演劇配信「ひとりしばい」、最大限「NO!!3密」を意識した上で、「キャスト・スタッフらに活動の場を作りたい!」 「舞台に立つキャストの姿をお客様に観てもらいたい!」という想いから講談社とOffice ENDLESSの共同プロジェクトである。
「ひとりしばい」はタイトルの通り、キャスト1名による一人芝居。豪華な演出家とタッグを組み、完全オリジナルストーリー、稽古はオンラインミーティングアプリ「Zoom」なども活用し、観劇は配信課金システム「ファン⇄キャス」 会場は池袋に誕生したLIVEエンターテインメントの複合施設ビル「Mixalive TOKYO」(ミクサライブ東京)の「Hall Mixa」 を使用する。
「ひとりしばい vol.1 荒牧慶彦」、「ひとりしばい vol.2 小澤 廉」が好評のうちに終了、そして「ひとりしばい vol.3 北村 諒」、7月4日配信。
誰もいない客席に一人座る北村諒。独白する、「美しい明かり、舞台・・・・・」、そして「始まろうとしている、でも始まらない」と言う。「だって、ここには壁があるから」と・・・・・リアルにセットとしての壁は出てこない。
現在の世界、日本だけでなく、他の国々でも劇場の扉はしまったままだ。そんなことをふと思う。だから、この演劇配信がある、という現実。虚と実、真実と嘘、そこにいるのは役者・北村諒であり、彼は虚構の人物を演じる、いや基本的に演劇にしろ、映画にしろ、現実に存在するのは役者で、演じているキャラクターは”虚”であり、描かれている世界も、史実に基づいている、いないに関わらず、”虚”であるが、それは時に”真”を映し出す。そしてPCの画面でリアルタイムに観ている、すなわち映像である。しかし、リアルタイムに観ているせいなのか、映し出されている映像には、まさしく舞台があり、客席(誰もいないが)があり、明かりもある。音響もリアルな舞台と同じ、音楽も聞こえてくるし、映像演出もある。映画や映像を観ている感覚よりも、劇場に自分がいるかのような気分になるのは、不思議な感触だ。
そして、紡ぎ出される物語も虚実混沌としたもの、第二次世界大戦、ドイツ・・・・・ここまでいえばおのずとわかるであろう、その”戦後”、ドイツは東西に分断される。彼が演じる登場人物は1929年生まれ、多感な少年期=ナチスドイツの戦時下、宣伝相のヨーゼフ・ゲッベルスに憧れを抱く。その少年の物語、寓話性もあり、引き込まれていく。そして戦争が終わり少年は大人になる。どこかにありそうな、ないような話。しかし、時々、”ハッと”する瞬間・セリフがある。時折舞台後方に映し出される資料映像、この映像は事実を映し出している。歴史が証明しているように”壁”は崩壊する。
混沌とした現在、それを芝居の中に、物語の中に忍び込ませ、時々、それを観ている視聴者に見せる。そして時折「嘘です」と舌を出す、このシニカルさ。約1時間の上演時間に何を感じるか、何を考えさせるか、どう解釈するかは視聴者に委ねられる部分が大きい。そこに今、この時期に上演することの意義と意味、既存の戯曲でもなく、漫画などの原作ものではなく、あくまでもオリジナル。作・演出を担う人間とそれを演じる人間の強力なタッグと、そして今、これをこの形でやる、という主催者の志、考え。それが、1時間の中に凝縮されている。
「ひとりしばい」、3回続けての上演、様々な意味において、ちょっと先の未来、あるいはもう少し先の未来への道筋を図らずも見せているのかもしれない。
<アーカイブ配信、舞台写真販売決定!>
[アーカイブ配信販]
「vol.1荒牧慶彦」チケット販売開始:6月27日(土)20:00~/視聴期間:6月29日(月) 12:00 ~7月6日(月)23:59
「vol.2小澤廉」チケット販売開始:6月28日(日)20:00~/視聴期間:6月29日(月)12:00~7月6日(月)23:59
「vol.3北村諒」チケット販売開始:7月4日(土)20:00~/視聴期間:7月5日(日)12:00~7月12日(日)23:59
[舞台写真販売]
各出演者3枚組 A/Bセット(各600円)
「vol.1荒牧慶彦」「vol.2小澤廉」は7月3日(金)12:00~より 「vol.3北村諒」は7月10日(金)12:00~より
Office ENDLESSのオンラインショップ(https://officeendlessshop.stores.jp/)にて販売開始
<概要>
【タイトル】ひとりしばい vol.1 荒牧慶彦
【公演日程】2020年6月27日(土)17:00~
【出演】荒牧慶彦
【作・演出】岡本貴也
【タイトル】ひとりしばい vol.2 小澤 廉
【公演日程】2020年6月28日(日)17:00~
【出演】小澤 廉
【作・演出】川本 成
【タイトル】ひとりしばい vol.3 北村 諒
【公演日程】2020年7月4日(土)17:00~
【出演】北村 諒
【作・演出】西田大輔
【会場】Zoom
【チケット料金】各回3,000円(税込)
【主催】舞台「ひとりしばい」製作委員会
【企画・制作】講談社/Office ENDLESS
【公式HP】http://officeendless.com/sp/hitorishibai
【公式ツイッター】 @hitoshiba2020 ハッシュタグ「#ひとしば」
(C)舞台「ひとりしばい」製作委員会
取材・文:高 浩美