「二代目はクリスチャン」のその後を描いた、『扉座版 二代目はクリスチャン ―ALL YOU NEED IS PASSION―』が好評上演中だ。
つかこうへい七回忌を期して、第4作目として扉座が上演するのは小説＆映画の名作『二代目はクリスチャン』を原作として、つか氏との出会いによって劇作家の道を歩んだ横内謙介が、その魂を継承し、令和版として書き下ろし演出する、限りなく新作に近いオマージュ作品。「二代目はクリスチャン」は、つかこうへいが1985年に発表した小説で同年、井筒和幸監督、志穂美悦子主演により映画化され大ヒットし代表作の一つとなった作品。
2021年10月、石田ひかりをゲストに迎え、この「二代目はクリスチャン」の主人公“シスター今日子”のその後を演じる。
舞台には何もない。つか作品を観ているファンなら、「何もないのはお約束」と思うだろう。教会の鐘の音が響く。トレンチコート姿の石田ひかりが登場、手にはカバン、風呂敷、少し開いた扉に向かって一礼する。「姐さん！」の声。磯村（有馬自由）が迎えにやってきた。一目見て、関係性がわかる。20年間服役していたので、今、世間がどうなっているかよくわかっていない様子。「白くまアイスが」「コンビニで買えます」ちょっとおかしなやりとり、客席から笑いが起こる。そこへ！「極道」と書かれたジャージーを着た若者の集団が！派手、かつ賑やかな！オープニング、主要キャラクターの紹介、つかこうへい作品を何度か見たことがあるなら、馴染みのあるオープニングだろう。マイクを持って！「今日子さん」「ごきげんよう」。組の者達、長い年月が経っているせいか、ぱっと見分からない様子の今日子。子供だったのが、ごつい大人になってたり、髪の毛ふさふさだったのが、いつの間にかハゲていたり（笑）。
細かい笑いを随所に挟んで物語は進行する。そして、この作品は言ってみれば”オリジナル”、「二代目はクリスチャン」のその後なので、『熱海殺人事件』のキャラクター木村伝兵衛（岡森諦）が登場、そして熊田の息子が！他のつか作品に登場するキャラクターがここで出てくる。
オマージュ作品なので、作品がクロスオーバー、よって木村vs熊田のサイドストーリーも見逃せない上に、チャイコフスキーの「白鳥の湖」が大音量で流れたり！岡森諦は1990年つかこうへい事務所公演『熱海殺人事件』に木村伝兵衛役で出演、しかもタキシード姿で！石田ひかりは1994年の『飛龍伝』にヒロインとして出演、よって…もちろんジャージー、黒！オールドファンには懐かしい！物語もさることながら、そういった細かいところにつかこうへい作品がちりばめられており、笑ったり、頷いたりするシーン多数。キャスト全員に見せ場、それぞれの物語もきっちり描かれており、見所多数。
そして今日子は神竜組を立て直す、人数は…少ないが、今日子への想いは熱い。ラストはもちろん、バトル！刀はもちろん、鉄パイプも！姐さんらしく艶やかな着物姿で立ち回り、扉座の面々も派手なアクションで！機動隊も、もちろん！
とにかく熱い舞台、横内謙介始め、石田ひかり、扉座の面々のつか作品への想い、『熱海殺人事件』も『飛龍伝』も！豪華な幕の内弁当のようなボリューム、公演は31日まで！
【つかこうへい「二代目はクリスチャン」あらすじ】
神竜組の親分が何者かに殺された。その跡目を継ぐのは聖サフラン教会の清楚可憐なシスター今日子だった。
流れ者の英二に運命を感じる今日子。今日子に恋心を寄せる県警刑事。そして、神竜組の組員達と神竜の金看板を狙う黒岩会！血で血を洗う抗争が今!!!
神戸六甲に吹き荒れる仁義なき戦い。神竜組二代目シスター今日子はついに黒岩会に乗り込む！
『悔い改めてえ奴は十字を切りやがれ。でねえと一人残らずたたっ斬るぜ』
【扉座版「二代目はクリスチャン」あらすじ】
元組長の幼な妻（今日子）、20年前に抗争に巻き込まれて死んだ、組長で夫の神竜政五郎の仇を撃って、敵対組員たちを射殺、懲役20年の刑に服役、ヤクザ苦境のこの時代にあえて神竜組二代目として組を再建する覚悟で刑期を務め終え出所した今日子。
元組長と出会うまでは教会に暮らす清楚可憐な修道女だった今日子。
出所を待ちわびた組員達は……今日子の前に再び嵐が吹き荒れる……
＜概要＞
日程・会場:2021年10月21日(木)～31日(日) すみだパークシアター倉（そう）
原作：つかこうへい
脚本・演出：横内謙介
企画：見城徹
出演：岡森 諦 有馬自由 犬飼淳治 鈴木利典 新原 武
松原海児 野田翔太 早川佳祐 三浦修平 紺崎真紀
小川 蓮 翁長志樹 ／ 砂田桃子 大川亜耶
スペシャルゲスト：石田ひかり
すみだパークシアター倉（そう）
扉座オンラインチケット https://tobiraza.co.jp/online_tickets
