《特別コメント》朗読「蒲田行進曲完結編『銀ちゃんが逝く』」演出 岡村俊一

つかこうへいがこの世を去って10年。追悼公演である”つかこうへい演劇祭ー没後10年に祈る”、本演劇祭は、今年 1 月の新国立劇場『飛龍伝 2020』をオープニングに、7 月の公演でエンディングを迎える予定だった。 しかし、新型コロナウイルスの影響を受け、出演者、スタッフ、観客の安全を第一に考 慮した上で、演劇祭の制作の継続が困難であると判断し、形を変えて、朗読「蒲田行進曲完結編『銀ちゃんが逝く』」を7月に上演することになった。公演を取りやめるのではなく”朗読”という形での挑戦、演出の岡村俊一さんに改めてその経緯や思いを語っていただいた。

ーー通常の公演を中止し、新たな形態に挑戦することになった経緯をお願いいたします。

岡村コロナウイルスの感染防止対策のため、現時点で俳優同士だけではなく、スタッフも含め、6月中は通常の稽古場の進行が不可能となり、7月の劇場での上演も、通常の運営ができないため、キャストスタッフ、観客の安全を考えて、上演できるギリギリの方策を考えて新しい形態を選びました。

ーー現在(5月27日時点)で緊急事態宣言が解除されておりますが、解除についても率直な感想、考えをお願いします。

岡村緊急事態宣言が解除されても、一般的な感覚はまだ、コロナウイルスに関して敏感で、簡単に通常の公演の形には戻れないと思っています。野球やサッカーは無観客、そして何より学校が通常の形に戻れていない状況で、演劇だけが安全と言い切れる根拠はどこにも見つけられないと思います。

ーーお稽古には、まだ入ってはいらっしゃらないと思いますが、現時点での新しい手法での稽古の可能性についてお願いいたします。今までの稽古方法とは勝手も違ってくるとかと。不自由な点もあるかと思いますが、逆に新しい発見があるかもしれません。

岡村実際、今、台本づくりはリモートで行っています。6月の稽古場の状況を見て、リモートで読み合わせに入るか、集まって距離をとっての稽古にするかは現在検討中です。読み合わせはリモートでもできると思いますが、朗読といえども、少なくとも芝居の稽古となると、突き詰めるとリモートでは限界があると思うので。ただ、劇場でのガチンコ勝負みたいな芝居も、可能性としては、面白い結果を産み出す可能性はある、とも想像しています。

ーーキャストは味方良介さん、井上小百合さん、植田圭輔さんという布陣ですが、演出家から見た3人の役者としての魅力をお願いいたします。味方良介さんはつか作品には欠かせない俳優さん、井上小百合さんは「フラガール」で存在感を出していらして、植田圭輔さんは2.5次元舞台のみならず、色々と挑戦なさっています。

岡村味方くんは、現在最も俳優としての体力があり、パワープレイでは誰にも負けない。
井上さんは、繊細で優しい表現力があり、なにより覚えるのが抜群に早い。
植田くんは、感情の振れ幅が広く、状況を大きく受け止める力がある。

ーーつかこうへい作品への思い、思い出、そしてご自身の演劇に対する考えや思い入れをお願いいたします

岡村つかさんは、人間の苦しいことや辛いことを、明るく笑い飛ばすことが好きな人だったので「没後10年だと?なに暗いことやってんだよ!」と怒られるんじゃないかとびくびくしています。だから、つかさんは今、メキシコに金を掘りに行っているので、明日、ひょっこり「お、留守番ありがとな」と帰ってくるんじゃないか……と思うことにしています。

ーー舞台を待ち望んでいる、このコメントを読んでくださる方々、ファンに向けてメッセージをお願いいたします。

岡村没後10年とはいえ、まだまだ「つかこうへい」は現役です!暴力的で攻撃的で、それでも優しい日本の心を描き続けてくれています。まだの方は是非、劇場で体験してみてください。

ーーありがとうございました。無事に幕が開くのを祈念しております。

つかこうへい演劇祭ー没後 10 年に祈るー第三弾 蒲田行進曲完結編『銀ちゃんが逝く』 公演中止,つかこうへい没後 10 年 追悼イベント開催

<あらすじ>
「新撰組」の撮影が進む東映京都撮影所。 初の主演映画に意気込むスター俳優銀ちゃんが、子分の大部屋俳優ヤスに 自分の 恋人小夏を押しつけることから物語は始まる。小夏は妊娠しているのだ……。 ヤスは銀ちゃんに見せ場を作り、小夏のお産の費用を稼ぐために、 危険な「階段落ち」に挑戦する。 しかし、ヤスが命をかけて生まれた娘のルリ子は、不治の病に冒されていた。そし て小夏も、心の底からヤスを愛することはできなかった。 銀ちゃんは、自分の貧しく卑しい生まれの血のせいでルリ子が病気になってしまっ たのではないかと苦悩する……。
そして、新たな「新撰組」の撮影が始まる。 銀ちゃんは「俺の命と引き換えに娘の命を助けてくれないか」と祈る様な気持ちで 一世一代の「函館五稜郭の石階段落ち」に挑む。 果たして銀ちゃんの祈りは、娘の病に打ち勝てるのだろうか?

【つかこうへい没後10年 追悼イベント開催概要】
つかこうへい没後 10 年追悼イベント
朗読 蒲田行進曲完結編『銀ちゃんが逝く』
■作:つかこうへい
■演出:岡村俊一
■出演
倉岡銀四郎 …味方良介
小夏 …井上小百合
ヤス …植田圭輔
■ 東京・紀伊國屋ホール
■ お問い合わせ Mitt 03-6265-3201(平日 12:00~17:00)
■ HP: http://www.rup.co.jp/ ※今後の新型コロナウイルス感染拡大の状況により、イベント実施を含めて変更になる場合もございます。
また、イベント詳細・チケット販売等に関しては決定次第、公式サイト等にてお知らせいたします。
提携:紀伊國屋書店
制作:つかこうへい事務所
企画・製作:アール・ユー・ピー