熱海殺人事件 ラストレジェンド 〜旋律のダブルスタンバイ〜 つかこうへい作品は永遠に続く@紀伊國屋ホール

熱海殺人事件 ラストレジェンド 〜旋律のダブルスタンバイ〜がいよいよ開幕!紀伊國屋ホール改装前ラストステージ!!

東京都選定歴史的建造物である新宿紀伊國屋ビルは、耐震補強のため改修工事に入り、同時に紀伊國屋ホールは懐かしいモダニズム建築の設計のロビーや客席も改装工事に入る。1964年の開場以来、日本演劇の聖地として演劇人・演劇ファンから愛され続けている。文学座、俳優座、民藝、こまつ座など、日本を代表する劇団が上演を重ね、つかこうへい事務所、夢の遊眠社、第三舞台など、現代演劇の先駆者たる劇団と演劇人を次々と世に出してきた憧れの劇場だ。そして紀伊國屋ホール、アニバーサリー公演は!「熱海殺人事件」しかない!
今回、2チームで公演、味方良介・新内眞衣(乃木坂46)・池岡亮介・石田明のチームと荒井敦史・愛原実花・松村龍之介・細貝 圭のチーム。フォトコールとしてそれぞれ10分ずつ、オープニングを中心としたシーンが公開された。
大音量の音楽、アナウンス、颯爽と登場、ファンならよく知っているはずである、しかし何度見てもついつい見入ってしまう。
同じ場面でもチームのカラーが違うので細かい部分はそれぞれの持ち味を生かしている。見た目はもちろん、目線の使い方など異なるので、見比べると面白い。同じ場面なのに空気感が違う、この違いは劇場で!!
フォトコールのあと、味方良介・新内眞衣(乃木坂46)・池岡亮介・石田明チームの公開ゲネプロが行われた。

<味方良介・新内眞衣(乃木坂46)・池岡亮介・石田明>

<荒井敦史・愛原実花・松村龍之介・細貝圭>

大音量の「白鳥の湖」で始まるのは、もはや、お約束!木村伝兵衛の元に熊田留吉がやってくる。わざと書類を落とす木村、ムッとする熊田、「拾ってください!」のセリフは健在。犯人の大山金太郎は客席通路から派手に登場、手にはバラの花!客席で手渡しするが時節柄、手袋はめてます!基本的にストーリーの流れは変わらないが、ショータイムが!謎のダンサーも登場、また、大ヒットアニメ映画(タイトルを言う必要もないくらい)にちなんだお楽しみコーナーも用意されている。時事ネタを差し込む、セリフもところどころに時事ネタが挟み込まれているので、よく聞いておきたいポイント。アドリブ的な場面も用意されている。思わず見入ってしまうシーン、笑えるシーン、つかこうへいらしい緩急つけた演出を踏襲し、懐かしい!と思うファンきっと多いと思う。紀伊國屋ホールでのつかこうへいの芝居、長きに渡って幾度も上演。そんなことに思いを馳せつつの2時間。味方良介の力強いセリフ、そして存在感、石田明の一見飄々とした風貌からほとばしる熱い言葉、初々しく、可愛くそして内に秘めたパワーを魅せる新内眞衣、池岡亮介、一見頼りなさげに見えて後半は全力で爪痕を残す。つかこうへい作品はこうして受け継がれていくのだ、ということを見せてくれる。紀伊國屋ホールでの『熱海殺人事件』、役者が、芝居に関わる全員が120%の力を発揮する。この空気感、このパワーは、ここでしか味わえない。

