川尻恵太が主宰する演劇ユニットSUGARBOYの2年ぶりの新作公演「ゴールドマウンテン」が開幕、好評上演中だ。
本作品は、脚本・演出の川尻恵太が、自らの生い立ちをモチーフにした作品。
札幌の片田舎で育った少年が、TVの向こうで繰り広げられる華やかな世界と、味気のない現実とのギャップにもがき苦しむ姿を描いた青春ファンタジーコメディ。
前説を川尻恵太と氏次啓が行う。北海道札幌稲西高等学校時代にお笑いコンビ「1・2・DON」を結成15年ぶりに組むという２人、ショートコントも一発披露、楽しそうな雰囲気でこちらも思わず笑ってしまう。
出だしは雪が残っている３月。川尻恵太の出身が北海道なので、春はまだ遠い。ここで俳優陣が登場、それからタイトルロール。
学校の風景、「こんな感じだったな」とノスタルジックな空気。元気よく手を挙げる者、子供らしい下品な言葉を連発して目だとうとする者、どこにでもある景色。作品のタイトルは「ゴールドマウンテン」、直訳すれば「金山」、文字通り、金が出たという。もちろん、今は枯渇して名前だけが残っている。北海道、しかも片田舎。そんな少年たちの日々が描かれる。時折”おじさん”（川尻恵太）が登場する。ちょっと物事を俯瞰して眺めているような、そんな立ち位置。少年（松本岳）はコントがやりたかった、できそうな部活は…演劇！でも真面目そうな雰囲気で『コント』とはちょっと遠い感じ。それでも少年は諦めなかった。1999年に高校を卒業し、劇団を作る！！彼は言う「演劇はなんでもやっていいんだ！」と。演劇は総合芸術、歌ってもいい、踊ってもいい、コントをやってもいい、それが演劇。この「なんでもやっていい」が川尻恵太の発想の原点であることがわかる。旗揚げ公演は、観客は203名。そして、この「ゴールドマウンテン」自体が「なんでもやってる」感が！この内容に共感した俳優陣が楽しそうに演じているのを見ると、こちらも楽しくなってくる。ちょこちょこと川尻恵太本人が登場する。演劇をやろうとする主人公、幼馴染との関係や出会う人々との関わりを通じていろんな意味で”大人”になるが、どこか原点は忘れない。若かりし頃の恋心も描かれ、群像劇的な要素も。近所に住む幼馴染役を演じるのは井上小百合と荒木健太朗。少年が出会うキャラクターが総勢60名以上！それを小山百代、宮下雄也、新井郁ら、個性豊かで芸達者なキャストたちが演じる。
いわば、ドキュメンタリー風な内容だが、リアルというよりも寓話的で、笑いながらもちょっとノスタルジックな空気感、甘じょっぱい味わいの20年の物語。劇場もシアタートップス、程よい小ぶりな空間。川尻恵太の20年、覗き見してみたいなら、公演は12月5日まで。
なお、キャストのコメントも到着。
【松本岳】
無事にSUGARBOY 4th「ゴールドマウンテン」が初日を迎えることができました。 今回、演出家川尻恵太さんの札幌から東京へ旅立つまでの20年間を描いた物語です。 そして川尻さん役を僕が演じさせていただきます。 稽古の中から色々なアイディアを出し合ってみんなで作り上げた舞台です。 本当に色々詰まってます。
宝箱みたいな舞台です。 みなさんお楽しみください。
【井上小百合】
無事初日を迎えられたことに心から感謝しています。 この作品は、どこか懐かしかったり、笑える日常の描写ばかりなのに、振り返ると何だかグッと込み上げ てくるものがあったりします。 それは14歳で芸能界入りし、「現実だらけの東京」で仕事と向き合ってきた私にとっても、刺さるお話でもあります。 何者でもなかった、なんて事ない日々が恋しくなったこともありますが、それでも今、新宿という「東京 のど真ん中」の、歴史あるシアタートップスという劇場で、精一杯舞台に立ち、楽しむ私の姿を通して、 誰かが何かを受け取ってくださったら光栄だなと思っております。
【荒木健太朗】
主人公、清太のモデルである川尻さんの生きてきた半生と出会った人達の物語。 笑いと絶望が入り混じってますが、もがいてきた人、今もがき続けてる人にもとても刺さる作品だと思 います。
東京のど真ん中で1番面白い作品をやります。是非、ご覧ください。
【小山百代】
SUGARBOYさんの2年ぶりの新作、そして私自身も2年ぶりの出演となります! 舞台は札幌、そしてわたし自身も札幌産まれ札幌育ち!
出演が叶いとても嬉しいです。
キャスト10名登場人物60名以上。 鮮やかで複雑で眩しくて切なくて尊くて雄大で愛おしくて…そんなお話です。 皆様にゴールドマウンテンを味わってその身で川尻さんの観てきた世界を体感して頂けたらと思います! ご来場お待ちしております。
【宮下雄也】 今回のゴールドマウンテンは芝居のテーマに『夢』があります。
みんな絶対に将来の夢について話した事があると思います。 俺は役者として、シアタートップスに立つのが1つの夢で、昔、よくこの劇場に来ました。 その夢が叶った作品が、ゴールドマウンテンでほんまに嬉しいです。 絶対に損をさせません。劇場でお待ちしてます。
【新井郁】 この舞台はどのジャンルに属すんだろう。初日を迎えた今もぴったりな言葉が1つに絞れません。。
皆様には日常を忘れてただただ楽しんでほしいですが、真面目な事を言うとしたら、私は3カ所ほど泣き そうになるところがありますね。どこでしょう。 色々な人と出逢い、清太の世界が広がっていくのと同じように、周りの人たちもまた清太のお陰で世界が 広がったはず。
皆様にとってこの舞台がそんな出逢いの一つになったら嬉しいです。
【川尻恵太】
大変なものが生まれてしまったかもしれません。 とある少年の約20年の物語を約2時間、60キャラクター以上で突っ走ります。 色んな味が混ざり合って、ぐちゃぐちゃになって、ラストシーンへ向かっていきます。 なにせ20年の物語ですから、涙も笑いも悲しみも喜びも全てが詰まってます。 それはまるで子供の時に大事にしていた他の人から見たらガラクタばかりの宝箱のようです。 復活したばかりのシアタートップスで、ガラクタ抱えてお待ちしております。
＜概要＞
SUGARBOY 4th. 「ゴールドマウンテン」
脚本・演出：川尻恵太
CAST
松本 岳
井上小百合
小山百代 宮下雄也 新井郁
浅見紘至(デス電所) イトウハルヒ
氏次啓
川尻恵太
荒木健太朗
日程・会場：2021年11月19日(金)~12月5日(日) 新宿シアタートップス
企画・製作 MASHIKAKU
公式サイト https://sugarboy.tokyo
公式Twitter @sugarboy0625
