいいです(笑)」とややテレ気味。そんな発言に他のキャストからチャチャが入る。長谷川愛は「すごくシンクロしています」と語るが、キャラクターがそこにいる感はなかなかのもの。君沢ユウキは「他の2.5次元ではやってないことをやってる」と胸を張る。「演劇に限りなく寄った!僕はストーリーテラーとして映像以上に!」と語った。滝澤諒は「すごく深い作品です・・・・・・それぞれのキャラクターがカルディアに対する愛を持っている」とコメント。鷲尾修斗は「明るいキャラクターなので盛り上げていきたい」と抱負を語ったが、常に元気いっぱいキャラクターを全力で演じていた。仲田博喜は「テーマは愛」と言い切る。秋沢健太朗は「個性が強いキャラクターばかりで」とコメントしたが、どのキャラクターにも見せ場があり、楽しい場面も多かった。

そして良知真次がここで重大発言、「なんと今年、芸能生活20周年です!」とコメント。そして「全ての引き出しを開けて、そこから掴めるものを」と発言、座長らしい言葉。またゲネプロ終了後の挨拶でも「皆様の宣伝が〜」と挨拶。公演日程がちょっと短めなのが残念。

 

【公演概要】
ミュージカル「Code:Realize ~創世の姫君~」

[東京公演]
期間:2018年5月17日(木)~20日(日)
会場:シアター1010
[大阪公演]
期間:2018年5月26日(土)~27日(日)
会場: 森ノ宮ピロティホール

[キャスト]
アルセーヌ・ルパン役:良知真次
カルディア役:長谷川愛
エイブラハム・ヴァン・ヘルシング役:秋沢健太朗
ヴィクター・フランケンシュタイン役:仲田博喜
インピー・バービケーン役:鷲尾修斗
サン・ジェルマン役:滝澤諒
フィーニス役:星元裕月
エルロック・ショルメ役:君沢ユウキ 他

演出:吉谷光太郎
脚本:浅井さやか
音楽:tak
振付:MAMORU
原作:オトメイト(アイディアファクトリー/デザインファクトリー)
原作協力:Code:Realize PROJECT
企画・プロデュース:4cu
制作:ポリゴンマジック
主催: MUSICAL Code:Realize PROJECT

©IF/DF ・ MUSICAL Code:Realize PROJECT

公式サイト;http://musical-coderealize.com/
公式Twitter: https://twitter.com/codereamu

文:Hiromi Koh