鶏冠井孝介×小西成弥らが歴史を変える!舞台「信長の野望・大志-春の陣-天下布武~金泥の首編~」開幕

舞台「信長の野望・大志-春の陣-天下布武~金泥の首編~」が開幕した。本作は歴史シミュレーションゲームの元祖にして今なお伝説をつくり続ける「信長の野望」の初舞台化作品。2017年にコーエーテクモゲームスより発売された最新タイトル「信長の野望・大志」を原作とした完全連動舞台となっている。

 

出演は鶏冠井孝介(織田信長役)、小西成弥(浅井長政役)、田中れいな(お市役)、彦摩呂(今井宗久役)らが名を連ね、脚本・演出を久保田唱(企画演劇集団ボクラ団義)が務める。

 

今川義元を破り、美濃制覇を目指す織田信長。信長は北近江を支配する浅井長政に自らの妹お市を輿入れさせ、美濃支配の強化と京への路を開こうとする。その頃、木下秀吉に請われて信長のもとを訪れた竹中半兵衛は、信長に先の世の成り行きが見えるのではないかと疑問を投げかける。一方で、今井宗久はそんな信長の空気を長政にも感じるというのだった……

 

 

本作の注目すべき見どころの一つがWサイドストーリーと呼ばれるもの。公演回によって、織田家を中心とした<SIDE織田>と浅井家を中心とした<SIDE浅井>が上演され、多元視点の物語が展開する。その時、敵は何を考え、何をしていたのか。各SIDEで物語は成立しているが、一つの事件がそれぞれの立場でどのように見えているのか、共通のエピソードを通して各SIDEで異なる物語が進行する。

初日当日に行われたゲネプロでは<SIDE織田>が公開されたが、各SIDEで台本はもちろんのこと、演出、セット、照明、音響も違い、2つの作品が同時に進行しているようなイメージだという。

 

 

信長役の鶏冠井は多くの創作物でイメージが作られている信長に対して、先の世が見えるという点を踏まえて新たな信長像を作り上げ、戦国の世を駆け抜ける。。

 

長政役の小西は、信長の妹お市と婚姻することにより織田家と同盟を結びながらも、甘いマスクの下に野望を抱く一人の武将を熱演。ほぼ初めてという殺陣への挑戦でも、小西は迫力ある立ち回りを見せていた。信長の妹お市を演じる田中は政略結婚として浅井家に嫁いだことで、織田家との間で揺れ動く心情を表現。田中の美しく切ない歌唱シーンはゲームにはない舞台版ならではの魅力となっている。

 

物語の語り手として登場する今井宗久役の彦摩呂。軽妙な彦摩呂による関西弁の語りによって、複雑な時代背景を持つ物語にすんなりと入り込めることができる。ゲームのCG画面などをあえて用いずに表現される舞台版だが、濃密な人間模様によって、ゲームの外交シーンのような展開がよりドラマティックに描かれている。また、舞台を盛り上げる壮大で勇壮なBGMの数々の中には、ゲーム版BGMのアレンジも含まれており、ゲーム版のファンも心躍ることだろう。

 

正しい歴史を知っているという信長や他の武将たちの視点は、まさしくシミュレーション・ゲームの雄「信長の野望」のプレイヤー視点そのもの。木下秀吉、前田利家、徳川家康、明智光秀、井伊直虎などといった有名武将たちも登場し、正しき歴史とは違った物語が紡がれる。歴史のifが繰り広げられる物語はまさしく「信長の野望」の舞台化と感じられる。

さらに、随所に盛り込まれた殺陣による合戦シーンはさすが「信長の野望」の舞台化と言えるクオリティー。日本刀だけでなく、大太刀、槍も直槍や十文字槍などバリエーション豊富な武器を手にした武将たちの殺陣は迫力満点だ。その立ち回りだけでなく、殺陣のシーンで展開する熱き物語にもぜひ注目して欲しい。

