1972年に週刊プレイボーイで連載を開始し、その後、梶芽衣子主演で映画化され、続編も大ヒットした名作「修羅雪姫」。
この映画がハリウッドのクエンティン・タランティーノ監督に強烈な影響を与え、 傑作「キル・ビル」が出来上がったという逸話も有名。このアクションスリラーと呼ばれる特殊な分野で数々の伝説を残している「修羅雪姫」が、50年の時を超えて現代に復活する。
主演の修羅雪姫には、約1年ぶりの女優復帰となる今泉佑唯。そして、高橋龍輝、細貝圭、松村龍之介などの若手個性派俳優が 脇を固め、AKB48から大西桃香、ラストアイドルから安田愛里が花を添える。 この壮大な物語の演劇舞台化を、構成演出は岡村俊一、脚本は北区つかこうへい劇団出身の久保田創。
時は富国強兵、大日本帝国、明治時代。トランペット、ドラムの音、陸軍の様子が描かれる。直立不動の面々、「大日本帝国、万歳!!」と叫ぶ。そこへ「女が逃げたぞ!」の怒号。時代背景、ヒロインのバックボーンがスピード感を持って描かれる。道海和尚がいう「官軍に恨みがある」と。”勝てば官軍、負ければ賊軍”という言葉があるが、明治維新、負けた側のその後は…歴史でもよく知られていること。場面変わって、めっぽう強い若い女性、少しあどけなさも残る風貌。「てめえ、何者だ!」「修羅雪姫!」「あの女の娘か!」時間が遡り、ヒロインが生まれたところや彼女の両親がどんな目に遭ったかがわかる。
「命をかけて産んでくれた」「仇を討つ!」修羅のごとくに強い、だから修羅雪姫。彼女の父は濡れ衣を着せられて無残に殺され、母は投獄された。そこには陰謀が…。彼女の恩人である道海和尚も惨殺された。道海和尚は最期に「南無阿弥陀仏」と言って息絶えた。次々と身に降りかかる困難。復讐のために生きるヒロイン、警察に追われる身となっても諦めない。
そこに立ちはだかる大いなる権力。それでも修羅雪姫はひるむことなくたち向かう。菊井征一郎(細貝圭)は言う「すべての貧民窟を焼き払う!」、さらなる試練!修羅の道をつきすすむ。
ヒロインを演じる今泉佑唯があどけなさを残しつつも仇を討つことに邁進するヒロインをラスト近くは涙を滲ませて熱演。そして彼女の前に立ちはだかる菊井征一郎演じる細貝圭が凄みを見せる。脚本も担う久保田創、舞台でも活躍、高橋龍輝、松村龍之介、大西桃香、安田愛里、殺陣もこなれており、アクションシーンは見どころ。年長の吉田智則、存在感を放ち、場面を固める。また、ワチャワチャとした賑やかなシーンも用意されているので!ここは大いに笑ってほしいところ。アクション、殺陣は激しくも型の美しさを追求し、ポーズを決めての決めセリフ。細かいポーズや目線の使い方など、きっちりとしており、凄みと様式の美しさが融合、この作品に相応しい。仇討ちではあるが、ここに登場する人物すべてが生きる、生き切ることに邁進。そして自由意思、修羅雪姫は「私の生きる道は私が決める」と叫ぶ。どう生きるかを自分で決める、そこにこの物語の真骨頂がある。
ゲネ終了後に簡単な会見が行われた。まず、岡村俊一から作品について解説。稽古は40日、今泉佑唯は1日も欠かさず稽古に参加、およそ700手に及ぶ殺陣を習得、3キロほど痩せたそう。「ストイックに稽古してました」と絶賛。
さっきまでの激しいアクションの後とは思えないくらいの清々しさで出演者登壇。
しかし今日のゲネプロの出来は「30点」と自分に厳しく。共演者からは「すごいな」「エネルギーがある」「ストイックでびっくり」「真摯に向き合っている」「こんな小さな体で」との言葉が。さらに「岡村さんが復帰の場を設けてくださり、この作品に携わっている皆さんのおかげ」感謝の言葉を。そして「この作品に出会えたことで生きていて価値のない人はいない、生きていることは何らかの意味がある、勇気をもらえた」と語る。稽古の甲斐あって身のこなしもよく、修羅雪姫を演じきった。
この物語も人が生きる意味を問いかけている。公演は21日まで。
<あらすじ>
日清日露戦争を前に、軍事国家へと傾き始めた明治時代後期の日本。徴兵のために村に訪れる魔物という汚名を着せられ、家族を殺され、夫を死に追いやられ、自らも貶められ悲惨な目にあった小夜は、復讐相手の一人をどうにかしとめるが、捕らえられ獄中に入る。小夜は獄中で身籠っていた子どもを産み、雪の降る夜に産まれた女の子に“雪”と名づけて命尽きる。やがて雪は剣豪でもあった道海和尚の元で厳しい修行を身に着け、自分を産んでくれた母に代わって復讐の旅を続けることを決意する。仇は3人、しかし手がかりは名前だけ。やっと見つけた一人はやくざ者の組長、雪は賭博場に乗り込み、賭場をひっくり返し、追い詰めてやくざ者を仕留めるが追っ手や警察に追われる身となる。身を潜め闇に走り、東京中を仇を探しながら逃げ回り、やがて女が一人では足を踏み入れてはならないと言われる四谷鮫ヶ橋にたどり着く。政府の恐ろしい陰謀が見え隠れし始める。いくつもの命を奪う中で次々と現れてくる残酷な真実…雪はそれでも戦い続ける。
<概要>
日程・会場:2021年11月19日~21日 CBGK シブゲキ!!
原作:小池一夫・上村一夫
構成演出:岡村俊一
脚本:久保田創
出演:
今泉佑唯/高橋龍輝 細貝圭 松村龍之介/大西桃香(AKB48)
安田愛里(ラストアイドル)/久保田創 濱田和馬 大串有希 近藤雄介
河本祐貴 松本有樹純/吉田智則
お問い合わせ Mitt 03-6265-3201(平日 12:00~17:00)
公式サイト http://www.rup.co.jp/
企画・製作・主催:アール・ユー・ピー