《トーク》熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第7弾東京喜劇『Jazzy(じゃじぃ)なさくらは裏切りのハーモニー 〜日米爆笑保障条約〜』三宅裕司 紅ゆずる 横山由依

新橋演舞場公演として、松竹株式会社と株式会社アミューズの共同製作により、三宅裕司を座⻑に、「熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第7弾 東京喜劇『Jazzy(じゃじぃ)なさくらは裏切りのハーモニー 〜日米爆笑保障条約〜』」がいよいよ満を持しての上演となる。
東京の笑い“軽演劇”を上演すべく、2004 年に旗揚げしたのが「伊東四朗一座」。その東京喜劇を伝承すべく、三宅が中心となって 2006 年に旗揚げしたのが“伊東”ならぬ“熱海”、“四朗”ならぬ“五郎”で「熱海五郎一座」。アドリブや一発ギャグなどの 瞬間芸ではなく、練り上げられた台本と、その設定の中で役柄をきちんと演じることで生まれる笑いを作ってきた。
出演は座⻑の三宅裕司をはじめ、コント赤信号の渡辺正行ラサール石井、三宅の盟友・小倉久寛、落語芸術協会会⻑で 『笑点』司会の春風亭昇太、東京の喜劇人の DNA を受け継ぐ東貴博深沢邦之が交互出演。この新橋演舞場シリーズ第7弾に迎えるゲストは、元宝塚歌劇団星組トップスター紅ゆずると AKB48グループ2代目総監督の横山由依
今回、座長・三宅裕司さんと紅ゆずるさんと横山由依さんの鼎談が実現!作品にかける熱い思いやコメディについてお話しをお伺いした。

――昨年行われた記者会見を経て、今年になって今度こそ、というところですが中止になったときの思いや、今回の意気込みをお聞かせください。

横山:中止になったのはすごくショックでしたし、世の中の状況からいくと仕方がないかな、という気持ちもありました。でも、どうしても皆さんとやりたい舞台だったので、今回できることがうれしいです。今だからこそ“笑い”で皆さん一緒に一体感が出せたらいいなって思います。

三宅:もちろん、中止になったのは仕方がないなと思いましたけれど、もともとこのストーリー自体があて書きだったものですから、他のメンバーでやるということは考えていませんでした。ですから絶対に延期して、いつかやりたいという強い気持ちがありました。ですが、楽器演奏がありますので、少し延期したことで演奏のレベルが上がっていればいいなとも思います。逆に言い訳はできませんが。去年も状況的にはたいへんでしたが、1年経ってさらに、たくさんの人がエンターテインメントの必要性がわかったと思うので。それをプラスに持っていけるような、皆さんとともに楽しめるものへとより持っていきたいと思います。

紅:こういう時代が来るとは思っていませんでしたし、舞台は中止になってしまうのでは・・・と心配していました。しかし、いつか絶対に上演できると信じていたので、今年こそはという気持ちもあります。三宅さんがおっしゃったように、ピンチこそチャンスだと思っているので、私たちができるエンターテインメントを上演して、スペシャルな舞台をお届けしたいです。

――やはり、1年間熟成されたという感じでしょうか。

三宅:そうですね。ただ、最初に思いついたひらめきが一番面白かったり、難しいところなんです。こうやって時間ができたから直してみようか、と思ったら最初ほど面白くなくなったり……そこの判断が難しいですね。でも、隙あらば笑いを、と盛り込んでいるのでさらに楽しくなっていると思います。

――タイトルの「Jazzyなさくらは裏切りのハーモニー」ということで、ジャズというのがキーワードになっていると思います。横山さんもドラムを披露するとのことですが、作品について聞かせて頂けますか。

横山:人前でドラムを披露するのは、小学校のときに通っていた音楽教室での発表会以来なんです。本当にブランクがすごくあるので、それに対してのドキドキはありました。生演奏は台本の中でも重要な場面なので、たいへんなところを任せていただけて、みんなで作り上げていけることには、意味がある生演奏になるだろうなと思いました。

三宅:でも、周りも同じように小学生の発表会くらいのレベルですから(笑)。

横山:そんなことありません(笑)。一生懸命練習して、小学生の頃の楽しかった気持ちを思い出せるようにして演奏したいです。

――それでは、三宅さんは今回の作品については?

