5月22日、 東京文化会館小ホールにて、 山井綱雄(能舞/謡)、 デーモン閣下(朗読/歌唱/脚本)、 中井智弥(二十五絃箏) による芸能舞台 「悪魔×能×二十五絃箏『能魔ヰ三重箏(のうまいさんじゅうそう)』」 が上演。
「能魔ヰ三重箏」 は、 令和元年12月、 愛知・豊田市能楽堂にて初演。 ロックアーティストとしてだけでなく、 相撲をはじめとする日本伝統芸能・文化にも造詣が深いデーモン閣下、 金春流シテ方能楽師として能楽のあらゆる新しい可能性を拡げ続けている山井綱雄、 類い稀な演奏技術で様々なジャンルの音楽を鋭く深く表現する二十五絃箏奏者の中井智弥の3名が、 互いの文化を融合させた異色の舞台。
『源氏物語』を基調とした能作品の「葵上(あおいのうえ)」と「野宮(ののみや)」の現代語訳・二部構成 となっており、 デーモン閣 下は 朗読、 歌唱、 脚本 を担当。 光源氏の愛を失い葵上への嫉妬から怨霊となった 六条御息所 (ろくじょうのみやすどころ)を、 時に哀しく時に激しく演じたほか、 六条御息所の怨霊と出会う僧、 巫女、 ナレーションなどを声色を絶妙に使い分け熱演。 山井 は六条御息所の哀愁や激情など心の内を繊細な舞と謡で古式豊かに見事に表現。 中井 は現代風のリズムも取り入れれ「一人オーケストラ」と評されるほど巧みな二十五絃箏の演奏で観客に情景を思い起こさせます。 さらに 、 デーモン閣下の「修羅と極楽」や聖飢魔IIの曲 がストーリーと重なる異例の演出も。 圧巻のラストには聖飢魔IIファン垂涎の名曲が流れ、 会場中は興奮の渦に。
終演後のトークでは、 緊迫した舞台から打って変わって3名が緊張もほどけリラックスモードのトークを展開。 少年時代からデーモン閣下のファンだった山井の思いや、 2時間二十五絃箏を弾き続けた中井の苦労が明かされたほか、 デーモン閣下が 「リベンジしたい」 と語る場面も。 そして 「またこの作品を届ける機会ができるといいなと」 という山井の言葉には会場から大きな拍手が送られました。
なお、 会場チケットの販売はすでに終了。 【Go Toイベント対象】生配信・アーカイブ配信チケット は引き続き、 PIA LIVE STREAM、 Streaming+、 楽天チケット配信サービス、 VISUALIVE(海外英語字幕配信) にて割引販売。
<デーモン閣下による見どころ英語コメント動画>
◆能「葵上(あおいのうえ)」ストーリー
光源氏の正妻・葵上は、 物の怪にとりつかれ病床に伏していた。 臣下(ワキツレ)は物の怪の正体を探るべく照日の巫女(ツレ)を呼び出し祈祷させると、 女性(前シテ)が現れる。 女はかって葵上に「車争い」等で辱めを受けた「六条御息所」の生霊(怨霊)だと明かし、 自らの内面の辛い心情を吐露する。 光源氏との幸せだった日々を思い出す内に感情が昂り、 怒りの炎を燃やす御息所は、 葵上を責め苛むと彼女を冥界へ連れ去ろうとする。
臣下は横川の小聖(ワキ)という山伏を招き怨霊退治の祈祷を始める。 すると鬼女の姿となった六条御息所の怨霊(後シテ)が現れ更に葵上を迫害しようとする。 しかし鬼女は小聖の祈りの前にカ尽きて懺悔し成仏してゆくのだった。
◆能「野宮(ののみや)」ストーリー
晩秋の京都・嵯峨野を訪れた旅僧(ワキ)が昔の野宮の旧跡を拝んでいると、 女(前シテ)が現れる。 偶然にも今日・九月(長月)七日は、 光源氏が野宮にいた六条御息所の元を訪れた日。 女は榊の枝を神前に手向け、 その時の御息所の胸の内を語り、 自分こそ御息所の霊だと告げ姿を消した。 その夜、 僧の夢の中に牛車に乗った貴婦人が現れる。 彼女こそ六条御息所の幽霊(後シテ)。 御息所は、 賀茂祭の車争いで葵上から負った心の傷を語り、 寂しげな野宮の様子を見て感傷に浸り哀しみつつ、 昔を思い出して舞を舞う。 やがて御息所は再び車に乗り、 「火宅の門」を一人去ってゆくのだった。
■『能魔ヰ三重箏』公式ウェブサイト: https://t-onkyo.co.jp/ticket/noumaisanjuusou