大人から子どもまで楽しめる特別企画、アンドロイド「オルタ3」出演、多様な子どもたちの合唱とオペラ歌手、オーケストラ、バレエダンサー、ともに歌い演じる。2021年夏、日本の現代舞台芸術の殿堂・新国立劇場から未来への共生のメッセージを込めた新しいオペラが誕生する。
本作品のためオルタ3はプログラムを新たに開発、進化し登場。オペラハウスでアンドロイドと子どもたちが創り出す画期的なオペラ。
この世界にとってマザーとは何か? 近未来を抽象的に表現したXYZ軸のマトリックス空間にデジタル技術を駆使したプロジェクションが投影され、科学技術と人間の共生をテーマにした神話的世界が展開。
「科学技術」「共生」 というテーマを織り込んだ新しい舞台作品を通じ、舞台芸術の可能性を広く世に問い、その魅力を国内外にアピールすべく、“子どもたちとアンドロイドが創る新しいオペラ”。
インクルーシブな表現を企図したオペラでもある。キャストには少年アキラ役にカウンターテナーの藤木大地、アキラが恋するエリカには可憐なコロラトゥーラの三宅理恵ら、日本有数のオペラ歌手達が出演。新国立劇場合唱団、東京フィルハーモニー交響楽団、さらに新国立劇場バレエ団も参加し、新国立劇場始まって以来のオペラ、舞踊、演劇全ジャンルのコラボレーションが実現する。
総合舞台美術として、美術・衣裳・照明・映像のディレクションは、日欧で活躍し、日本人として初めてワールドステージデザイン銅賞に輝き、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の英国最優秀舞台美は術展にも二度に渡り選出された針生康が担当。刺激的なミュージックビデオで世界的に名を馳せるビジュアルアーティストのWEiRDCORE (ウィアードコア)の映像とのコラボレーションが実現。舞台上には、近未来を抽象的に表現したXYZ軸のマトリックス空間に、デジタル技術を駆使した最新鋭のプロジェクションが展開。
映像が映し出され、息遣いが聞こえる。その映像は宇宙のような空間から刻々と変化し、空、雲、森、道路などを見せていく。主人公・アキラは卒業式は葬式と歌う。15歳になると適性検査で選別され、アキラは異端児扱いされた。そしてコーラス、白い衣装を着た世田谷ジュニア合唱団、ホワイトハンドコーラスNIPPON、「5人の天使が守ってくれる」と歌う。全知全能AIの「マザー」の声が響く「自分の使命を果たしなさい」と。
ホワイトハンドコーラスNIPPONは視覚や聴覚に障がいのある子どもらによる合唱と手話のパフォーマンス隊で、この手話が流れるように美しい。アキラはゴーレム3やAIドクターのエリカに会う。アキラはエリカに恋をする。近未来のようでもあり、どこかの神話のような物語、過去でもなく、未来でもない、0でもなく、1でもないと歌う。科学の力、人間の想い。
メインキャラクターはアキラとエリカであるが、もう”ひとり”のメインキャラクターはアンドロイド「オルタ3」。この「オルタ3」がオーケストラの演奏に合わせて歌い、人間のオペラ歌手とともに歌い、演じる。まさに21世紀のオペラ、「オルタ3」、表情は変わらないが、その動き、手振りで感情を表現する。ロボットと人間が共存する、かつては絵空事でアニメやコミックの中でのことだったのが、リアルに舞台で展開、既存の概念では考えられない冒険的な場面。またアキラはエリカに「僕は生きている死者」と歌い「ここは夢と現の間」と歌うシーンがある。ギリシャ神話のようなテイスト。彼らに拮抗するキャラクターがジョージ、ラスト近くで「頭の中の崖が崩れる」と頭を抱える。
アキラを演じるのはカウンタテナーの藤木大地、エリカはコロラトゥーラの三宅理恵、二人の二重唱は歌声が澄み切った高音で美しく、物語の虚構性がよりクローズアップ。映像と歌声とアンドロイドとダンス、そして手話、抽象的な装置と相まって、普遍的なテーマを提示する。迷ったり、憧れたり、そして時にはうまくいかないこともあるが、共に生きること。SFでありながら、どこか神話っぽい、新国立劇場はバレエ(舞踏)とオペラと演劇と3つに分かれているが、この舞台は、この3つの部門が協力しあって作り上げた作品。それぞれの力を結集した新しいステージ、技術がさらに発達すれば、この作品もUP TO DATEするであろうことは容易に察しがつく。再演をして、さらなる新しいステージを創造してほしいと思う。
<物語>
ある学園の卒業式。卒業生たちは15歳になると適性検査で選別され、全知全能AIの「マザー」の管理下に置かれる。アキラは「異端」指定され、開拓地に送られることになったが、教育係のアンドロイド、ゴーレム3と出会う。ゴーレム3はアキラ、AIドクターのエリカらとの交流を通じて欲望や祈りなど人間がもつ感情や夢見る力を感じ取りながら、何かとてつもないものを作り出そうとしていた。
<概要>
日程:2021年8月21日(土)14:00/22日(日)14:00
会場:新国立劇場 オペラパレス
総合プロデュース・指揮:大野和士
台本:島田雅彦
作曲:渋谷慶一郎
演出監修:小川絵梨子
総合舞台美術(装置・衣裳・照明・映像監督):針生 康
映像:WEiRDCORE
振付:貝川鐵夫
舞踊監修:大原永子
演出補:澤田康子
オルタ3プログラミング:今井慎太郎
合唱指揮:河原哲也
舞台監督:髙橋尚史
[キャスト]
ゴーレム3:オルタ3 (Supported by mixi, Inc.)
アキラ:藤木大地
エリカ:三宅理恵
ジョージ:成田博之
ルイジ:小泉詠子
世田谷ジュニア合唱団
ホワイトハンドコーラスNIPPON
新国立劇場合唱団
渡邊峻郁、木村優里、渡辺与布 中島瑞生、渡邊拓朗 (新国立劇場バレエ団)
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場三部門連携企画
芸術監督:大野和士(オペラ)、吉田 都(舞踊) 、小川絵梨子(演劇)
主催:文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会、公益財団法人新国立劇場運営財団
制作:新国立劇場
後援:渋谷区教育委員会/東京都私立初等学校協会/東京都公立小学校長会
公演情報 WEB サイト https://www.nntt.jac.go.jp/opera/super_angels/
舞台撮影:鹿摩隆司 提供:新国立劇場