2022年1月松山ケンイチ主演舞台『HANA』の上演が決定。栗山民也×畑澤聖悟(こまつ座「母と暮らせば」)と松山ケンイチが初タッグ! 沖縄の日本復帰50年目にあたり、 返還直前の沖縄に生きる人々を描く。
常に時代と向き合い演劇の力を信じて力強い作品を送り出している演出家・栗山民也が長年見つめてきた沖縄を題材に、 同志のようと信頼する作家・畑澤聖悟に書き下ろしを託し、その演技力を舞台の上で観たいと待ち望まれ、ついに会話劇初主演となる松山ケンイチと初タッグを組みことになった。 沖縄返還50年目の2022年、上演。返還直前の沖縄に生きる人々の様々な想いが爆発した、 歴史的にも意義の大きなコザ暴動を背景に、沖縄、本土、アメリカ――戦後沖縄の縮図のようなバーでの一夜を描く物語。
母親の愛情、 そして妹への想いをめぐって分断してしまった二人の血のつながらない兄弟。 コザ暴動の夜、 それとは全く関係なく、 家の中で起きた事件により、 ばらばらになりかけた家族に変化が起きる―――いびつな「偽の家族」のが、 心からぶつかり合いわだかまりを溶かしていく様子を通して、 沖縄という土地が背負わされているもの、 現在も変わらぬその業と見つめるべき未来を浮かび上がらせていく。
ーキャスト・スタッフコメント
■演出:栗山民也
沖縄を見つめる
20年も前のことになるが、 沖縄のプロデューサーから、 沖縄を題材に、 沖縄出身の女優で、 沖縄発信の作品を作りたいという話があった。 とても小品ながら、 大事な作品が生まれた。 それがきっかけとなって、 その時に出会った人たちとともに、 毎年沖縄の新しい若者たちと演劇教室なるものが企画され、 わたしの何割かの生活は沖縄と一緒になった。 むしろわたしからの熱望だったのかもしれない。 毎回わたしの中の沖縄はぐんぐんと大きく育っていった。 今回、 沖縄復帰50年という節目に強く拘ったわけではないが、 「それで、 沖縄は変わったのか」と自らに問い続けながら、 毎年訪れるたび58号線から続くフェンス越しの変わらぬ基地の風景をじっと見つめる、 沖縄の光と影を。
台本は、 信頼する劇作家の畑澤さんに頼んだ。 物語を通し、 闘える同志のような方だ。 またご一緒する俳優たちとの新しい出会いも楽しみだ。 たくさんの思い出を辿りながら、 たくさんの沖縄の友人のもとに送る、 熱く抱きしめたい作品になればと思う。
■作:畑澤聖悟
沖縄について書いてみないか?と栗山さんに言われたのは、 栗山さんが栄えある大賞を受賞された読売演劇賞受賞パーティ席上でのことだった。 沖縄には不思議と縁がある。 戯曲として取り組むのはこれで4本目。 青森で劇作家やってる人間が2000km離れた沖縄をオリンピックとほぼ同じ周期で書いてるとはただの縁ではない。 とはいえ、 正直困った。 「好きに書いてくれ」とは言われたが、 何処に手を付けたらいいのか。 沖縄は巨木である。 太陽に向かって見上げるほど高く枝を伸ばし、 色とりどりの花を咲かせ、 果実を実らせ、 暗く悲しく太い根を見えない地下に張り巡らせている。 沖縄に惹かれてやまないのはこの途方もない大きさの故ではないか。 敬愛する沖縄と沖縄の人々に恥じぬよう、 沖縄を描いてきた諸先輩に負けぬよう、 とにかく、 ベストを尽くします。 ご期待ください。
■松山ケンイチ
この作品、 キャスト、 スタッフと出会うことで一つのターニングポイントになると思います。 観客の皆様にとってもそんな作品になるよう力まず背負わず伝えていけたらと思っています。 よろしくお願い申し上げます。
■岡山天音
この舞台作品に取り組む事が、 自分にとっていかなる体験になるのか、 今はまだ全くの未知数です。
演出の栗山さん、 共演させていただく松山さん、 余さんはじめ、 この舞台を象る全ての人たちと溶け合い、 そこに立ち上がる「家族」の在り方に自分が何を見出すのか、 期待に心を震わせております。
違う時代、 違う場所で生きたアキオの姿が、 僕の体を通し、 舞台上で表出する時を待っております。
■神尾 佑
栗山さんの演出作品は今回で2度目です。 緻密で繊細で刺激的なその演出は俳優にとってとても高いレベルの演技を要求してきます。
それは俳優にとってとてもプレッシャーではありますが、 栗山さんの揺るぎない、 確信を持った演出に導かれると自然とその世界に存在しているような気がします。