三宅:前回の公演が終わる頃に作家と次回は戦後の日本を生き抜く女性ジャズシンガーの話にしようと話していたんですが、作家が考えてきたのはアメリカが日本に戦争で負けたところから始まるストーリーでした。アメリカの日系二世のお話で、ジャズというものがあったから助かったという。そういう部分から音楽が持つ意味が平和につながるというものになればという大きなテーマになっています。だから本当は、すごくかっこいい演奏にしたいですが、なにぶん演奏のプロばかりではありませんから。うまく演奏するとダメ、という設定にしました。

――そこが今回のお話の面白さでもありますよね。宝塚歌劇団でもジャズの場面があったと思いますが。紅さんはいかがでしょうか。

紅:ジャズってとっても難しいんです。英語で歌うのも初めてですが、思い通りに歌えないとちょっと演歌っぽくなってしまうんですよ。宝塚歌劇団での現役時代、演出家の先生に「あなたが歌ってるのは演歌じゃないの」とご指導いただいたくらい、ジャズってリズムも何もかも難しいんですよ。ですので、どうアクセントを持ってくるか、抜きどころがあるのか、しっかりお稽古をしたいと思います。また今回、初めて英語詞で歌わせていただきます。英語は基本的に母音でつなげていくのですが、上手く自分で活かしてジャズを歌えたらいいなと思います。また、私は男役でしたので「女性の歌声」で歌ったことがなくて。女声で歌う、英語で歌う、ジャズで歌う、そして役の設定もお客様にどう響いていくのかを考えていきたいと思います。

――それぞれの印象はいかがでしたか?

横山:三宅さんはずっと昔からテレビなどでお見かけしていたので、どんな方なんだろうなと思っていたのですが本当に優しくて。私、三宅さんとマネージャーさんのやり取りが好きなんですよ(笑)。どんな方に対しても面白い方向に持っていってくれるんです。会見でもすごく三宅さんがフォローしてくれて。そういうところも優しくて、素敵な大人の方だなと思いました。紅さんはかっこいい印象でしたけど、話してみるとフランクな方で、同じ関西人なので話が絶対合うだろうなと思っていて。好きな食べ物もそうですけれど、お笑いのこととかももっといろいろお話したいです。

三宅:実は、お二人とも接点があまりなかったんですけれど、横山さんは、ドラムの練習を見ているとすごく努力家な子なんだなと思いました。すごく細かい所も全部気にしていて、そこを指摘されるとすぐ何回も練習してとにかく直そう、という向き合い方がとても真面目なんだなと思いました。ちょっとおっとりした印象もありますが、関西出身らしく笑いが好きな部分もあるし。その差もおもしろいなと思いました。紅さんは、ステージを観に行って。この人笑いが好きなんだなと、しめしめ、という感じでした。お客様と共演者の間に入って、そこを上手くやり取りしていくポジション。ある意味一番難しいところです。つまり失敗するか成功するかは自分の技量次第ですから。逆に言うと宝塚歌劇団時代の「紅ゆずる」と、新橋演舞場での「紅ゆずる」は見え方が全く違うと思うので。ある意味熱海五郎一座のギャグを決めて、稽古していってほしいですね。お客様の声にちょっと反応しちゃうようなこともあったりするかと思いますけれど(笑)。これまたそれをフォローするのも面白そうな予感がします。今から本番がちょっとドキドキですけれど(笑)。それをやり遂げるのが「熱海五郎一座」なので。のびのびやってほしいですね。

紅:でも、アドリブは禁止なんですよね(笑)。私は「THE夜もヒッパレ」がすごい好きだったんですよ。そんなすごい遠いところにいた人と共演することになるなんて思いもしなかったです。実際お会いしてみると、とても“大きい”方なんだなと思いました。一番最初に「いいモノを作りましょうね」と温かい言葉をかけていただけて。それが深く感じられました。お会いするたびに柔らかい方だなと感じますので、。稽古場で「バカヤロー」って怒られないように頑張らないと。

三宅:俺も出演しているから(笑)。バカヤローとか言ったやつができてないじゃないかっていうこともありますからね。

紅:(笑)。また、横山さんとの共演も、すごく楽しみなんです。横山さんは、現役のアイドル。横山さんに初めてお会いしたときに、本物のアイドルがいる!と思いました。物腰も柔らかくて、女性の魅力の塊。すごく学んだと言うか……私も女性ですけれど(笑)。

――ご自身にとってのコメディとは?

