舞台「信長の野望・大志」がシリーズ第五弾にしてついに最終章。7月23日、開幕した。
2018年に初舞台化、第一弾公演「信長の野望・大志 -春の陣- 天下布武 ~金泥の首編~」、第二弾公演「-冬の陣- 王道執行 ~騎虎の白塩編~」、第三弾「夢幻 ~本能寺の変~」、第四弾公演「-零- 桶狭間前夜 ~兄弟相克編~」を上演。今回の第五弾は、本来は昨年、2020年に上演されるはずだったが、コロナ禍で延期を余儀なくされたが、今年、満を持しての上演。しかも織田信長も明智光秀もいる「関ヶ原の戦い」となる。
原作はコーエーテクモゲームスの「信長の野望」シリーズ。1983年に発売されたゲームで、ここから歴史シュミレーションというジャンルが確立された。この舞台化、ゲームファンはもちろん、歴史ファンにとっても今回の設定、関ヶ原の戦いに織田信長も明智光秀もいる!壮大かつ大胆な『IF』となっている。
冒頭で現れるのは明智光秀、あの格好で現代に現れる。本能寺の変の後、どういうわけか現代へ、そして再び、自分がいた時代、つまり戦国時代へリターン。この舞台を観ているファン、ゲームファンは、ここでなんとなく察しがつくかもしれない。それから映像とともに過去公演の映像が流れる。この公演は第五弾、全部観ているなら『復習』になり、ところどころ観ている、あるいは、このシリーズが初めてなら、ここで今までの流れは押さえることができるはず。
今井宗久が登場、あまりストーリーには絡まないキャラクターであることはシリーズを知っていれば。今井宗久もわかりやすい”解説”をしてくれるので!
それからオープニング、田中れいなの歌、今回登場する武将が次々と登場する。ゲネプロでは「SIDE織田 紅血」が披露された。つまり織田信長側を中心に描いている。
1幕では、本能寺の変以降の武将たちが描かれる。本来の歴史通りなら、いないはずの武将がいる。その中でも、今回のキーマンは織田信長のすぐ下の弟、織田信行だ。なんと、東北地方を掌握している一大勢力となっている。どのような人物だったかは資料が乏しく、よくわかっていないが、史実では、兄の信長は信行を呼び出し、毒殺している。ここは2020年の大河ドラマ『麒麟が来る』でも描かれていた。今回は、織田信長を脅かす存在となっている。信行はまず、兄の信長とは絶対に手を組まないであろうことは容易に想像できる。
それぞれの武将の思惑や忠誠心、前のシリーズでも描かれていたが、上杉謙信は本来はいない。ここでは織田信長を全力でサポートする。前田慶次郎とはいいコンビっぷり。その前田慶次郎、波乱の人生を送ったようだが、不明な点が多く、江戸時代に入って伝説的な武将となった。武術に優れ、京では傾奇者として知られた存在、ここではそのキャラクターを投影しており、コミック『花の慶次 -雲のかなたに-』で大概の歴史好きは知っているであろう。1幕では、関ヶ原の戦いの直前までを描き、どの勢力がどういう立場になるかを描き、2幕では戦いが描かれる。
前の舞台シリーズもそうだが、それぞれの武将の心模様というのだろうか、気持ちや、自分の未来について揺れ動く。秀吉は井伊直⻁から”本当の歴史”を聞かされている。秀吉は天下を統一し、関白になる、これは誰もが知っている史実。柴田勝家、史実ではお市の方と結婚(お市の方は再婚)し、最期は二人揃って自害する。この舞台ではそれはないが、柴田勝家のお市の方への想いがここで切々と…勝家の最期は感涙。登場する武将それぞれの心が丁寧に描かれているので、要チェック。2幕は上杉謙信らの戦いぶりが!!目が離せない!
今回のキーマン、信長の弟である織田信行、いわゆる”ヒール役”にあたる、天下を取りたいという野望、史実とはどちらかというと真逆な印象で真面目で人望も厚かった、よって周囲の家臣や母からは”世継ぎにふさわしい”と思われていた。多分、本人もその気だったかもしれないが、兄に殺される運命、そこを想うと、徹底的に兄・織田信長に立ちはだかり、不敵な笑みを浮かべるのもわかるような気がする。また、何人かの武将は現代の記憶を持っている。よって、「これ、戦国時代には絶対にないよね」と」いう”武器”もでてくるので!!また、「本当の歴史では」というフレーズが出てくるが、つまり、自分たちが生きている戦国時代は伝えらえれている戦国時代とは違うことがわかっている。一種のパラレルワールドっぽい設定、だから面白い。最後の最後はどうなるのか?織田信長は?信行は?明智光秀は?想いははかなく、それでも夢を見る武将たち、彼らの最後の景色は劇場で!!
なお、”本編”が終わって、彦摩呂扮する今井宗久が、あるものを足利義昭からもらうが、そこは笑って!