今回の新作ではどのような脚本でどんな世界観を栗山さんが作り上げるのか、 それを才能あふれる共演者の方々と作り上げることが今から楽しみで仕方ありません。
■余 貴美子
私が舞台を務めますのは7年振り。 演出の栗山民也さんとは、 なんと30年振りの再会。
そして沖縄のおかあという役どころ。 沖縄の物語に関われる事は、 楽しみであり責任を感じます。 丁寧に務めさせて頂きます。
<あらすじ>
1970(昭和45)年12月20日(日)深夜。
コザ市ゲート通りにある米兵相手のバウンショップ(質屋)兼バー「HANA」では、 看板の灯が落ちた店内で、 おかあ(余貴美子)、 娘のナナコ(上原千果)、 おかあのヒモのジラース(神尾佑)が三線を弾きながら歌っている。
そこへ、 アシバー(ヤクザ)となり家に寄り付かなくなった息子のハルオ(松山ケンイチ)が突然現れる。 おかあが匿っていた米兵を見つけ、 揉めていると、 バーに客がやってくる。
「毒ガス即時完全撤去を要求する県民大会」帰りの教員たちだ。 その中には、 息子のアキオ(岡山天音)もいた。 この数年、 顔を合わせることを避けていた息子たちと母親がそろった夜。 ゲート通りでは歴史的な事件が起ころうとしていた。
血のつながらないいびつな家族の中に横たわる、 ある事実とは。
<登場人物(予定)>
ハルオ(29)※終戦時4歳・・・松山ケンイチ
祝(いわい)ハルオ。 家族は沖縄戦の折、 艦砲射撃によって全滅。 独りだけ生き残り、 おかあに引き取られ育てられた。 高校に進学するが、 おかあの期待を裏切ってドロップアウトする。 金武のAサインバーでバンドマン兼用心棒を務めていたが、 現在はギターを弾くこともなくアシバー(ヤクザ)となっている。
アキオ(29)※終戦時4歳・・・岡山天音
祝アキオ。 沖縄戦の折、 祖父は日本兵に殺され、 残りの家族はガマ(洞窟)で集団自決。 孤児となり、 センター街で浮浪児をしている頃、 おかあに引き取られる。 高校、 大学と進み、 代用教員となった。 沖縄教職員会の幹部として、 沖縄県祖国復帰協議会(復帰協)の活動に勤しむ。
おかあ(60)※終戦時35歳・・・余 貴美子
祝ユキコ。 嘉手納基地の滑走路で潰された野里村(現嘉手納町)生まれ。 1944年(昭和19年)日本軍の中飛行場設置のため村ごと強制接収された。 1944年の十十空襲で家族が死亡。 野里にマブイ(魂)を落としてきた。 戦後、 コザの収容所にいたとき、 軍属だったジラースと援助金ほしさに偽装結婚する。 収容所内の劣悪な孤児院で、 自分の名前もわからない4歳くらいの男児を二人引き取り、 ハルオ、 アキオと名付ける。 自分の子どもたちに教育を受けさせ「まっとうな」仕事に就かせることが人生の目標。 そのために脇目も振らずに働いてきた。
ジラース(55)※終戦時30歳・・・神尾 佑
宮良次郎。 八重山出身。 戦時中、 徴兵され、 中国の戦場で現地人の虐殺に加担し戦犯となって収監された。 配給を有利にするため、 おかあに偽装結婚を持ちかけ、 そのままヒモとなった。 籍は入れておらず、 おかあの子ども達には「ジラース(次郎おじさん)」と呼ばせている。 働かずバーで三線を弾いてばかりいる。 戦後まもなくの頃は戦果アギヤー(米軍基地に盗みに入る)をやっており、 何度かハルオとアキオにも手伝わせた。
比嘉(42)※終戦時17歳・・・櫻井章喜
比嘉高信。 沖縄教職員会の幹部。 沖縄県祖国復帰協議会の重鎮。
鈴木(35)・・・金子岳憲
鈴木大介。 本土から視察に来た日教組幹部。 アマチュアカメラマンでもある。
ミケ(25)・・・玲央バルトナー
マイク・ミケルソン。 ミシガン州出身の海兵隊員。 ベトナム帰り。 脱走を望んでいる。
ナナコ(19)・・・上原千果
祝ナナコ。 おかあがAサインバーで働いていたとき客の米兵(白人)との間にできた子。
他
<公演概要>
舞台『HANA』
[スタッフ]
作:畑澤聖悟
演出:栗山民也
[キャスト]
松山ケンイチ
岡山天音
神尾 佑
櫻井章喜
金子岳憲
玲央バルトナー
上原千果
余 貴美子
他
[東京公演]
期間:2022年1月
会場:東京芸術劇場プレイハウス
主催:ホリプロ
企画制作:ホリプロ
※ほか大阪公演、 宮城公演あり
公式HP https://horipro-stage.jp/stage/hana2022/
公式Twitter https://twitter.com/stagehana