舞台「半神」“孤独って素敵なんでしょ” “私は愛されていない”

ーー桜井玲香(乃木坂 46)✖️藤間爽子 W主演!シュラとマリア、運命の双子ーー

劇団夢の遊眠社時代の野田秀樹が、数々の名作を世に送り出してきた漫画家・萩尾望都の短編作品を原作として、原作 者と共同で舞台脚本化した「半神」。1986 年に劇団夢の遊眠社で初演されて喝采を浴び、88・90 年にも上演、さらに 99 年 には演出に大幅に手を加え NODA・MAP で再演されて注目を集めた。また、2014年には韓国の明洞芸術劇場との共同制作、国際交流基金との共催で、その年の9月には韓国で、10月には東京芸術劇場で上演された。そしてこの度、2018 年 7 月 11 日から銀河劇場にて、7 月 19 日から松下 IMP ホールにて演出家・中屋敷法仁を筆頭とする新たな布陣で上演することになった。
本作の主人公となる結合双生児姉妹役には、乃木坂 46 の桜井玲香と、日本舞踊家 にして女優としても TV ドラマデビューを果たした藤間爽子が抜擢。桜井玲香は乃木坂 46 でキャプテンを務めるグループの顔。テレビ・映画・舞台といった分野で数々の作品に女優としても活躍している注目株で、16 年に上演された舞台「嫌われ松子の一生」では主人公の松子役を演じ、高い評価を得た。
藤間爽子は、幼少より祖母・初世家元藤間紫、及び二代目藤間紫(祖父の二代目 市川猿翁)に師事する若手日本舞踊家のサラブレッド。昨年 NHK 連続テレビ小説「ひよっこ」では、白石加代子演じるアパートの大家さんの若かりし芸者時代を演じ、女優としても デビューを果たした若き逸材。現代舞台作品への出演は本作が初めてながら、生まれながらのステージセンスで結合双生児姉妹役に挑戦する。

舞台は勾配の激しい八百屋になっており、シンプルかつ無機質なイメージ。開演前の諸注意のアナウンスは双子、声が反響し、これから始まる物語の雰囲気を盛り上げる。
舞台版は原作にはないキャラクターを登場させて「半神」の世界を重層的に見せている。姉のシュラは髪を振り乱し、妹のマリアの面倒を見ている。シュラは高い知能を持ち、勉強が得意。一方のマリアは知能は低く、話すことすらできないが、その笑顔はまるで天使のようだ。周囲はマリアを可愛がり、シュラに対しては「お姉さんなんだから」的な態度を示す。「私は愛されていない、醜いから?」というシュラ。そして「一人にして。孤独って素敵なんでしょ」と言う。そして「1/2+1/2=2/4」、これは計算間違いでもなんでもない。半分と半分を足しても「1」にはならない。哲学的かつ深淵な意味合いを持つ。

マンガ原作であるが、過去の上演を見てもマンガの絵に似せることはあえてしていない。それでもやはり、あのイメージなのである。今までの上演は野田秀樹が演出をしていたが、今回は中屋敷法仁である。彼のフィルターを通した「半神」ということになる。遊び心のあるキャラクター、この不思議感が作品世界とマッチする。独特のマイム、八百屋舞台をいっぱいに使ったフォーメーション、シュール感のある動き、原作がしっかりしているので、ブレることなく「半神」の世界が広がっていく。台詞の多いシュラ、一方のマリアは話せないという設定、どちらも難役であるが、今まで演じてきた女優陣に負けないくらいの出来栄えだ。先生役もなかなか難しい役どころであるが、太田基裕が安定感のある演技で場面を締める。その他、不思議キャラを演じている面々もインパクト大。


人間、誰しもが心の奥底に持っている寂寥感、愛されたいという根源的な欲望、「半神」はそんな人の根源に迫る寓話である。ちなみに原作は1984年『プチフラワー』(小学館)に掲載、わずか16ページの短編である。

