日本で親しまれ続けてきた名作をお届けするシリーズ「人を思うちから」第三弾は、映画人 を描いた傑作喜劇『キネマの天地』。 本作は映画『キネマの天地』(1986年公開、監督山田洋次、井上ひさしも作者の一人とし て参加)の続編として、井上ひさし自身の書き下ろし・演出で同年、日生劇場にて初演された。 映画出演のために集められた四人の女優達が巻き込まれる、殺人事件をめぐる井上流推理喜劇。どこまでが真実でどこからが虚構なのか…。笑いをあちこちに散りばめながら、人間を魅了してやまない「舞台」の世界を描く。7名の実力派俳優たちによる演劇賛歌の物語。 小川絵梨子が井上ひさし作品に初挑戦。
<あらすじ>
昭和10年、築地東京劇場。
舞台上で準備をしている松竹キネマ蒲田撮影所の助監督・島田健二郎(章平)の前に、娘役 で人気沸騰の準幹部女優・田中小春(趣里)、続いてヴァンプ役で人気の幹部女優・滝沢菊 江(鈴木 杏)、お母さん物で有名な大幹部待遇の徳川駒子(那須佐代子)、最後に大幹部 女優のトップスター立花かず子(高橋惠子)が登場する。いずれも蒲田撮影所所属の、日本映画界を代表する大スター。
超大作の松竹蒲田特作豪華版・喜劇映画『諏訪峠』の打合せに呼ばれてきた四人は、自らを 誇示し、鞘当てし合いながら、上演中に突然死した女優の松井チエ子のことを思い出す。そ こへ、松井の夫でもある映画監督小倉虎吉郎(千葉哲也)が、『諏訪峠』の代わりに、松井 の一周忌記念興行として『豚草物語』の再演を持ち出した。松井殺しの犯人探しが目的の監 督は、万年下積み役者の尾上竹之助(佐藤 誓)を刑事役として雇い、稽古中の四人を見張 らせる。
果たして、この4人の中に犯人はいるのか……。
<演出 小川絵梨子より>
『キネマの天地』は、私がどうしてもやりたかった作品の一つです。はるか昔になります が、私が中学生の頃、演劇部で上演しました。部内のオーディションで、小春の役を貰って 本当に嬉しかったことを覚えています。
あれから30年近くがたち、演出家という立場で、大好きな作品を大好きな俳優の方々と ご一緒できる幸せを噛み締めています。この作品を、このキャストの皆さんとご一緒できる ことが楽しみでなりません。
「演劇、ありがとう」と、演劇への感謝を込めて、作品作りに向かいたいと思います。
<概要>
キネマの天地
スタッフ
作 井上ひさし
演出 小川絵梨子
美術 池宮城直美
照明 榊美香
音響 加藤温
衣裳 前田文子
ヘアメイク 高村マドカ ステージマネージャー 渡邊千穂 テクニカルディレクター 小西弘人
芸術監督 小川絵梨子
主催 新国立劇場
キャスト
高橋惠子 鈴木 杏 趣里 那須佐代子
佐藤 誓 章平 千葉哲也
会場 新国立劇場 小劇場 (京王新線 新宿駅より1駅、「初台駅」中央口直結)
公演日程 2021年6月10日(木)~27日(日)
(6月5日[土]・6日[日]プレビュー公演)
新国立劇場HP:https://www.nntt.jac.go.jp