2007年本屋大賞受賞作品 「一瞬の風になれ」初舞台化、開幕! 「はやく走れば、気持ちいい!」

2007年に本屋大賞を受賞した、佐藤多佳子による長編小説「一瞬の風になれ」(講談社刊)。陸上競技にかける高校生たちの物語、漫画化やドラマ化もされている人気作品。初めての舞台化、10月20日、開幕。

NHK-FM放送「青春アドベンチャー」で2007年5月に放送、2008年2月、フジテレビ系列でドラマ化、またコミカライズもされている。作・演出を務めるのは「キューティハニー」シリーズや「東京ドールズ」「舞台オーフェンはぐれ旅」など幅広いジャンルの演出を手がける松多壱岱
この作品のモデルとなったのは相模原市の麻溝台高校。作・演出の松多壱岱は実は同校出身。
キャストは神谷新二役に富本惣昭、一ノ瀬連役に織部典成をはじめ、谷口若菜役には飯窪春菜、鳥沢圭子役に菅原りこ、根岸康行役に志村玲於(SUPER★DRAGON)ら他、若手の実力派。大塚先生役として宮本大誠、父親役は野村宏伸

始まる前から、いわゆる部活の“音”、しゃべり声、風の音、それから時間になり、ファンファーレ、大歓声の音で始まる。
主人公の神谷新二(富本惣昭)登場、モノローグ、「よく晴れた日だった」語り部的な役割も果たす。一ノ瀬連(織部典成)と語り合う。場面変わって一家団欒風景、仲の良い家族、兄は家族の自慢、Jリーガーだ。主人公もサッカーをやっていた、もちろん兄の影響。だが、壁を感じていた、それはどうにもならないこと。それからいわゆる”オープニング”キャラクター紹介、ここはスピーディに。

高校に入り、新学期、幼馴染の一ノ瀬連(織部典成)も同じ高校に。めっぽう足の速い一ノ瀬連。「新二も速いな」「おう」。あれよあれよと言う間に二人は陸上部に入部することとなり、入部早々にインターハイ予選だ。顧問の三輪先生(五十嵐啓輔)はなかなか型破りで、体育会系にあるあるの“根性論”を振りかざしたり、また上下関係を必要以上に重んじることもしない。生徒たちからは”みっちゃん”と呼ばれている。「俺の新しい場所」と新二。そして、神谷新二と一ノ瀬連の才能を早い段階で見抜き、抜擢する。先輩たちもそんな顧問の元で“育って”きたので、リベラルで明るく、個性的だ。
物語は主人公・神谷新二が入部し、そこでの3年間を描く。一ノ瀬連は少々変わり者でやや自分勝手だが、基本“いい奴”。陸上部の女子たちも元気いっぱい。神谷新二を軸にストーリーは展開するが、サイドストーリーも見逃せない、群像劇的な要素もある。鷲谷高校・強豪、ここの顧問・大塚先生(宮本大誠)は凄腕、実は、三輪の恩師でもある。この人間関係の面白さも見所。

インターハイ、合宿、学校生活、よくある風景かもしれないが、当事者たちにとっては唯一無二の体験。同じ陸上部のメンバーと、ライバル校のメンバーと切磋琢磨し合う、リレーはチーム戦、バトンを渡す。この“バトンを渡す”行為、象徴的に扱う部分もある。物理的にバトンを渡すだけでなく、心のバトン、先輩から後輩へ、先人から、後に続く者へ。新二はひたすらに想う”速くなりたい”と。少しづつであるがいいタイムも出るように、励みになる。一方で試合に負けてしまう部員の姿も描かれる。谷口若菜(飯窪春菜)、記録が伸びず、悩んだ末に長距離へと転向、新二のが気になってる”女子”。

また、よくある話だが、頑張りすぎて怪我、当の本人は大丈夫、やれると思うが…。そう言ったエピソードの連続、観客は次第に”あの日々”を思い出す。その思い出は千差万別であるが、楽しかったこと、辛かったこと、感動したこと、友達のこと、上演時間は約2時間半だが、そこには彼らの青い3年が詰まっている。「みんながライバル、みんなが仲間」「速く走れば気持ちいい」神谷新二、後半でつぶやく「陸上部に入ってよかった」と。
途中、だいたい2時間過ぎたあたりで、ストレッチタイムもあり!一生懸命、肩に力を入れて観てたなら、ここでぐっとリラックスして!