なお、主要キャストと演出家のコメントも到着した。
<桜井玲香>
幕が上がってからは一気に駆け抜けていく、まさにジェットコースターのような舞台です。こ観劇いただく皆さんには最後までしっかりとついてきていただきたいです。最終的に遊びゴコロを芽生えさせるところまで行くのが目標なので、自分が持つパワーの全てを使って、双子の姉であるシュラを演じたいと思います。
<藤間爽子>
中屋敷さんの演出はとにかく動く動く動く!
たくさん動きます。観客の皆様をひかせてしまうくらい、とんでもない演出を生み出す方です。大変なこともあったけど、ピンクパンサーのぬいぐるみに毎日見守られながら笑いの絶えない楽しい稽古場でした。お稽古中も、どんな時も1番に役者を信じてくれていたので、私は安心して自由にマリアを演じることができました。私にとって初めての舞台。「緊張や不安でいっぱいです!」と言いたいところですが、全く不安はありません!何故ならシュラがいつも横に一緒にいてくれるから!
<太田基裕>
中屋敷さんの稽古場は僕は二度目だったのですが、相変わらずテンションと発想が混沌とする稽古でした。「半神」は難解な戯曲ですが、何か人間の根底にあるものがふつふつと湧き上がるような作品だなと思っています。いよいよ初日を迎えます。不安など未知な部分がたくさんあります。しかし、お客様に僕自身の想いや美学が伝えられるように精進していきたいと思います。楽しんでください。
<中屋敷法仁(演出)>
「半神」という原作がはらんだ複雑怪奇な迷路。そこをさまよう俳優たちの姿が醜くも美しい。音楽にDÉ DÉ MOUSEさん、振付にスズキ拓朗さんという気鋭のクリエイターをお招きし、演劇らしい魔法と詐術が絡み合う、不思議な亜空間が誕生した。目撃される全てのお客様の「人生」という劇世界が、さらに豊かに広がることを願っている。

<ストーリー>
痩せこけて醜い容姿ながら高い知能を持つ姉のシュラと、誰からも愛される美しい容姿だが知能が低く話すこともできない妹の マリア。だが、2 人の身体はつながっている結合双生児の姉妹だった。姉のシュラは、いつまでも愛らしく無邪気で周りの人々の寵 愛を一身に集める妹が疎ましく思いながらも、マリアを支えつつ 2 人で生きていた。
しかし、10 歳を目前にして 2 人の身体はその負担に耐え切れず衰弱してしまう。救う方法はただ一つ、2 人を切り離すこと。 果たして、2 人のゆく先は…?

<配役>
シュラ:桜井玲香 マリア:藤間爽子
先生:太田基裕
母:七味まゆ味 ユニコーン:永島敬三 スフィンクス:牧田哲也 ハーピー:加藤ひろたか 右子・ガブリエル:田中穂先 左子・マーメイド:淺場万矢 ゲーリューオーン:とよだ恭兵 父:福田転球 老数学者・老ドクター:松村 武
<2014年公演の様子はこちら>
https://animeanime.jp/article/2014/10/26/20632.html
【概要】
タイトル :『半神』
[東京公演]
7月11日(水)~7月16日(月・祝) ※プレビュー公演 7月11日(水)
天王洲 銀河劇場
[大阪公演]
7 月 19 日(木)~22 日(日)
松下 IMP ホール
原作・脚本:萩尾望都
脚本 :野田秀樹
演 出 :中屋敷法仁
出 演 :桜井玲香 藤間爽子/太田基裕/七味まゆ味 永島敬三 牧田哲也 加藤ひろたか 田中穂先 淺場万矢
とよだ恭兵 村松洸希 齋藤明里 エリザベス・マリー/福田転球 松村 武
企画協力 :NODA・MAP/株式会社小学館
主 催 :<東京>ネルケプランニング/ゴーチ・ブラザーズ/イープラス
<大阪>サンライズプロモーション大阪
公式サイト :https://www.hanshin-stage.jp

文:Hiromi Koh