「KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~」、全く新しいエンターテイメント、サンリオのキャラクター達が歌舞伎の新衣裳で登場し、見得や大立ち廻りを披露する。サンリオと松竹がタッグを組む、ピューロランドで歌舞伎を取り入れたミュージカルを上演するのは初めてのこと。また、声の出演として中村獅童が【鬼】の声を担当、坂東巳之助が歌舞伎のPRキャラクター「かぶきにゃんたろう」と一緒に映像で登場し、ハローキティに立ちはだかる困難を救う。物語は誰もが知っている昔話「桃太郎」を題材とし、歌舞伎に縁がない観客も楽しめるような工夫がなされている。もちろん、歌舞伎ファンにとっても必見な舞台、これは楽しみ!
3月10日の上演に先がけて、公開ゲネプロが行われた。まず、館長の小巻亜矢より挨拶があった。「クールジャパンと伝統芸能のコラボ」と語り、またお伽噺には「人の想いが根底にある」とコメント。「『みんな仲良く、違いを受け入れて心をひとつに』をテーマに感動して頂ける作品に仕上がっています」と語った。
それから映像メッセージ、まずは中村獅童が「サンリオの人気キャラクターのコラボは嬉しい」と率直な感想。「幅広い方々に楽しんで頂ける作品です」と自信を持ってコメント。坂東巳之助は「歌舞伎に触れたことのない方々やお子さんが歌舞伎に触れることが出来る、興味を持って頂けたら」と語り「観たまま、思うままに楽しんでください」と熱くコメント。
このメッセージ映像の後、いよいよ始まり、始まり!まずは黒衣が登場し、軽妙洒脱な口上を述べる。客いじりもあって、なかなか楽しく、客席も温まったところで、幕が開き、ハローキティ一座のこけら落とし公演「桃太郎」の上演から物語は始まる。ハローキティによる口上、「キティ!!」の声、そう!大向こうは積極的に!反則的な可愛さ!それから、鬼ダンサー達が登場するが、ダンスがかっこいい!こんな鬼ならOK!鬼はバッドばつ丸、立ち向かう正義の武者はシナモロール、ポムポムプリンに、ディアダニエル!そこへ大きな桃が!座長のハローキティの登場で、予定調和的(ここ、大事!)なオチで劇中劇は無事に終了。ところが!何故か停電に!明かりが戻ると、そこにいたのは見覚えのない鬼が……。だ、誰!?もう大パニック!
皆、ダンススキルも高く、エンターテイメント性抜群!鬼さん(あえて“さん付け”)も含めて悪人はいない。意外な程、さびしんぼうな鬼さん、ちょっと心が痛い。思わず「鬼さん、早く幸せになって!」と応援したくなる。見た目がイカツイが心優しい鬼さん、共感出来るキャラクター。「あなたの夢はみんなの夢」というハローキティ。
ギャグ台詞も盛りだくさん、鬼にまつわる諺、「鬼の目にも涙」「来年のことを言うと鬼が笑う」等、このよく知ってるフレーズがなんとも効果的に出てきて、ここは大いに笑いたい。坂東巳之助が映像であるキャラクターを演じているが、このキャラは……??ここはお楽しみポイント。歌、ダンス、歌舞伎独特の大立ち廻り、飛六方も楽しく、ラスト近く「世界が笑顔に包まれる」と歌う、あっという間の40分、これは、本当に楽しい!
公開ゲネプロ終了後にフォトセッション。その後は脚本・演出の横内謙介と歌舞伎演技指導の市川笑三郎によるトーク。
このオファーが来たときの感想を横内謙介は「歌舞伎を題材に……なんとなくインバウンドとか、そんな感じ(笑)」とコメント。2020年の東京オリンピックはもうすぐそこに。近年、外国人観光客が増加、しかし、今回の作品は海外のゲストも楽しく観劇出来そう。それを受けて市川笑三郎は「横内さんから話が来て……お役に立てれば」とコメント。また横内謙介は「無理!って言われると余計にやりたくなる」と語る。確かにいわゆる“キャラクター”が歌舞伎、というのは前代未聞なこと、未知への挑戦だ。本当に歌舞伎は、その所作、全てが年季が入ってなければ出来ない。市川笑三郎は「やれば出来る!の証明だと思います」とコメント。また40分という限られた時間に関して、横内謙介は「言いたいこと、やりたいことが多過ぎて、本当は3時間」と笑う。市川笑三郎は「とても素晴らしかった!キティちゃん、可愛い!ダニエル、かっこいい!この一座のいいところは、皆、仲がいい!これがないと成立しない!今日から観客の一員として純粋に楽しめる!」と絶賛。横内謙介は大向こうのやり過ぎで若干声が枯れ気味、その大向こうについては「『キティ!!』で良いと思う」とコメント。
最後に市川笑三郎は「歌舞伎ならではの醍醐味とミュージカルレビューとしての楽しみを!」とコメント、横内謙介は「これから長い公演になります。まだ、出していないキャラも(笑)。いつ出てくるのか楽しみにして頂きたいです。成長を見守ってください」と締めて、トークコーナーは終了した。
【KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~ 公演概要】
日程:2018年3月10日~終了日未定
会場:サンリオピューロランド内 メルヘンシアター
出演キャラクター:
ハローキティ、シナモロール、ポムポムプリン、ディアダニエル、バッドばつ丸
特別映像出演:かぶきにゃんたろう
声の出演:中村獅童
映像出演:坂東巳之助
脚本・演出・作詞:横内謙介
歌舞伎所作指導:市川笑三郎
監修:松竹株式会社
公式サイト:https://www.puroland.jp/liveshow/kawaiikabuki/
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文:Hiromi Koh