が~まるちょば LIVE 2021 STORIES “ PLEASE PLEASE MIME ” 超絶技巧のパントマイムに笑いや悲しみを染み込ませ心を動かす。

言葉を使わず、ソリストとして、自身の身体のみでパフォーマンスをするアーティスト「が~まるちょば」。その「が~まるちょば」の新作公演。今回の内容は、テレビでよく見るトランクを使うショーではなく、舞台芸術としてのストーリー仕立ての作品のみの上演。が~まるちょばの身体ひとつで物語へいざなう。年齢、性別、人種、国境を越えて、どんな人でも同じ瞬間に楽しみ、感動できる作品をお届け!

今回の公演では、ストーリー仕立ての“芝居”を6本見せる。およそ75分で5本、15分の休憩を挟んで長編1本、という構成。開演前は60年代のポップスを中心とした楽曲が流れるが、なかにはシニア世代なら熱狂したであろうグループの有名な曲も。
まずは前説。一人なので、全て自分で!歓声はなし、拍手で!という説明をマイムで披露するとこの時点で客席から笑いが起こる。作品毎の着替えも、衣裳が変わるうちに役柄に入っていくのを感じ取れる。パントマイムのテクニックは超一流、わかりやすい上に想像力をかき立てる。

例えば、ピアニストがステージ上で様々なトラブルに対応していく「ピアニスト」では、座ろうとした椅子がふーっと下がる。下がっていくテンポが、まさに椅子があるかのよう。私たちで言うところのオフィスで椅子を調節し、座ったら下がるあの感覚を“エアー”で行うのだ。そのうまさもさることながら、これを行える腹筋に感心。運動慣れしていない普通の人なら、太ももがぷるぷると震えるのに、これがちっともぷるぷるしない!だから自然に見える。

また、怪しさを表現する時は、ただ怪しいだけでなく、どこか哀愁も感じるので、ついつい笑ってしまう。全力で“その場で走る”のも、本当に自然に走っているように見えるから不思議。そんな一挙一動に客席からは拍手と笑いが起こる。基本的に身体一つで表現するので、本当に、舞台はガランとしていて何もない。本人以外にあるものは音、照明、音楽。そして誰かとしゃべっているマイムでは、誰もいないのに誰かいるような空気感。前半のショートスケッチはごくごく短いストーリーであるが、それぞれのオチが単純なハッピーエンドでもなく、バッドエンドでもなく、クスリと笑えたりするような、いかようにも解釈できる内容だ。

15分の休憩を挟んだあとは「指環」という45分ほどのストーリー。どこかの飲食店で何かを飲む、誰かを待ちわびながらタバコを手にする、落ち込む、自転車に乗る、働くなど、よく見かけるようなありふれた光景が展開されていく。日常的で、主人公もどこかの街の人で特別変わった人物ではない。時折、流れるポップスはシニア世代はもちろん、いたるところで耳にする曲だ。その歌詞とシンクロしながら見せていく場面もあり、曲の意味がわかれば、舞台上で繰り広げられているシーンの真意に気がつくはず。日常は平凡で些細なことの積み重ね、そこから非凡なことが見えてきたり、登場人物の想いも想像がついてくる。この45分のストーリーがちょっと泣けたり、クスッと笑ったり、しみじみと温かい。ほのかな希望と優しさに満ちた終わり方。

一旦、カーテンが閉まり、再び幕が開き、本人登場で大きな拍手。海外での公演が多かったそうであるが、描かれる世界観は誰もが理解でき、誰もが共感する。客席には子供からお年寄りまで幅広い世代が観劇。言葉の壁を超えるということはこういうことか、と納得できる舞台であった。

[が〜まるちょば プロフィール]
20代の頃、神の啓示のようにパントマイムを天職と決める。
ソリストとしての活動ののち、1999年にが〜まるちょばを結成。
「サイレントコメディー・デュオ」として、パントマイムの固定概念を超えた演劇作品とショーで、世界の35カ国以上から招待されて公演を行う。
2019年、約20年におよぶデュオ活動に終止符を打ち、ソロアーティストとしてが〜まるちょばを継続する。 ロック、バイク、革ジャンをこよなく愛し、その造詣は限りなく深い。

<概要>
公演名:「が~まるちょば LIVE 2021 STORIES “ PLEASE PLEASE MIME ”」
作・演出・出演:が~まるちょば
企画・製作:ティアスエンド
主催:サンライズプロモーション東京/MY Promotion
会場:紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
公演日時 ※開場は開演の45分前
2021年1月21日~1月24日
公式サイト: http://www.gamarjobat.com/
HIRO-PON twitter:https://twitter.com/gamarjobat_h
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お問い合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00~15:00)
文:高 浩美