2019年に大好評を博したオリジナル朗読劇イベントの第二回公演、ライブドラマシアター「消えにし後ぞ 澄みわたる ―岡田以蔵異伝-」、緊急事態宣言を受けて2021年5月7日(金)、8日(土)の日本青年館ホール公演は中止になったが、オンライン配信は実施された。
5月7日の真紅編を視聴。キャストは岡田以蔵:保志総一朗、武市半平太:佐藤拓也、坂本龍馬:濱 健人、土方歳三:立花慎之介、沖田総司:土岐隼一。
岡田以蔵は、江戸時代末期の土佐藩郷士。「人斬り以蔵」という名は司馬遼太郎の小説名から。幕末の四大人斬りの一人。武市半平太は幕末の志士、土佐藩郷士。土佐勤王党の盟主。大河ドラマでもおなじみの人物。そして坂本龍馬は、江戸時代末期の志士、土佐藩郷士。武市半平太とは、盟友であり、親戚でもあった。土方歳三、沖田総司は言わずと知れた新撰組。土方歳三は、武州武蔵国多摩郡石田村(現・東京都日野市石田)の農家の出身、豪農であった。生家には、少年の頃に「我、壮年武人と成りて、天下に名を上げん」と言って植えたという「矢竹」がある。沖田総司は、9歳の頃、天然理心流の道場・試衛館に入門し、早くも才能を見せ、塾頭を務めたと言われている。
史実とフィクションを交えて物語が進行していく。朗読劇で、殺陣の多い時代劇ではなく声のみで演じるのだが、その声だけで情景が浮かんでくるような臨場感。登場人物全員が悲劇的な結末を迎えるのは、始まる前から視聴者はわかっている。純粋で愚直な岡田以蔵、武市半平太を「先生!」と呼び、どこまでも慕い続ける。単純明快なキャラクターだが、その性根、悲劇的な結末に涙せずにいられない。一方の武市半平太は尊皇攘夷まっしぐら。優れた剣術家であり、黒船来航以降の時勢の動揺を受けて攘夷と挙藩勤王を掲げる土佐勤王党を結成。参政・吉田東洋を暗殺して藩論を尊王攘夷に転換させる。そんな史実を交えながら、”きっとこんな想い、意志の強い人物にちがいない”という想像、これが人物を生き生きと見せる。そんな2人を温かく見る坂本龍馬。時代を見据え、聡明さを併せ持ち、清々しいキャラは一服の清涼剤のよう。そして新撰組の二人、土佐の3人から見たら、明らかに『敵』である。だが、沖田総司と岡田以蔵が初めて出会い、会話をするシーンは、こんな時代じゃなければ、きっといい友人同士になったかもしれない、という空気感が切なく、土方歳三は一本スジの通った無頼漢風情。
およそ2時間の朗読劇、配信でも十分に堪能できる内容で、これがリアルだったら、なおさら!なのかもしれない。「真紅編」は以蔵と半平太の関係性を中心にしており、以蔵と坂本龍馬、以蔵と新撰組の関係を中心にした物語は5月8日の配信になるが、この5月7日の配信のストーリーでも、そこが少し感じられるので、3つの物語を視聴すれば、彼らの運命的な絡みがより深く、立体的に感じられることであろう。また、各キャラクターの決め台詞が!ここは聴きどころ。ラスト、以蔵の見る景色が美しい。
歴史が好きにはたまらない、以蔵の物語、時間があれば視聴を勧めたい。
終了してから、岡田以蔵役の保志総一朗が「劇場で皆さんの顔を見れずに残念でしたが、お茶の間の皆さんにお届けできてよかったです。みんなで頑張って作っていきたいと思います」と挨拶した。
<作品概要>
公演ごとに物語が分岐して以蔵の運命が変化、
それぞれ異なるエンディングを迎えるストーリー!
ライブドラマシアター 第二回公演
「消えにし後ぞ 澄みわたる -岡田以蔵異伝- 」
幕末。黒船の来航により、徳川幕府の治世に大きな動揺が生じ始めていた。
土佐に生まれ育った岡田以蔵は、師匠・武市半平太が目指す理想のために、
その剣を振るうことを決意するが……。
「天誅」と称し、暗殺を繰り返したことで知られる人斬り以蔵。
彼が見ていた景色とは? もしもあの時、別の運命を選んでいたら――?
真実とifが交差する、もう1つの岡田以蔵伝。
――本作は、史実をベースに、岡田以蔵の姿をとらえ直した新しい朗読劇です。
公演回によって、終盤の物語が分岐します。
以蔵と武市半平太の物語を追う「真紅編」
以蔵と坂本龍馬の絆に迫る「紺碧編」
以蔵と新撰組の運命が交わる「浅葱編」
<概要>
「消えにし後ぞ 澄みわたる −岡田以蔵異伝−」
☆開催日時
2021年5月7日(金) 真紅編 18:00 開演
2021年5月8日(土) 紺碧編 13:00 開演
浅葱編 18:00 開演
※各公演とも生配信およびアーカイブ配信実施予定
アーカイブ期間は公演終了後1週間を予定。
☆出演者
岡田以蔵:保志総一朗
武市半平太:佐藤拓也
坂本龍馬:濱 健人
土方歳三:立花慎之介
沖田総司:土岐隼一
☆スタッフ
イラスト:先崎真琴
脚本・ディレクション:犬井 楡
プロデュース:菱山里美
制作・企画:オフィスサイン
主催:バンダイナムコエンターテインメント
☆公式サイト
https://ldt.bn-ent.net/
☆公式Twitter
https://twitter.com/bne_ldt
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.