1980年に連載をスタートし、その後もアニメ化や実写映画化などを続けたヒット漫画【まいっちんぐマチコ先生】の作者であるえびはら武司先生の自伝的作品【まいっちんぐマンガ道】を舞台化。
ファンから初めてのアシスタントになったことで『藤子・F・不二雄の最初の弟子』といわれるえびはら青年の藤子不二雄スタジオ入所から漫画家になる決意を固めるまでを第一話として昨年の7月に公演。今回はその第二話として藤子スタジオでの日々を中心に手塚治虫(塚は旧字体)を始めとするトキワ荘のヒーローたち、 伝説的漫画家が活躍をする中で次世代の漫画家を目指す主人公とそのライバルであり、励まし合う同志でもあるアシスタント仲間たちとの青春の物語を描く。
初日も間近、メインキャストの亀吉さん、武田知大さん、鳳恵弥さん、そして脚本・演出のIKKANさん、原作のえびはら武司先生から見どころなどをお伺いした。
ーーこの作品のみどころを教えてください。
鳳:見どころですが、みなさんがご存じの、あの漫画家の先生たちが“出演”しています。漫画の歴史を動かした偉人たちばかりです。お名前は出せませんけど(笑)。トキワ荘の人たちとかですね。トキワ荘おやすみ処や昨年オープンしたトキワ荘ミュージアムには実際に足を踏み入れたんですよ。先生のサインとか結構飾ってありました。役どころですが…猫です(笑)。
IKKAN:今回は、第二弾で脚本を書かせていただきました。えびはら先生のすごく貴重な、藤子不二雄先生のアシ時代を描かれた四コマ漫画なんですけど。前回の第一弾はえびはら先生が漫画家になるぞ!と、漫画家立志伝を描いていたんですね。でも、今回第二弾ということで、どこを区切ろうかといったときにいろいろと話し合ったうえ、「ドラえもん」をどうスタートさせたかあたりの話がよいのではないかと打ち合わせしていたんです。えびはら先生にお話を伺って。「当時どんな感じでしたか?」と聞いたら「入った当時はあまり人気がなかった」と……。国民的アニメになった今では考えられないですよね。なのでえびはら先生のエピソードを聞きながら膨らませていったら、とんでもなくヒットまでの道がドラマチックで。そういうことがわかって、藤本先生、安孫子先生は紆余曲折あり作り上げていったということがとてつもなく感動し、それを舞台化してみようという話になりました。エピソードとしてはまだまだあるんですが、今回は「オバケのQ太郎がヒットしてからドラえもんができるまで」を、脚本として少し膨らませたところ。そこがみどころになっています。
亀吉:僕が演じるのはえびはら先生をモチーフにした役なんです。少年時代からアシスタント時代まで。前回は漫画家になる夢がかなう、というストーリーでした。今回は「えびはら先生がいたからこそ、ドラえもんが終わらなかった」というきっかけになったんですよね。そこが見どころだと思っています。
武田:僕が演じるのは師匠である「ドラえもん」の生みの親・藤本博先生をモチーフにしていた人物です。日本で「ドラえもん」を知らない人ってほぼいないのではないでしょうか。でもあの漫画が「どうやってできたか」ということを知っている人はほとんどいない。藤本先生が悩まれていた中にえびはら先生と出会って、どう化学反応を起こして大ヒットにつながったか。それを原作の「まいっちんぐマンガ道」に、IKKANさんの脚本が合わさって、そこでまた化学反応がおきて、とってもわかりやすく見やすく夢のあるお話になっています。今回演じてみて、本当に精神状態がおかしくなるんじゃないかって思ったんです。自分の出来事ではないのに。演じているだけでとてつもなく苦しいですし、つらい思いをしたということはご本人はどれだけ重圧があったんだろう、しがらみだったり…大人の事情がのしかかっていたんだろうと想像します。それでも子供たちのことを考えて、となると本人はあれだけ苦しくなるのか、と演じていて思ったんです。そこへえびはら先生と出会ったことが光になって「ドラえもん」がヒットする、ここは見どころといって間違いないと思います。ぜひ、感じていただけたら。
ーーご自身の作品が舞台化されていかがでしょうか?
えびはら:よく漫画のことを知ってくださるIKKANさんが手掛けているので僕としても安心しています。でも、舞台を観ていていろいろ思い出しました。自分が適当に生きてきたんだなって思っていたんだけれど、偶然にいい結果を生んでいたんだなって。最終的には、いつかきちんと作品の名前を入れて、大きな声で語れる舞台にしたいなとは思います。今はまだ作品が匿名なので。逆にその方がやりやすいのかな。きちんとした、ご本人の名前を使った作品にしていきたいと思います。
ーーありがとうございます。公演を楽しみにしています。
<概要>
日程・会場:
令和3年2月10日~14日 10公演 池袋シアターグリーン BOXinBOX
2月10日 水曜日 14時~(F) 18時~(F)
2月11日 木祝日 14時~(A) 18時~(F)
2月12日 金曜日 14時~(A) 18時~(A)
2月13日 土曜日 13時~(F) 17時~(A)
2月14日 日曜日 12時~(F) 16時~(A)
原作:えびはら武司(藤子スタジオアシスタント日記~まいっちんぐマンガ道~)
演出&脚本:IKKAN
演出助手&脚本協力 鳳恵弥
プロデューサー 中野敦之(劇団唐ゼミ☆主宰)
主催 カメジルシ演劇団
協力 オフィス怪人社 株式会社しぃぼるとぷろだくしょん
出演者 亀吉/武田知大/島津恵梨花/立花美優(F)/窪真理チャカローズ(A)/佐々井隆文/ 吉田奈央(A)/宇羽野道(F)/川光俊哉/グッド良平/宮本悠我/伊藤槙吾/今江言多/鳳恵弥
チケットサイト: https://stage.corich.jp/stage/110783(チケットこりっち)
構成協力:佐藤たかし
取材:高 浩美