原作は児童文学作家である角野栄子氏が1982~2009年の27年間にわたり執筆した全6 巻の児童書。1989年にはスタジオジブリが宮崎駿監督でアニメーション映画化し、大ヒット、世界的に有名な作品になる。1993~1996年には蜷川幸雄演出でミュージカル化。2014年には実写映画化され、2016年にはイギリスのウエスト・エンドにて舞台化され、2017年には日本において若手新進気鋭チームにより、新しくミュージカル化に挑戦し、大好評、2018年に早くも再演、そして2021年、再び精鋭チームが集まり、この 春に上演する。この作品でヒロインを演じるフレッシュな井上音生さんに出演が決まった 時の感想や作品や役柄について語っていただいた。
――キキとしてはもう気持ちは入った頃でしょうか?
井上:この黒いワンピースも赤いリボンも、私が小さいころに見たキキそのものだったので、衣装を着て、だんだんと「私が演じるんだ」と いう現実味が出てきました。
――過去に上白石萌歌さんや福本莉子さんが演じられていますが、出演が決まったときの印象は?
井上:福本莉子ちゃんがキキを演じている2018年のミュージカルを拝見した時、莉子ちゃんが楽しそうに演じていたんです。その姿がキラキラ眩しくて、私もあんなふうに演じることができたらなと思っていたので、(オファーがあったことは)素直にうれしかった です。
――ということは、今回は楽しくキラキラと演じよう!というのが心にあると。
井上:そうですね。楽しみながら演じたいと思います。
――井上さんなりのキキとしては、アピールポイントはどこでしょうか?
井上:いつも元気!というキキだけじゃなく、悩んだり、落ちこんだりしているところも表現して、周りの人から応援されるようなキキを演じたいです。
――井上さんは以前も舞台の経験がありますよね。
井上:小さいころからバレエを習っていて、発表会などもあったので割と舞 台慣れしているのかなと思っていたんです。でも去年の初舞台ではトップバッターだったので毎回緊張しすぎて記憶がなくて(笑)。『魔女の宅急便』はみんなが知っている作品なので私が演じるときにどう思うんだろう?というのは不安ではありますが、それ以上に、この作品が好きなので楽しく演じて乗り切ろう!って思っています。
――今回ミュージカルということで、歌を歌う場面も多いと思いますが……。
井上:歌うのが好きで、よく一人でカラオケに行くんです。一人でみんなが好きなアニメソングを歌ったり……。十八番は『残酷な天使のテーゼ』です(笑)。でも、ミュージカルとは発声も歌い方も違っていて。なので今はミュージカルで通用するようにボイストレーニングをがんばっています。
――ミュージカルの歌い方で今一番苦労している部分は?
井上:小さい頃からミュージカルはよく連れて行ってもらっていて、見よう見まねで歌っていたりしたのですが、やっぱりセリフが重要なんですよね。音程を取るだけでいいというわけではなくて。そこが難しいなって思います。やっぱり、 役と一緒に考えないといけない。あと、息を吸うのをお客様がいる遠くから息を吸 うイメージを持つことを心がけていて。結構ミュージカルは音域が広いから、高い音も地声で出さないといけない。だからちゃんと息が吸えていないと音にならないんです。そういう呼吸を大事にしていて。ボイストレーニングに通ってだんだんできるようになってきました。
――『魔女の宅急便』の作品自体の印象は?
井上:主人公は魔法を使える女の子ではありますが、誰が観ても共感できる作品だと思います。私が13歳だったころに重ね合わせたりして。キキはちょっと同い年の女の子に嫉妬したりするんです。あとニキビができているのを気にしていたりとか。あとはファッションがキラキラしてる女の 子に憧れるんですよね。こんなキレイな子ならモテるだろうなーとか。キキにもそんなシーンがあるので。私も同じだなって親近感が湧きました。
――キキは、13歳で社会に出ていますが、井上さんも同じようにオーディションに合格して芸能界に入りました。社会に出てみてどう感じましたか?
