舞台「BASARA」演出・出演 久保田悠来 インタビュー

田村由美によって描かれた大人気コミックが22年1月に再び舞台化される。1990年〜1998年「別冊少女コミック」(小学館)にて連載され、 その圧倒的なスケールとオリジナリティー、そして多彩で魅力的なキャラクター達が登場、少女漫画の枠を超え多くの読者を魅了した大河戦記ロマンの傑作。全27巻、累計発行部数はおよそ1500万部。 1993年には、第38回小学館漫画賞を受賞し、1998年にはテレビアニメ化された。複数回に渡り舞台化されており、今作品では改めて1巻から4巻までを舞台化。2012年の舞台化の際に揚羽を演じた久保田悠来が、再び同役を演じるだけでなく、演出も手がける。これが初、となる舞台演出、 久保田悠来さんのインタビューが実現した。

――2012年に出演した当時の感想は?

久保田:当時は、座組として主演の子が中学生だったというのもありましたし、ちゃんとその物語のように自然と支えていくイメージがある中で、僕は年齢が高い方でしたからやはり全体のバランスを見ながらも楽しくやってたかなと。あとはそれぞれのキャラクターが、キャストに合っていてよかったなと思っています。

――今回は、また同じ役どころですが、初演出も手掛けます。やってみたいこと、思い描いていることなどはあるでしょうか。

久保田:もう始まった瞬間から、その世界に引き込めるような設定なり演出を考えていて。本当は砂場でやりたいくらい(笑)。砂も照明の色を変えれば海になったりもしますしね。あとは、役者たちがのびのびとできるように。僕のちょっとした手助けで、さらに飛躍してもらえることが起きればうれしいなと思っています。これからの役者人生において、いい経験ができたと言ってもらえるような…僕自身もそういう演出家さんに出会ってきましたので。

――現代では映像を使ったり、いろいろやり方はあるかと思われます。演出の手法についてはいかがでしょうか?

久保田:いわゆる昔からある舞台ならではの装置を使ったもので表現できるものにはしたいかな。プロジェクションマッピングで場所を変える、といった高度なものではなく、お客様の頭の中で想像を膨らませられながら見えやすいものにしていくと思います。まあ、ベースとしてはアナログ的な手法になるかと。僕がやってきた舞台の中ではそういうものが多かったですし。とはいえ、最近プロジェクションマッピングもいろいろ進化しているなと感じます。また表現が一段と増えたような印象を受けますし。ほかには……いつかはドローンを飛ばしてみたい(笑)。それに、床の素材が自在に変わる技術って生まれたらそれも面白そうですね。

――原作の設定は、未来とはいえあまり文明化されていないというところが印象的ですね。

久保田:一度滅びた文明の世界観ですので。そこに砂漠と、木と、古びた感じの建物……といったシチュエーションですね。

――2012年の上演時も、結構アナログ的な演出だったなと感じました。ヨーロッパでもなく日本でもない、無国籍な感じがエキゾチックですね。

久保田:田村由美先生の作品は、『7SEEDS』とかみたいにそういう世界観がよく見られますよね。それがまたいいなと。人間がどうにかして生き残っていかなくてはいけないという、空気感のためには必要なのかなとも思います。

――固定された国のイメージがない分、いろいろなことができそうですね。

久保田:そうですね。いろいろな顔の人がいてもよいですし、言葉もそうですし、いろいろな植物が生えていても問題がない。その役目を僕が担おうかなと。木の役みたいにね(笑)。

――それでは、最後にメッセージを。

久保田:演出家デビューという人間が作るものがどんなものなのか。これが一番の見ものだと思います(笑)。どこまでどういうふうにできるのか。不安はないですけれど、客席で客観的に観たい気持ちがあります。この記事を読んでくださっている方は演劇が好きな人、興味がある人でしょうから。新たな第一歩を、このメンバーで作っていきたいなと思っていますので、ぜひそこに注目していただければ。僕がお世話になっている演出家の西田大輔さん、カンパニーの例えが海で、海賊なんですね。で、毛利さんは「それなら俺は空で」と言っていったので…なら僕は「陸で」って(笑)。ロケットで宇宙に行ってもいいんですけど。その瞬間を目の当たりにしてほしいなと思います。

――ありがとうございました。公演を楽しみにしています。

<2012年公演レポ記事(アニメ!アニメ!)>
https://animeanime.jp/article/2012/12/14/12385.html

<あらすじ>
物語は文明崩壊後の日本を舞台に始まる。
暴君が支配する日本にて、日本を救う運命の子供が誕生する。
しかし運命の少年・タタラは国王の末の赤の王に殺され、代わりに双子の妹・更紗がタタラを名乗り立ち上がった。
日本を救う革命家として、白⻁の刀を携え、残りの朱雀・⻘龍・玄武の刀の継承者を探す旅に出るタタラ(更紗)。
仇とは知らずに朱理(赤の王)と偶然出会い、互いの正体を知らずに惹かれ合っていく。

<概要>
日程・会場:2022年1月13日(木)〜23日(日) 全16公演 シアターサンモール
原作:田村由美「BASARA」(小学館フラワーコミックス刊)
脚本:吉谷晃太朗 奥村直義
演出: 久保田悠来
[出演]
更紗:田中珠里/朱理:宇野結也
ナギ:岩永徹也/ハヤト:野口 準/千手姫:上西恵・田中美麗(Wキャスト)/茶々:原あや香・相沢菜々子(Wキャスト)/
座木:熊沢学・北村海(Wキャスト)/角じい:ナカヤマムブ/錵山将軍:阿見201/亜相:赤塚篤紀
四道:細貝 圭
揚羽:瀬戸祐介・久保田悠来(Wキャスト) 他
主催・制作:Office ENDLESS/TUFF STUFF
公式HP:https://officeendless.com/sp/basara-st
公式ツイッター:@BASARA2022
©田村由美、小学館/2022舞台「BASARA」製作委員会
取材:高 浩美
構成協力:佐藤たかし