この度、新型コロナウイルスの影響により、大小問わず様々な演劇の興行が中止になっている中
最大限「NO!!3密」を意識した上で、「キャスト・スタッフらに活動の場を作りたい!」
「舞台に立つキャストの姿をお客様に観てもらいたい!」という想いから講談社とOffice ENDLESSの共同プロジェクトが実現。
今回の「ひとりしばい」、キャスト4名による一人芝居がつながった物語。
豪華な演出家とタッグを組み、完全オリジナルストーリーをお届け。
第一弾は140席の劇場を舞台に何千人という観客が配信を見守った。
生放送で繰り広げられるステージ上にたった一人の舞台劇は、画面の向こう側にいる観客がまるで参加しているような錯覚を感じる新たな“配信舞台”を創造し、毎回変わる演出家・俳優によりコロナ禍における新たな魅力を演劇界に見せてくれる。
稽古はオンラインミーティングアプリ「Zoom」なども活用し、観劇は配信課金システム「ファン⇄キャス」
会場は池袋に誕生したLIVEエンターテインメントの複合施設ビル「Mixalive TOKYO」(ミクサライブ東京)の「Hall Mixa」を使用。今回のキャストは木津つばさ、赤澤燈、中村誠治郎、萩野崇。年齢も幅広い4人、
始まる前から曲が流れている。ちょっと胸キュンなそれでいて切ない感じの曲調。ギターの調べ、歌声、雰囲気が盛り上がり。イヤホンで聴けば没入感も得られる。またチャットで出演者にコメントも送ることができる。アーカイブ配信も利用できる。つまり、期間内なら何度でも視聴可能。普通に観劇するより深く見ることが可能である。
トップバッターは木津つばさ、「春」。高校三年生という設定。意中の彼女がいる、同じ部活(演劇)、桜の木の下で会う、そこで…定番の…。文通、しかも下駄箱に手紙を入れるという一種古典的な手法でコミュニケーション。一生懸命な高校生を木津つばさが詰襟の制服を着て演じる。ちょっとテンション高めな演技で緊張しまくりな主人公を表現。それから「夏」は赤澤燈、「春」から時間が経ち、社会人、会社勤め、海の見える洒落たレストランで本格的にプロポーズしようとするも…携帯がパワーダウン!とか細かいトラブル、その度にあたふたする姿を赤澤燈が”百面相状態”で演じる。時には軽やかに時には暑苦しく(笑)、その変化を見ているとなぜか応援したくなる。そして待ち人来たり、とびきりの笑顔、バックに流れる歌♪僕の家族になってください♪が響く。
そして「秋」、主人公は、スマホで自撮り。もう直ぐ”パパ”になる様子。将来のことを思い描く、自分がおじいさんになり、妻がおばあさんになった時のことなどを”妄想”。その”妄想”ぶりが可笑しく、また温かい。子供はまだ生まれていないのにデレデレな様子。そして、赤ん坊の生まれたての泣き声が響く。なぜかPCやスマホで画面越しに見てても、その喜びが伝わる。歌、スクリーンに写真、いわゆる”親バカ”写真。リアルなのか虚構なのか、はっきりしないところが秀逸。
そしてラストは「冬」、萩野崇、温かさの中に翳りがある。高校の時に知り合った妻、高校時代の文通のことを語る。この時点で妻はいるのかいないのか、そこはファジーだ。観客はいろいろと想像する。「でも・・・・」という字幕。男は語る「これが最後の手紙です」と。「最後に会う時はいつもの桜の木の下がいいと思いました」。「春」で読まれた手紙がシンクロするが、その意味するところを想像すると切ないが、じんわりと胸に響くものがある。そっと手紙を置く。字幕「あ、蕾・・・」、「今年も咲いたね」と涙ぐむ男。万感の思い、「ありがとう」。
ギターを弾く平義隆、木津つばさ、赤澤燈、中村誠治郎、萩野崇の4人客席に揃っている。天井を見上げる、桜吹雪。演劇的な表現。テイストも年齢も違う俳優が同じ人物を演じる。全く違うのになぜか、どこか、共通するものを纏う。「LOVE」、その景色、じんわりと響くストーリーが、画面から伝わる。季節が移ろい、変わっていくが、変わらないものがある。人の思い、愛、そして生きるということ。1時間半ぐらいのオムニバス形式で、ひとりしばい。舞台に何もなく、ただひとり、俳優が演じる、想像力を思い切り使い、情景を思い浮かべる。しみじみとした作品であった。
このあと、アフタートーク。実はひとりが舞台上で演じている時は、残りの3人は客席で見守っている状況。なかなかない経験に「楽しかった」と萩野崇。皆、大きく頷く。赤澤燈は「自分の人生じゃないのに自分の人生の最後の方まで見ている気がして…」と語る。4人で一種のリレーのように男の一生を演じる。稽古はちょっと通しただけだそうである。それでもこのクオリティ。また中村誠治郎は「コロナがなければ、生まれない演劇」と語ったが、こういった配信での演劇は現在、急激に増えている。演劇に関心がない、あるいは観る機会があまりない、という観客にとってハードルは低いので、気軽に演劇が観られる。特に、このシリーズは基本、セットはなく、俳優がひとりで舞台上に立って芝居をする。それを撮影して配信。そのパワーは十分伝わる、この「ひとりしばい」、コロナ禍故の苦肉の策であるが、思わぬ発見がそこにある。次回のチャレンジもついつい期待してしまう。アーカイブ配信も予定。
<概要>
「ひとりしばい特別公演 『THE LOVE』」アーカイブ配信、舞台写真販売決定!
■アーカイブ配信販売:
チケット販売開始:3月31日(水)21:00~4月10日(土)20:00/視聴期間:4月3日(土)12:00~4月10日(土)23:59
■舞台写真販売:
3枚組 A/Bセット(各600円)
4月9日(金)12:00~より
Office ENDLESSのオンラインショップ(https://officeendlessshop.stores.jp/)にて販売開始
[公演概要]
【タイトル】ひとりしばい特別公演「THE LOVE」
【公演日程】2021年3月31日(水)19:00~
【出演】木津つばさ/赤澤燈/中村誠治郎/萩野崇
【作・演出】村井雄
【音楽】平義隆
【会場】Zoom
【チケット料金】4,000円(税込)
【主催】舞台「ひとりしばい」製作委員会
【企画・製作】講談社/Office ENDLESS
【公式HP】http://officeendless.com/sp/hitorishibai
【公式ツイッター】 @hitoshiba2020 ハッシュタグ「#ひとしば」