フランスの人気小説で世界中でベストセラーとなった「ぼくの名前はズッキーニ」世界初の舞台化が2月28日、 東京・よみうり大手町ホールにて開幕。 初日前日となる27日のゲネプロにて、 主演を務めるジャニーズの実力派グループ「ふぉ~ゆ~」の辰巳雄大らが本番さながらの熱のこもった芝居を披露。
本作は児童養護施設で育ったズッキーニと呼ばれる少年とその仲間たちの成長を描いた物語。 舞台上は3方そして床を黒板で囲まれただけでそれ以上のセットはほぼ存在しない。 ズッキーニはシモン(稲葉友)やカミーユ(川島海荷)ら子どもたち、 そして彼らを見守る警察官のレイモン(平田満)ら大人たちが思い思いにチョークで場面説明やそれぞれの心情をチョークで壁や床に描く。 この手法が実に興味深く面白かった。 やがて話は彼らが何故この児童養護施設に送られたのか、 家族との厳しく切ない関係にも踏み込んで語られる。 はたしてズッキーニが迎える運命とは――。
ゲネプロ終演後に行われた囲み取材では、 辰巳、 川島、 稲葉、 平田、 そして脚本・演出を手掛けたノゾエ征爾らが出席して今の心境を語った。
初日を明日に控えて辰巳は「今こうしてステージに立てている事、 ものすごく濃密な稽古を重ねたうえでここに立てている事、 そして明日初日を迎えられる事。 まずそこにホッとしています」と緊張と安堵が入り混じった表情を見せ、 「一人でも多くの方に作品を届けられるという事に胸が躍っています」と素直な気持ちを言葉にした。
また、 6歳児を演じるという事について心境を聴かれると、 「子どもを大人たちが演じるという部分で、 自分が愛している”演劇”をやらせていただいているなという実感を感じていました」と普段から何度も口にしてきた演劇愛の強さをここでも語る辰巳。 だが、 稽古では当初なかなか上手くいかなかったようで、 「最初の方は、 子供らしくしすぎちゃって。 稽古をやっていく上で、 どんどん要らないものを排除していくことで子どもっぽくなっていった」と振り返り、 役作りのいちばん参考になったのはズッキーニと同じ6歳の姪の存在だと語る。 「『雄くん、 かっこいい』っていう姪っ子の混じりっ気のない無邪気な一言が参考になりました」とデレデレの“おじバカ”ぶりを見せていた。
川島は誰よりも小柄で童顔という見た目から、 6歳児を演じる事について「逆に恥ずかしいです。 この公演期間に27歳になるんですが、 (衣裳が)スゴイ似合ってます、 と言ってもらえるので、 この童顔を自信にやっていきたいと思います」と照れ笑いを浮かべていた。 一方稲葉は同じ6歳でもちょっととんがった役どころのため、 髪型はリーゼントでキメているが、 「子どもらしく(ほおに)チークを入れてまして」と笑う。 その発言に辰巳も「二人でチークの濃さを研究しているんです」と楽屋での風景を説明し「そんな二人の様子を平田さんに見守ってもらっています」と平田に話を振ると、 「とてもほほえましいです」と平田が笑顔を見せていた。
子ども役を大人がやるという演出について、 ノゾエは「大人になって失ったものや無くしたもの、 もしくは失くしたくなかったものもあるだろうし…改めて子ども役に対峙した時に、 そのはかなさとかそういうのが、 俳優の体からこぼれてくるといいなぁと思って」とこだわりを見せていた。
公演は3月14日まで東京・よみうり大手町ホールにて、 その後大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて3月19日から21日まで上演。
<公演概要>
タイトル:「ぼくの名前はズッキーニ」
原作:ジル・パリス
脚本・演出:ノゾエ征爾
音楽:田中馨
出演:辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、 川島海荷、 稲葉友、 上村海成、 三村朱里、 本多力/
伊勢佳世、 宍戸美和公、 ノゾエ征爾、 平田満
[東京公演]
日程:2021年2月28日(日)~3月14日(日) 全19公演
会場:よみうり大手町ホール
[大阪公演]
日程:2021年3月19日(金)~3月21日(日) 全4公演
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
D’après AUTOBIOGRAPHIE D’UNE COURGETTE de Gilles Paris(C) Gilles Paris 2002
「ぼくの名前はズッキーニ」日本語版 DU BOOKS 2018年、 安田昌弘訳
仲介:(株)フランス著作権事務所- Bureau des Copyrights Français
公式サイト: https://www.ktv.jp/zucchini