ミュージカル『Romale(ロマーレ)~ロマを生き抜いた女 カルメン~』制作発表会

 オペラ「カルメン」、世界的に有名な作品であるが、原作は意外と知られていない。このミュージカル「ロマーレ」はカルメンの物語であるには違いないが、副題は“ロマを生き抜いた女カルメン”、オペラではホセとの破滅的な愛が強調されているが、この作品ではオペラでは描かれていない部分に焦点を当てる。

 会見の場所は新宿のスペイン料理が楽しめてアジアで唯一、本場スペインから来るフラメンコアーティストのショーが行われる店、タブラオ・フラメンコ・ガルロチ。

 会見が始まる前に、劇中の曲を2曲、まず最初は「流浪の民」、モノローグから始まる、“民族の誇りを胸にロマとして生き……”と語る。それから男性陣の力強いコーラス、それから花總(はなふさ)まりの歌唱、パワーとほとばしる感情が全面に出た楽曲だ。それから、次は「すれちがう心」、カルメンとホセのデュエット、「あんたのために遠ざかる」と歌うカルメン、「明日もない絶望」と歌うホセ、掛け合いのように歌い、それから二重唱になっていくが、ここは聴かせどころ。

 

 歌が終わり、改めて花總まり、松下優也、伊礼彼方、KENTARO、太田基裕、福井晶一、団時朗、そして演出の謝珠栄が登壇して会見はスタートした。

 まずは梅田芸術劇場の木村社長から挨拶、「これまでのカルメンとは違う姿」と作品解説。次に演出の謝珠栄の挨拶「カルメンの影の部分に興味を持ちまして、今回は脚本を高橋知伽江さんにお願いしました」と語り、「女性としてのカルメンが観たかった」とコメント。宝塚歌劇団で1999年に上演した「激情」ではホセの気持ちについて描いたそう。そして「寝ても覚めてもカルメンばかり(笑)。どういう風に仕上がるか楽しみに待っててください」と意気込む。花總まりは宝塚歌劇団在籍中に「激情」でカルメンを演じているので、これで2度目。謝珠栄については「カルメンを知り尽くしている」と語り、「創るのが楽しみです」と挨拶。松下優也は「歌い終わってホッとしています」と率直な感想。「稽古1日目から先生がとばして、とばして稽古が進んでます……素晴らしい役を演じさせて頂きます、謝先生と花總さんの力を借りて!」とやや緊張気味。伊礼彼方、演じるはスニーガ、騎兵隊の中尉、ホセの上司にあたる役である。「初めて髭をはやしましたが、毛が薄いので書き足しました」と笑いを誘う。さらに「どスケベな役です。少し若ければホセ、36です、年男です(笑)ヒーローからヒールにシフトチェンジ、力になれれば!生理的嫌悪感を感じていただけるような役にしたいです」とさらに笑わせた。ガルシアを演じるKENTAROは「ヒーローはやったことがありません、根っからの悪役です」と笑いを取りに。さらに「どこまでロマの一族として生きるか、大ボスなのでボス感満載で!」と抱負を語る。太田基裕はカルメンに翻弄される貴族・ローレンス役。「素晴らしい先輩に囲まれて!」と語り、MCの中井美穂から白とゴールドの衣裳について聞かれ「ちょっと恥ずかしいです」とテレ気味。福井晶一は学者・ジャン役。「念願の謝先生の作品に初参加!楽しみにしています。社会人類学を専攻する学者ですが、謝先生から見たカルメンを代弁する役かな?」と語り、謝については「情熱ですね!」とコメント。団時朗は謎の老人役。役については「50年前のホセを知る人物」と言う。どんな人物なのかは観てのお楽しみ、といったところ。

 

 それから質疑応答、観どころに関しては花總まり、松下優也は「全部です!」と胸を張る。伊礼彼方は「とても素晴らしい曲です」とコメント、KENTAROは「ガルシアはロマとして生きる象徴的な存在になると思います。何故、ロマとして生きていかなければならなかったのかというところ。曲も情熱的で背中を押される感じです」と役について語ってくれた。太田基裕は「カルメンに翻弄される男の1人で、その姿を」と語り、福井晶一は「50年後から物語は始まります」と言い「カルメンの秘密を暴くキーパーソンで舞台と客席をつなぐ役です」と解説。団時朗は「言っちゃいけないところがあるので楽しみにしててください」と笑う。

 またキャストから見た謝珠栄の印象は「カラッとしている。自分中心に動かしていくところ。パワフル!」(花總まり)、「親近感めちゃめちゃ感じます!席が隣りなんですが『おかき食べる~?』って(笑)。熱量とスピード感、僕はスロースターターので(稽古に)ついていけるように」(松下優也)、「『好きにやりぃ~』と言ってて「『ちゃうねん、ちゃうねん』と。音楽とホンを同じ進行で直していく、高みを目指している」(伊礼彼方)、「パッションとインスピレーション」(KENTARO)、「迫力がすさまじくって、凄い立体感で“バー”と……びっくり。作品に対する愛情を凄く感じます」(太田基裕)、「(稽古に入ってないので)あ~そうなんだ」(福井晶一)、「大阪で美味しいもの食べにいくのが(笑)」(団時朗)と語る。

 それからフォトセッション、実は一般の観客も入れての会見で、まずは観客の方々のためのフォトセッションが行われ、それからマスコミ向けのフォトセッション。その後は花總まり、松下優也の囲み取材タイム、まずは「ホセは恐れ多い役です」と語る。知らない人はいないくらいの有名なキャラクター、オペラでは錚々たる大オペラ歌手が演じる役。また花總まりについては「謎な部分が多い」と言い、そばで花總まりが笑う。それを受けて花總まりも「まだ、わからなくって(笑)」と言い「芝居でちょっと目を見ても直視出来ない自分がいて」と笑う。またカンパニーについては「皆さん個性的でフレンドリーですんなりチームワークが出来ている」と言う。松下優也は「男ばかりなので~女性が多いとどうしていいかわからない」と笑う。

 

 最後に「熱量を持って演じます」(松下優也)、「キャスト一丸となってロマの世界をお届けします」(花總まり)と締めて会見は終了した。

 

【公演データ】

ミュージカル『Romale(ロマーレ)~ロマを生き抜いた女 カルメン~』

演出・振付:謝珠栄

台本・作詞:高橋知伽江

原作:小手伸也

音楽監督・作曲:玉麻尚一

作曲:斉藤恒芳

 

出演:

花總まり/松下優也/伊礼彼方/KENTARO/太田基裕/福井晶一/団時朗

一洸/神谷直樹/千田真司/中塚皓平/宮垣祐也

 

<東京公演>

会場:東京芸術劇場 プレイハウス

日程:2018/3/23(金)~2018/4/8(日)

アフタートークショー

・3月29日(木))13:30公演終了後 登壇者/花總まり 松下優也

・3月30日(金)13:30公演終了後 登壇者/松下優也 伊礼彼方 KENTARO 太田基裕

 

<大阪公演>

会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

日時:2018/4/11(水)~2018/4/21(土)

アフタートークショー

・4月12日(木)13:00公演終了後 登壇者/松下優也 伊礼彼方 KENTARO 太田基裕

・4月13日(金)13:00公演終了後 登壇者/花總まり 松下優也

 

公式サイト:http://www.umegei.com/schedule/666

文:Hiromi Oh