サンリオピューロランド(東京・多摩センター)では、サンリオのキャラクターの出演のミュージカルを著名演劇人や団体と多くの製作・公演を行い、その実績は演劇関係者・そしてファンにも認知されてきていて、都心部から幾分離れている京王線、小田急線の多摩センターにあっても、観劇を楽しみに来場し、サンリオワールドを満喫している。
2015年に始まった「ちっちゃな英雄(ヒーロー)」は、ネルケプランニングとのコラボ企画で、出演者がマイメロディと男性俳優のみという試みもあり、多くの観衆の支持を得て3年のロングラン、この5月に千秋楽を迎えて「ねずみロス」ツィートが生まれたと聞く。
そのコラボ第2弾となる「MEMORY BOYS~想い出を売る店~」。6月30日の初日を前に、〈先行お披露目公演・記者発表会〉が27日に行われた。上演前の関係者・出演者によるグリィーティングでは、実に心籠ったメッセージがあった。
最初に登壇したサンリオピューロランド館長の小巻亜矢からは、
この「想い出を売る店」は、辻信太郎(サンリオ社長)の原作メルヘンで、本人も数ある自身の原作の中で一番気に入っている作品です。そして、ピューロランドでこの作品の展開を長年に渡り想いめぐらしていました処、今回の舞台化となりました。とても嬉し思っております。実は1985年に「想い出を売る店」を映画化しています。その撮影時にOMOIDE Factoryのセットで使用された外灯が、この舞台では映画と同様にお店の入口に使われています。また、映画のために作って頂いたリチャード・クレイダーマンさんの音楽が使われて(ここにもこの物語の想い出が詰まって)います。辻はこの作品のメッセージ、今回はミュージカルとなりますが「今日という日もすぐに過去になっていく、何年か経って思い出す想い出が美しい絵葉書を見るようにありたい、一日一日を丁寧に生きていくその大切さ、、、」
そんなメッセージを感じて頂きたい。
続けて登壇したネルケプランニング代表取締役社長の野上祥子からは、
サンリオピューロランドのコラボ第2弾の披露を迎えられて大変ありがたく感じています。私たちの2.5次元舞台で培ってきたノウハウを充分に生かして、前作に引き続き、新たな夢のエンターテイメントの舞台をご披露できればと思っています。また本作でも若手俳優たちが目の前で巻き起こす風や熱量を体験して、新しい想い出として持って帰ってください。
続けて、ストリーテラーのマイメロディを含めた出演者たち(主演メンバーのスチームパンク風の衣装が印象的!)が登壇し、フォトセッションが行われた。報道関係者だけでなく、当日会場に集まったサンリオピューロランドのアンバサダーやネルケプランニングのファンの皆さんにも撮影チャンスが用意されていて、数え切れない程のシャッターが切られた。
発表会は締くくりとなり、今日の上演に出演するチームフォルテでマーチ役を担う瀬戸祐介から、この作品は、家族愛、友情がテーマになっています。とても前向きで温かい作品になっていて、僕たちカンパニーで大事に育てています。多くの方々の想い出に残るような作品にしたいと、熱量を感じられるメッセージが、
そして、マイメロディからは「最後までごゆっくりお楽しみくださいね♡(←ハートマーク)おねがいっ!」とご挨拶。拍手と「カワイイ」と歓声があがっていた。
なお、挨拶について付け加えることがあって、出演者のみならず、関係者(小牧館長、野上社長)の舞台中央への登壇移動時にも軽快な明るいBGMが流れされていたのが、“サンリオ可愛らし感”に溢れていた。
開演までの間に劇場を見渡すと、その装飾の行き渡り度には目を見張るものがある。客席側へも物語世界を支える舞台装飾と同様の飾り付けがなされ、客席の椅子ひとつひとつまでもそのメルヘンの世界観を成してい様。観劇の際には、舞台と同様に注意して見てみると、新たな発見からの楽しさが一層増してくる。
さて、舞台は40分ほど、詳細をお伝えするとあっという間にネタバレともなる、ネルケならではの歌って踊ってのステージは楽しく、そして心地良く観ている間に気づけばフィナーレを迎えてしまう程。プロローグ的な部分をお伝えすると、、、
マイメロディがストーリーテラー役を担って電子紙芝居風に序を開く。個性豊かな3人の若者、マーチ、セレナーデ、ノクターンのMEMORY BOYSたちが明るく楽しく働いている想い出を売る店「OMOIDE Factory」。そこは誰もがひとりひとりの心にある、大切な想い出に触れることができる店だ。
ある日のこと、彼らの住む街でコンサートが開かれることになる。出演を真近にするバイオリニストのルバートとその兄のラルゴが店を訪れ、兄弟ふたりが亡き父と共に演奏していた幼い頃の想い出に触れていった。しかしコンサートの直前、ふたりが大切にしているバイオリンが無くなってしまう。バイオリンは父から贈られた楽器で、兄弟と父の想いがつまった宝物。
バイオリンの行方を探る MEMORY BOYS は、過去に兄弟のバイオリンが壊される事件があったことを知る。
果たしてバイオリンは見つかるのか?
過去の事件との関係は?
物語をやさしく(かわいく)見守るマイメロディはとても愛らしい。
舞台作りに、演出は進戯団 夢命クラシックスの伊藤マサミ、脚本・作詞を浅井さやか、音楽は坂部剛、振付に本山新之助という、ネルケプランニング、サンリオミュージカルで実績のある布陣。
観劇にはサンリオピューロランドの入場料金が必要だが、一日に2度、3度、休日には4度と上演されるので、チャンスがあれば一日でリピーターにされるという定額お代わり観劇。これはサンリオ×ネルケ魔法の舞台なのだろうか。
【概要】
上演開始日:2018年6月30日~ 終了日未定
上演会場: フェアリーランドシアター
(サンリオピューロランド 内1F 東京・多摩センター)
ランニングタイム:約40分
上演回数:平日 2~3回、休日 4回 (予定)
※休日とは、土日祝日およびピューロランドが指定する学校休日です。
原作:「想い出を売る店」(著:辻信太郎)
制作協力:ネルケプランニング
脚本・作詞:浅井さやか
演出:伊藤マサミ(進戯団 夢命クラシックス)
音楽:坂部 剛
振付:本山新之助
演出協力:亀田真二郎(東京パチプロデュース)
衣裳デザイン:加藤佑里恵(藤衣裳)
ヘアメイク:アトリエレオパード
イラスト:名尾生博
技術監督:寅川英司
出演:俳優名 チームフォルテ、チームアレグロの順 ※敬称略
マーチ(メモリーボーイズ) / 瀬戸祐介、真田貴裕
セレナーデ(メモリーボーイズ) / 中尾拳也、木村 敦
ノクターン(メモリーボーイズ) / 佐野真白、渡部大稀
ルバート / 笠原彰人、木原健人
ラルゴ / 五十嵐拓人、平井雄基
グリッサ / 鈴木雅也、増本健一
マイメロディ
「MEMORY BOYS~想い出を売る店~」に関する情報掲載サイト:
https://www.puroland.jp/liveshow/memoryboys
©1976, 2009 SANRIO CO., LTD. ©1976, 2018 SANRIO CO., LTD.
取材:Kouji Senda