 

そして、カーテンコールでは、2018年11月7日(水)から12日(月)に東京・シアター1010にて続編公開決定のサプライズ発表が行われた。続編の詳細は千秋楽にて発表が予定されている。戦国を生き抜いた数多の群雄の生き様をリアルに描き出す本作。新しい戦国エンターテインメントがついに劇場へと姿を現した。

 

なお、ゲネプロ後の囲み会見には鶏冠井、小西、田中、彦摩呂の4名が登壇し、挨拶を行った。

鶏冠井:見どころはやっぱりWサイドストーリーですね。<SIDE織田>と、<SIDE浅井>があって、別の作品じゃないかぐらい見た後の感想が違うと思うんです。どちらを見るだけでも楽しいんですけど、見比べてもらってより良い新しい発見もあればと思っています。みんながイメージする信長って、いろいろな作品でやられていると思うんですけど、今回は「信長の野望」としての信長なので、演出家の久保田さんと一緒に試行錯誤しながら、今までにない信長を作りたいという気持ちでやらせて頂きました。

彦摩呂:とにかく関西弁の商人という自分とかけ離れた役だったので役作りが大変でした。普段の食レポは短いコメントが喜ばれるんですが、舞台はたくさんしゃべらなきゃいけないので大変でした(笑)。若い方たちはセリフ覚えが早いうえにて、今回は僕以外の人がほぼ立ち回りがあって、若い人たちの才能に感激しております。役どころとしては、皆さんが客観的に見た時におさらいができたり、ちょっと予習ができたり、そういう話の役割を担えたらなと思っております。

田中 お市としては歌のシーンを皆さんに見て欲しいです。同じメロディーでも、最初に歌うのと、途中で歌うのと、最後に歌うのでは歌い方を変えたりしていて、そこに注目して欲しいです。私的にこの舞台の見どころは殺陣だと思っていて、すごい感動しています。リハとかではあまり気持ちを入れて見てないと思うんですけど、なのに涙が出そうになる殺陣のお芝居をみなさんがしています。

小西:今日は<SIDE織田>の初日ということで、信長はもちろんメインなんですけど、<SIDE浅井>は浅井がメインでやっていて、両SIDEから見ているストーリーなので、全く違ったものとなっています。<SIDE織田>を見た方が、<SIDE浅井>を見るとまた新たな発見があったりとか、裏ではこういう風なことが行われていたんだというところが分かるのが舞台「信長の野望」ならではのポイントだと思っています。

【公演概要】

舞台「信長の野望・大志-春の陣-天下布武~金泥の首編~」

2018年5月17日(木)〜5月28日(日)全16公演

CBGKシブゲキ!!

原作:コーエーテクモゲームス

脚本・演出:久保田唱 (企画演劇集団ボクラ団義)

出演:

織田信長 鶏冠井孝介

お市 田中れいな

明智光秀 谷佳樹

木下秀吉 後藤健流

前田利家 八巻貴紀

竹中半兵衛 黒貴

柴田勝家 鵜飼主水

佐久間信盛 岡田隆之介

蜂須賀小六 田中しげ美

森可成 七枝実

丹羽長秀 中村ヒロユキ

帰蝶 高宗歩未

瞼 香音有希

徳川家康 竹石悟朗

酒井忠次 大海将一郎

石川数正 石渡真修

ねね 大鳥れい

井伊直虎 緒月遠麻

浅井長政 小西成弥

八重の方 成瀬瑛美(SIDE浅井)/水城夢子(SIDE織田)

赤尾清綱 吉田宗洋

海北綱親 仲井真徹

遠藤直経 福場俊策

茶々 野口真緒

足利義昭 加藤凛太郎

お橋 笹木香利

お焦 荒澤守

朝倉義景 幸村吉也

糸 柴崎咲子

今井宗久 彦摩呂

公式サイト:http://www.nobunaga-stage.com

文:櫻井宏充