井上:(オーディションを経て)昨年4月に上京したんですが、愛媛と東京って全然違う んですよ。満員電車とか。最初はそこが本当にびっくりしました。愛媛では全然電車に乗 らなかったのもありますが……。キキが地元から街に出た心境に近いなと今は思います。 あと、やっぱり社会に出てみて挨拶は大事だなって感じました。(芸能界は)年齢が上の方と出会う機会が多いから、挨拶はちゃんとしなさいって子供の頃に習ったことに感謝しています。
――他の年代の人が経験していないこともしていますし、大人と関わる機会も多かったと思います。
井上:モデルの撮影時では、みんな「かわいい」って言いながら撮影してくれたんです。 自分の抱いていたイメージはもっと厳しいと思っていたけど……。でもそのおかげでまたがんばろうって思えるし、暖かい雰囲気の現場が多いなって。
――井上さんはたとえばキキのように壁にぶち当たったりした時はどうしているのでしょうか?
井上:演技のレッスンが上手くいかなかったりした時や自分が思っていたよりも役の心情とかを表現できなかった時とか、自分の中で迷宮入りしてしまった時は親に相談することが多いです。でも、それは解決に結びつけたいとかそういうわけではなく、ただ話を聞いて欲しい感じ。優しく聞いてくれるので、父に話すことが多いです。あと私、アニメが大好きなんです。なので、アニメや漫画を見たり……特にギャグ漫画を見て ストレス発散というか自分のモチベーションを上げています! 一番お気に入りなのは『銀魂』で、全巻持っているんですよ。
――キキがほうきに乗って空を飛ぶシーンでは実際にフライングもしますよね。
井上:高所恐怖症ではないので、早く飛びたい!って気持ちでいっぱいです。楽しみで す。(キキみたいに魔法が使えるとしたら)私は猫を飼っていて。黒猫なんです。キキがジジと話しているのを見て、私も動物と話せる魔法が欲しいなって思います(笑)。
――トンボ役の那須さんとはいかがでしょうか?
井上:那須さんが19歳、私は16歳で3歳差なのでお兄さんって感じです。私は、人見知りなんですけど、自分から積極的にコミュニケーションをとってがんばっていこうと思います。積極的に話しかけていく気持ちがなければ物語の中でも距離が縮まらないと思うので。
――その他の共演者で楽しみな方は?
井上:キキの父役の横山だいすけお兄さんは、小さい頃から見ていた憧れの人なので、共演させて頂けるのが楽しみです。私の父は指揮者なのですが、歌が好きでお風呂でよく歌っていたので、だから父とも重なりますね。
ーー最後にメッセージを。
井上:『魔女の宅急便』はキキが成長していくストーリーです。私もキキと一緒に成長し ていけたらなと思っています。そして私が演じるキキを皆さんに好きになってもらえるようにがんばります!
――ありがとうございました。公演を楽しみにしています。
<概要>
公演名:ミュージカル「魔女の宅急便」
出演:
キキ役:井上音生 (第8回「東宝シンデレラ」審査員特別賞&りぼん賞(集英社賞)W受賞)
トンボ役:那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)
生田智子・横山だいすけ・藤原一裕(ライセンス)/白羽ゆり 他
原作・監修:角野栄子 (『魔女の宅急便』福音館書店刊)
脚本・演出・振付:岸本功喜
作曲・音楽監督;小島良太
〈東京公演〉
期間:2021年3月25日(木)~28日(日)
会場:新国立劇場 中劇場
〈名古屋公演〉
期間:2021年4月10日(土)~11日(日)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール
〈大阪公演〉
期間:2021年4月15日(木)~18日(日)
会場:メルパルクホール大阪
主催:フジテレビジョン/アークスインターナショナル(東京・大阪公演)
フジテレビジョン/アークスインターナショナル/サンライズプロモーション東京/サンデーフォークプロモーション(名古屋公演)
企画製作:アークスインターナショナル/フジテレビジョン
お問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00~15:00) (東京・名古屋公演)
キョードーインフォメーション 0570-200-888 (月~土11:00~16:00 日曜・祝日は休み) (大阪公演)
公式 HP:http://www.musical-majotaku.jp
撮影・取材:金丸雅代
構成協力:佐藤たかし