横山:私はこの1年くらいで、ますますコメディが好きになりました。ちょっと世の中が暗くなりがちですが、やっぱりお笑いや喜劇、コメディを観ると、一時を忘れられる、ハッピーな気持ちになれるので、自分にとっては欠かせないものだなと思っています。

三宅:当然喜劇役者として、コメディは僕の中では演じる笑いというように思っているので、しかも最近ではテレビなどではあまり表現できない。これは舞台でやるしかない、それを残すために生かされているんだなと思っています。

紅:「熱海五郎一座」は瞬発的な笑いに見えても、実はちゃんと練られています。歯車がちゃんと噛み合っていくコメディは、練り込まれたものであればあるほど、心に残るんですよね。コメディは私も大好きなので、堪能しつついろいろと学んでいきたいなと思っています。

――最後にメッセージを。

横山:お芝居はもちろん、ジャズの生演奏も披露します!ぜひ劇場にいらしてください!

三宅:笑いと音楽、エンターテインメントって本当に必要なんだなと思い出させてくれる舞台だと思います。ぜひ観に来てください。

紅:チケットを買わないとめちゃくちゃ後悔すると思います。そう言うからには絶対に楽しませないといけない責任があるんですけれど、このチケット買って大正解!と思っていただけるものになっていると思います。ぜひぜひお越しください!

――ありがとうございました。公演を楽しみにしております。

<登場人物>
カワタ(三宅裕司)…日系アメリカ人、ジャズバンド「ザ・ツインズ」 ベースメンバー
元星久美(紅ゆずる)…大日本帝国 海軍中佐
アキバ(横山由依)…日系アメリカ人、ジャズバンド「ザ・ツインズ」 ドラムメンバー
松笠大五郎(渡辺正行)…大日本帝国 陸軍元帥
ヤナギダ(ラサール石井)…日系アメリカ人、ジャズバンド「ザ・ツインズ」 ギターメンバー
ハガ(小倉久寛)…日系アメリカ人、ジャズバンド「ザ・ツインズ」 テナーサックスメンバー
フクダ(春風亭昇太)…日系アメリカ人、ジャズバンド「ザ・ツインズ」 トロンボーンメンバー
カケノ(東貴博&深沢邦之)…ラジオ局オーナー、プロデューサー

<イントロダクション>
太平洋戦争も終盤のサンフランシスコ。魅惑の女性DJ“ニューヨークの桜”と共に対日謀略放送に加担している日系アメリカ人ジャズバンド「ツインズ」のメンバーは、アメリカ敗戦!?の大統領声明を聞く。
同じ頃、空港に降り立った日独同盟軍西米国支部作戦本部長である女性海軍中佐は、アメリカ日本化計画を発令する!
その結果、バンドは、嫌いな演歌や歌謡曲を演奏しなければならなくなる。
強面な割には、キュートさも垣間見られる海軍中佐には、さらに別の顔もあったー。
連合国と日独の戦いに翻弄される日系ミュージシャンの悲劇という名の東京喜劇!
笑いと音楽と感動のストーリーがあなたの脳を揺さぶるー大エンターテインメント。
日米爆笑保障条約!署名、調印してください!

<概要>
熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第7弾東京喜劇『Jazzy(じゃじぃ)なさくらは裏切りのハーモニー 〜日米爆笑保障条約〜』
日程・場所:2021年5月30日〜6月27日 新橋演舞場
作:吉高寿男
出演・構成・演出:三宅裕司
出演:
渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太、東 貴博(交互出演)、深沢邦之(交互出演)
劇団スーパー・エキセントリック・シアター
ゲスト:紅ゆずる 横山由依(AKB48)
公式HP:https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/2021_atamigoro/
撮影:金丸雅代
構成協力:佐藤たかし

<取材協力>

◎三宅裕司
スタイリング:加藤あさみ(Yolken)

◎紅ゆずる
ヘアメイク:hanjee(SINGO)
スタイリング:森本美砂子
衣装:ZADIG&VOLTAIRE

◎横山由依
ヘアメイク:大場聡美
スタイリング:林峻之