<劇場内装・客席見納め>

オープン当時の椅子。
客席壁面。モダンなアート。

手すりのハゲ具合に歴史を感じる。

<会見>
「『熱海殺人事件』はつかこうへいの代表作です。紀伊國屋ホールの歴史上、最も上演されている作品で、しかも国産作品としても、最も上演回数が多いです。つかさんの娘さんの愛原さんにも出演していただいています。このホールの最後、大変誇りに思います。温かく見守ってください。PCR検査は全員陰性ですが、役者も大変です。つかさんの演出が蘇るように作りました」(岡村俊一)
「4度目になります。紀伊國屋ホール最後の公演に木村伝兵衛として出演、役者として人間として幸せです。この特別な公演、負けないようにできること以上のことを!燃え尽きたいです」(味方良介)
「(『熱海殺人事件』に)初めて参加します。客席でずっと見せていただき、やらせていただくことは光栄です。自分の限界を超えていけるように!」(荒井敦史)
「最終公演に参加できるのは感謝です。これをエネルギーに変えて!」(愛原実花)
「歴史ある作品、ホールで、初めてのヒロイン役で緊張しています。全力で!」(新内眞衣)
「『熱海殺人事件』は3回目です。人との関わり方を深くする、心の濃厚接触をみせるのはプラスになるんじゃないかと。今だからこそ、届けられるものを!」(石田明)
「個人的には何度かやらせていただいてます。身の引き締まる思い、全身全力で!」(細貝圭)
「この状況で舞台に立てる、この作品を届けられることに感謝です。心身ともに削られる作品、観ていただく方の人生の活力に!」(池岡亮介)
「初日を迎えられることが嬉しいです。歴史ある『熱海殺人事件』に参加できることを心から嬉しく思います。少しでも華を添えられるように!」(松村龍之介)
稽古の様子について岡村俊一は「マスクしてやるのはどんだけすごいことか!とんでもないセリフの量で二酸化炭素で窒息しそうになってまで頑張ってくれました。とても苦しい稽古でした」とコメント。また紀伊國屋ホールの思い出について味方良介は「岡村さん演出の『新・幕末純情伝』で、ここにいらっしゃる荒井さん、石田さん、細貝さん、その他の方々と出演しました。何度たっても劇場の独特の力があります。新しくなっても、ここの良さが際立つように。ここは特別です」とコメント。荒井敦史は「育ててもらいました。出ていなくても板の上にたっても揉まれる感じで、刺激をくれる劇場です。つかさんの作品で舞台に立てる、名が残るようにしたいです!」と力強く!

<「熱海殺人事件」とは>
1973 年に文学座に書き下ろされ発表された「熱海殺人事件」は、つかこうへいの
代表作であり、最年少で岸田戯曲賞を受賞し、紀伊國屋ホールを拠点に、 つかこうへい事務所の春の名物として、何度も再演を重ね、東京の春の風物詩とも 呼ばれる程になった。 東京に出て来たら、紀伊國屋でつかこうへいの熱海を見る!! 当時の学生達のあこがれの演劇だった。
つかこうへい事務所解散後も、1986 年に映画化、1989 年の演劇活動再開時も、紀 伊國屋ホールでの「熱海殺人事件」だけは、本人の手で上演され続けてきた作品であ る。
タイトルを「売春捜査官」「モンテカルロイリュージョン」などと、変化しながら 「熱海殺人事件」は紀伊國屋ホールで上演され続けた。
主演も、三浦洋一、風間杜夫をはじめ、阿部寛、池田成志、山崎銀之丞、馬場 徹 など名だたる俳優陣が、歴史を作って来た。
2010 年、つかこうへいは永遠の眠りについた。 演劇界の巨匠が宇宙へと旅立った。
しかし、紀伊國屋の「熱海殺人事件」は終わらない。
この作品だけは、つかこうへいの遺志として、これからもキャスト・スタッフも
変貌を遂げながら上演し続ける予定である。
「熱海殺人事件」は生き続ける。

<公演概要>
熱海殺人事件 ラストレジェンド ~旋律のダブルスタンバイ~
作:つかこうへい
演出:岡村俊一
出演
木村伝兵衛部長刑事: 味方良介・荒井敦史
婦人警官水野朋子:愛原実花・新内眞衣(乃木坂 46)
犯人大山金太郎:池岡亮介・松村龍之介
熊田留吉刑事:石田 明・細貝 圭
会場 新宿・紀伊國屋ホール
公演期間 2021 年 1 月 14 日(木)~1月 31 日(日)
チケット一般発売 2020 年 12 月 25 日(金)10:00〜発売中
チケット料金 8,500 円(税込/全席指定・特製ブックレット付)
※ブックレットは、当日会場にてお渡しいたします。
※コロナウィルス感染予防対策のため、パンフレット含めグッズ販売は行いません。
■ お問い合わせ:Mitt 03-6265-3201(平日 12:00~17:00)
■ 公式 HP:http://www.rup.co.jp/
■ STAFF
音響:山本能久 照明:熊岡右恭 映像:ムーチョ村松 衣裳:大野雅代 舞台監督:中島 武 宣伝美術:山下浩介 宣伝写真:神ノ川智早 制作:與儀早由 プロデューサー:島袋 潤
提携:紀伊國屋書店 制作:つかこうへい事務所 企画・製作:アール・ユー・ピー
取材:高 浩美