VRとライブの融合、全てがミラクルなステージ!「LITTLE PRINCE ALPHA」新しいエンターテインメントに挑戦

1995年に世界唯一の独占ミュージカル化権を獲得し、そして2005年著作権が切れ、そこから本来描いてみたかった脚本・演出で創りかえられ、何度か上演された「リトルプリンス」。そして初の試み、リアルとバーチャルの融合を試みる公演が行われる。最先端の技術で物語の中に入り込める、それは未知の体験。

2017年2月に「リトルプリンスVR」トライアル版が公開されたが、ヘッドマウントディスプレー(HMD)をかぶり、両手でコントローラーを持って“観劇”をする。装着し、“本編”が始まる。トライアルでは、飛行機が不時着、そこで王子様に遭遇する場面とダンス場面を観劇することができた。王子様に遭遇する場面では、目の前に王子様が立ち、自分に向かってしきりに話しかけてくる。あたかも飛行士になった感覚、しかし、飛行士役の俳優の台詞が響くので観客自身は台詞を言う必要はない。それから一旦、HMDを外して再び、装着し、クライマックスのダンス場面になり、ここでコントローラーを持つ。映る景色は、リアルに踊るダンサー、そして青い羽根に無数の星、このコントローラーを振ると青い羽根が動き、コントローラーのボタンを押すと星が出てくる。それと調和しながら俳優陣が歌い踊る。ファンタジックな上にリアリティーのある光景が眼前に迫る。実は他の観客が振っているコントローラー=青い羽根も映ってるので席によって見え方が変わり、しかも自分のコントローラーの動かし方によって星の出方が違うので、観客は誰1人として同じ光景を観てない。つまり、個別にこの“ハイテクな企み”に参加。観客参加型の演劇、サイリウムを振って応援する、スマホで投票し、物語のエンディングを観客が決める、といったものがあるが、これもまた、観客参加型、しかも物語に入り込むことの出来るユニークなものである。ラストは立体的な地球が眼前に!今度は宇宙船にいる気分になり、ここで終了。遊園地のアトラクションではなく、あくまでも演劇、しかも物語の主要人物を“体感”することが出来た。特殊効果やプロジェクション・マッピングを使った演劇はいくつかあるが、そこから観客が個々に違う光景を観て体感する、“特殊効果”の一種なのかもしれないが、その定義から一歩進んだ“演劇的効果”、また、この公演では“生音”を重視、その臨場感はライブならでは。「(これは)Vなの?リアルなの?を追求出来たら」と技術側からのコメント。未来型の演劇だが、意外とその本質は演劇の原点かもしれない。

会場は日本科学未来館 7F未来館ホール、どんな景色が見えるのか、未知数であるが、いずれにしても意義のある挑戦であろう。

音楽座HP:http://www.ongakuza-musical.com

<トライアル公演の様子>