音楽座ミュージカル「ホーム」 心と心が呼応しあい、そして未来へとつながっていく

音楽座ミュージカル「ホーム」、1994年に初演され、今回新演出により、実に8年ぶりに上演される本作は、第2回読売演劇大賞で優秀男優賞および優秀スタッフ賞を受賞。

出だしは星空、前衛的なダンスシーン、その群舞の中心に一人の女性、いかにも昭和なファッション、そして一転して舞台は昭和30年代、労働者風な男、アドバルーンを管理している。先ほどの女性と出会う。2人で瓶入りのフルーツ牛乳を飲む。また風景は変わり、うねるような音、ロック調の楽曲、安保と叫ぶ若者たち、「理想のために戦う」、1組の男女。場面変わり、先ほどのフルーツ牛乳の2人、かなりの年齢差、結婚することに。そして家にテレビが届く、早速近所の人たちが集まり、みんなでテレビにかじりつくように見る・・・・・・。

ストーリーはアップテンポで展開する。昭和の高度経済成長時代とともに生きる人々。この物語には特別な人も有名人も出てこない、皆、どこにでもいそうな人々だ。舞台上で起こる出来事はありふれたことばかり。年の差婚をした2人、女は花火大会の日に幼い娘と夫を置いて失踪してしまった。安保の2人は男は追われる身となり、女と別れる。女は小学校教師となる。舞台セットはシンプルで最低限の小道具しか出てこない。それでも情景はフルに思い浮かんくる。時は巡り、移ろい、出会い、悩み、人と人とが交錯する。目には見えないが、何かがどこかでつながり、命がつながっていく。そこには優しい時間が流れる。歌と音楽とダンスと芝居で滑らかに昭和から平成の最初ぐらいまでを描く。血のつながりでもない、強いて言えば、心と心が呼応しあい、そこから何かが生まれ、そして未来へとつながっていく。その未来は特別なものではなく、ごく普通にイメージできるものだ。それなのに愛おしくなる未来と絆。多彩な楽曲で彩られたミュージカル、俳優陣は皆、芸達者、うだつのあがらない中年男性、口うるさいその妹、ちょっと存在感の薄い夫、まだらボケのおばあさんに真面目を絵に描いたような女性教師など登場するのは「いる、いる、こんな人」ばかりが登場。

ミュージカルのタイトルは「ホーム」。「家」とか「我が家」が一般的な意味であるが、「故郷」「発祥の地」など色々なニュアンスがある。見えない「家」、皆、実は同じ「家」にいてどこかでつながっているのかもしれない。そもそも出会いそのものは不思議な縁、そんなことを想像させてくれる作品である。

 

土曜昼公演終演後に高校生たちによる吹奏楽の演奏会もあった。荒削りな演奏であったが、元気よく勢いのある演奏、ミュージカル「ホーム」のナンバーの他によく知っているミュージカル楽曲もも披露、楽しいひと時であった。

【概要】

音楽座ミュージカル「ホーム」
2018年6月22日(金)~24日(日)
東京都 町田市民ホール
2018年6月30日(土)
広島県 上野学園ホール
2018年7月28日(土)
愛知県 幸田町民会館 さくらホール
脚本・演出:ワームホールプロジェクト
音楽:高田浩、金子浩介
振付:畠山龍子、杏奈

公式HP:http://www.ongakuza-musical.com

文:Hiromi Koh