なお、ゲネプロの前に簡単な会見が行われた。登壇したのは鶏冠井孝介(織田信長役)、田中れいな(お市役)、谷 佳樹(明智光秀役)、彦摩呂(今井宗久役)。今回は最終章、本来は2020年に上演するはずであったので、挨拶では
鶏冠井孝介(織田信長役)
「最終章、嬉しく思います」
谷佳樹(明智光秀役)
「前回は本能寺の変だったので全うしたかと思ったのですが、明智光秀復活!ということで光秀さらにパワーアップ」
彦摩呂(今井宗久役)
「開催できて嬉しく思います」
田中れいな(お市役)
「ようやく開けて、嬉しい反面、最終章なので、いつもと違う素敵な感じで涙します。めちゃくちゃ泣ける最終章!」
今回もWストーリー、「最初にわかりやすく説明するシーンがあり、それから本編に入ります」とのことであるが、ストーリー分岐点は容易にわかるので!」と鶏冠井孝介。谷佳樹も「Wストーリー、それぞれ別作品、SIDE 織田の裏側がSIDE 明智」とコメント。ただ、これだけ長く続いたシリーズ、初演からずっと出演している4人、田中れいなは「寂しいなー」と。谷佳樹も前日のカーテンコールの練習では「泣きそうだった」と吐露。一同、口々に「泣くね〜」と。それだけ、カンパニーの結束力がある証拠。「オープニングから泣きそう。久保田唱が憎い演出を!」と谷佳樹。また彦摩呂は「10本やってるのと一緒(全てWストーリー)、両サイドの魅力、『信長の野望』ならでは」と語る。彦摩呂はこの今井宗久役を初演からずっと。そしてグルメレポーターらしく、それをいなり寿司(いなりの裏表)と海苔巻き(海苔で巻いてるか、海苔が内側で外側がご飯とか)に例える!妙にわかるやすい(笑)。また彦摩呂は「俳優業は役になる楽しさがある。面倒見の良い関西のおっちゃんです(笑)」とコメント。
また記者から作品タイトルにちなんだ質問「自分の野望」について。皆、しばし考えるが、彦摩呂が「人生も芸能界も生きてやる!!」と笑わせた。谷佳樹は「彦摩呂さんみたいになりたい。誰に対してもフランクで気遣いできる。この自然さが素敵で。我々の周りでも前から『彦摩呂さんみたいになりたいね』と」と語る。鶏冠井孝介は「犬か猫を飼いたい。(だから)家を建てたいという野望が…まだまだ生き抜きたい」といい、田中れいなは「もっともっとやらねば。自分のことをアイドルと思っていない。『いつまでアイドルやるんだ』というアンチがいます。女優と言われれば、『ありがとうございます』と言いたいし、アーティストといわれれば恐縮。肩書きなどにとらわれずに田中れいなとしてやっていきたい」と語った。 また、オリンピックがいよいよ始まったが、彦摩呂が「『信長の野望』自体がオリンピック競技!!」と笑わせ、田中れいなは「お市の歌の集大成を!」と意気込んだ。
<インタビュー記事>
<概要>
日程・会場:202年7月23日(金)〜7月29日(木) かめありリリオホール
原作:コーエーテクモゲームス
脚本・演出:久保田唱(企画演劇集団ボクラ団義)
出演:
(織田信⻑家)
織田信⻑ 鶏冠井孝介
お市 田中れいな
茶々 早乙女わかば
上杉謙信 根本正勝
前田慶次郎 友常勇気
浅井⻑政/重政 釣本南
柴田勝家 鵜飼主水
丹羽⻑秀 中村ヒロユキ
(織田信行家)
織田信行 沖野晃司
池田恒興 松本慎也
林通具 黑木文貴
松永久秀 南翔太
霞 坂本遥奈
真田幸村 松島勇之介
伊達政宗 横尾瑠尉
愛姫 内木志
(豊臣家)
豊臣秀吉 後藤健流
ねね ⻫藤レイ
石田三成 尾崎尉二
黑田官兵衛 幸村吉也
島津義弘 杉江優篤
(徳川家)
徳川家康 輝山立
井伊直⻁ 緒月遠麻
石川数正 坂垣怜次
本多忠勝 白柏寿大
井伊直政 松村優
望月祐治 佐竹義重
笠原織人 高田紋吉
(その他の勢力)
今井宗久 彦摩呂
お橋 内藤好美
お焦々 荒澤守
本願寺顕如 吉田宗洋
足利義昭 加藤凛太郎
(勢力不明)
明智光秀 谷佳樹
(アンサンブル)
太田達也 橋本直也 内海一弥 りゅう 溝口雄大 矢澤梨央 盛一季美
公式 HP:https://nobunaga-stage.com/
公式Twitter:https://twitter.com/nobunagastage?lang=ja @nobunagastage
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※「信長の野望•大志」の「・」は正しくは半角です。