舞台『ヒミズ』が9月18日より開幕する。ギャグが一切ない古谷実の力作『ヒミズ』の舞台化、2012年に染谷将太と二階堂ふみのW主演で実写映画化されている、舞台版『ヒミズ』、Mixalive TOKYO 「Theater Mixa」にて!!
原作を読んでいるなら、ストーリーの説明は不要。校長先生のスピーチ、学校時代、校長先生の話、”早く終わらないかな”と思っていた観客も多いと思う。主人公・住田もその一人だ。「はあ〜?!」、住田(西山潤)の家庭は恵まれているわけではない。貸しボート屋を営んでいる。住田、茶沢(松田るか)、舞台だけのオリジナルキャラクター・ソレ(三津谷亮)以外の俳優陣は複数役を演じる。その演じ分けは見所。
特別であることを嫌う住田、学校では仲のよい夜野正造(田名瀬偉年)と、「漫画家になる」という夢をも持つ赤田健一(久獅)とともにワイワイと。
赤田に対しては夢を見る事への愚かさを罵るが、友達として至って普通な日常。そんなささやかな日々が描かれる。ところが、ある日、母親(柴田時江)が家を出てしまった。そこから”普通”の歯車が狂っていく。その過程はジェットコースターのようなスピード感で進行する。中学三年生、元気だけは余っている。物語が進むにつれて、そんな日々が愛おしくなってくるような、不幸と不運が押し寄せる。それは住田だけでなく、周囲の人々を巻き込んでいく。夜野は住田を心配、スリを働くも、偶然スリの常習犯である飯島テル彦(木ノ本嶺浩)に見つかってしまい、夜野の日常も崩れていく。元父親(モロ師岡)のクズっぷり、ギャグは一切なし、複雑で救いようのない状況が怒涛のように押し寄せる。
スピード感のある舞台、緊張感に満ちた空間、悪がはびこる、殺人、盗み、これでもか!という不幸の連鎖、住田演じる西山潤、”この絶望に満ちた世界”で必死に生きる姿を見せる。救いの手は幾つかあったはずだが、最終的には…住田の生き様についてはコミックもそうだが、かなり考えさせられる。彼のそばにいて住田を支えようとする茶沢、演じるは松田るか、まっすぐな茶沢をストレートに演じて好感が持てる。モロ師岡、クズな父親、暴力団組長など、癖のあるキャラクターを演じたらピカイチ、存在感を放って好演。
またソレの存在、ここは舞台だけのキャラクターだが、このソレ、住田と同じ服装をしている。皮肉っぽい言葉を放ったり、ときには住田の心の声のような、ソレは住田にしか見えていない。
複雑な展開、不幸のミルフィーユ、作品を知っていれば、衝撃のシーンもわかる、コンクリートブロックでの殺人、芝居であるのはわかっているが、凄惨な場面。ラストは…そこは劇場で!!カテゴリー的には2.5次元であるが、骨太のヒューマンドラマ、極限状態、人間の生き様、がっちりと描いているので!なお、配信も決定。劇場に行かれないから、という方はもちろん、劇場で観劇したという方も!
<谷碧仁コメント>
たった今、客席から舞台を眺めております。
どうしても感じざるを得ない。ああ、ここで住田は14年生きてきたんだ。劣悪な環境の中、へこたれず、必死に生きて、しかも目標高く生きてきたんだなと。それだけでもう拍手を送りたい気持ちとなり、そして何より尊敬の念が深まる一方だ。
そして、そこから今作品の1年間が始まるのだ。
彼は今までにない程、多くの人や事柄と出会う。それは彼自身初めての体験である。自分の事を好きだという女性。自分の事を慕ってくれる友人。そして他者との別れ、自分自身との別れ……。
どうか、住田という「一人の14歳」の姿を見届けて頂きたいです。
「正しい」や「間違い」などという縛りではなく、事実として受け止めていただけるよう、最後まで突き詰めていきたいと思います。
【配信チケット】
配信日:9月23日(木祝)13:00/18:00
※公演後1週間のアーカイブ配信あり。
チケット発売:
9月18日(土)10:00〜
プレイガイド:カンフェティ
https://www.confetti-web.com/himizu_streaming
<概要>
タイトル
舞台『ヒミズ』
日程・会場
2021年9月18日(土)~26日(日)
東京・Mixalive TOKYO 「Theater Mixa」
原作
古谷実(講談社刊)
脚本・演出
谷碧仁
出演
西山潤
松田るか
三津谷亮
木ノ本嶺浩
久獅
柴田時江
前田悠雅(劇団4ドル50セント)
田名瀬偉年(劇団時間制作)
佐々木道成(劇団時間制作)
モロ師岡
主催:舞台『ヒミズ』製作委員会
劇団時間制作公式HP
http://zikanseisaku.com/
劇団時間制作公式Twitter
@zikanseisaku
©古谷実・講談社/舞台『ヒミズ』製作委員会