なお、走る動作だが、皆、かなりの訓練を積んでおり、スローモーションで表現したり、あるいは本当に走ったり。この所作指導は1988年ソウルオリンピック代表で陸上男子200メートル元日本記録保持者の往年のスプリンター・山内健次が直々に!そして、強豪校の仙波一也役で長男の山内圭輔が出演。試合シーンは必見。舞台には基本的に何もなく、映像で公園かグラウンドか、場所を示す。途中で町田市の景色が出てくるが、本当の景色で知ってる観客は思わず!そんな細かいところもさりげなく観てほしいポイント。青い季節、風を切って走る!!

<コメント>
[神谷新二 役 富本惣昭]
まずはじめに、ここまで来れた事をとても嬉しく思います。今まで沢山悩み、考えて、皆で沢山の意見交換などをしてきました。キャスト・スタッフの皆さんをはじめ、数多くの方々に支えられて今の自分は立つことができています。そして、皆でバトンを繋いでいきます!舞台『一瞬の風になれ』お楽しみに。

[一ノ瀬連 役 織部典成]
ようやくこの日を迎えることができました。舞台『一瞬の風になれ』いよいよ開幕です!!
最初はバラバラだった春高も今では一丸となって逞しいチームになりました。最高のチームで大好きなカンパニーです。後はバトンを繋いでゴールテープに向かって走りだすだけです!今回の見所は個性豊かなキャラクター達。そして心に刺さる名台詞があちこちに散りばめられています。さあ、僕達の青春を楽しんでください。

[神谷父役 野村宏伸]
今回の題材である陸上を通じて、人の関係もバトンで繋がっているところがあるんだなと改めて思いました。
青春って良いな、家族って良いな、生きてるって良いな…。
来てくださったお客様に何かを感じて貰える舞台にしたいと、この舞台に関わっているメンバー全員で千秋楽まで頑張りたいと思います!

[集合写真]

【あらすじ】
主人公、神谷新二は天才的なサッカーセンスの兄を持つ。 兄の姿を追いかけてサッカーを続けていた新二だったが、 高校からサッカーから離れることにした。 スポーツテストで感じたあの疾走感。 幼なじみの一ノ瀬連と入ったのは陸上部。 そして、連は天才的なスプリンターだった。 「・・・天才何て、そんじょそこらにいるはずのないヤツが、なんで俺の身近に二人もいるんだろう」 早くなりたい、ただひたすらに その想いを抱えて、新二は駆け抜ける。 きっと、その先に待っているのは
「勝ち負け」じゃない何か・・・!
青春小説の傑作、初の舞台化!!

<概要>
原作:佐藤多佳子「一瞬の風になれ」(講談社刊)
作・演出:松多壱岱
出演:
神谷新二 役 富本惣昭
一ノ瀬連 役 織部典成
谷口若菜 役 飯窪春菜
鳥沢圭子 役 菅原りこ
根岸康行 役 志村玲於(SUPER★DRAGON)
浦木 役 田中稔彦
三輪先生 役 五十嵐啓輔
守屋正人 役 山木透
桃内公太 役 優(CUBERS)
神谷健一 役 柳川るい
神谷母 役 香音有希
島田役 小栗諒
市川 役 伊藤あいみ
高梨正己 役 黒木文貴
仙波一也 役 山内圭輔
大塚先生 役 宮本大誠
神谷父役 野村宏伸
アンサンブル:梅田祥平 桜町たろ 野島大貴 渡邊崇

<東京公演>
日程 会場: 2021年10月20日~25日 かめありリリオホール
<相模原公演>
日程 会場:  2021 年 11 月 1 日(月)・2 日(火)   杜のホールはしもと

主催:舞台「一瞬の風になれ」製作委員会

問合: 0570-550-799 (平日:11時~18時 土日祝:10時~18時)

公式サイト:https://kaze-stage.com
公式Twitter:@kaze_stage

©佐藤多佳子・講談社/舞台「一瞬の風になれ」製作委員会