田村由美によって描かれた大人気コミックが22年1月に再び舞台化される。1990年〜1998年「別冊少女コミック」(小学館)にて連載され、 その圧倒的なスケールとオリジナリティー、そして多彩で魅力的なキャラクター達が登場、少女漫画の枠を超え多くの読者を魅了した大河戦記ロマンの傑作。全27巻、累計発行部数はおよそ1500万部。 1993年には、第38回小学館漫画賞を受賞し、1998年にはテレビアニメ化された。複数回に渡り舞台化されており、今作品では改めて1巻から4巻までを舞台化。
主演の更紗に田中珠里、朱理役は宇野結也。揚羽は瀬戸祐介と久保田悠来のWキャスト。2012年の舞台化の際に揚羽を演じた久保田悠来は演出も手がける。
物語の設定は、20世紀末に大いなる災いが起こり、地球は滅亡の危機を迎え、世界の文明や科学はいったん滅び退化。そこから300年後。未だ王政の圧政に苦しむ人々。山陰地方に生まれた双子の兄妹2人が15歳になったある日、国王の末子である赤の王の軍勢が、白虎の宝刀を所持していることを謀反とみなし村を急襲。更紗(田中珠里)の大好きな兄タタラは殺される。更紗はタタラの「わたしがいない時はお前がこの村を守るんだよ」という言葉を思い出し、髪を切ってタタラとして立ち上がる。正体を隠しタタラとして生きることを決めた更紗は、白虎の宝刀を携えて赤の王を倒すべく旅に出る。
運命と時代に翻弄されるヒロイン・更紗。「私は運命の少年・タタラ!」と叫ぶ。タタラとして生きる決意をした瞬間。赤の王側は殺したはずなのに…と思う。しかし、タタラと名乗る”少年”がいる以上、ほおっておくわけにはいかない。その赤の王、朱理(宇野結也)、頭脳明晰で非凡なる策士でもあり、剣の腕も確か、カリスマ性も持ち合わせている。そんな敵同士の二人、運命のいたずらなのか、これが宿命なのか、出会ってしまう、しかも互いに敵同士とも知らずに、純粋に心惹かれあってしまう。
物語は疾走する。奇をてらわない演出、アクション、殺陣のシーンはとにかく迫力、そして芝居シーンはじっくりと緩急つける。主人公は更紗と朱理だが、脇を彩るキャラクターが個性的で彼らのストーリーも見逃せない。四道(細貝圭)と千手姫(上西恵・田中美麗Wキャスト)、王族縁の姫君で四道の婚約者。四道がタタラ(更紗)との戦いの末に命を落とすが、その哀しみの深さ、そしてタタラ(更紗)に復讐心を抱く。その四道は朱理の従兄であり親友。普段は温厚だが、戦いでは容赦なく、騙し討ちも厭わない人物。彼は朱理に想い人がいることを見抜いていたが、タタラ(更紗)との戦いで…躊躇した瞬間、彼の心の優しさが垣間見える場面は涙。遊牧民「風の民」の生き残り。常に青い衣を纏っている揚羽(瀬戸祐介・久保田悠来(Wキャスト))、ミステリアスな雰囲気、旅芸人一座では『帰蝶』の名前で女装、物語のアクセント的存在。また、タタラ(更紗)が途中で出会う少年・ハヤト(野口準)、元気いっぱい!!ナギ(岩永徹也)、角じい(ナカヤマムブ)、特に角じいが茶々(原あや香・相沢菜々子(Wキャスト))と飲み比べする場面は見どころ。また座木(熊沢学・北村海(Wキャスト))が茶々を見る眼差しが温かい。
戦いに次ぐ戦い、それは平和のため、みんなのため、更紗は髪を切って、体を張って先頭に立つ。剣術に優れ、自己犠牲をも厭わない。だが、ふと”一人の少女”に戻る瞬間、年頃の少女らしく、心は揺れ動き、恋にときめき、ちょっと幼さも見せる。そんな”素”の彼女に心惹かれる朱理もまた、カリスマ性、リーダーシップを発揮する王ではなく、若い一人の男としての純真さ、素朴さを更紗に見せる。この落差は観る人の心をつかむ。少女漫画らしい部分と大河ロマン、そしていわゆる戦記もの、原作の多面性。1990年に連載が始まったとのことだが、古くならず、むしろ今の時代に上演したい、という作り手の熱い気持ちが伝わる。キャストやスタッフのパッションでシアターサンモールが熱い熱気に包まれる。公演は23日まで。
公開稽古に先駆けて会見が行われた。
まずは見どころ、稽古のことなど。
田中珠里「初主演です、不安が大きかったですし、初めての殺陣、久保田さんが丁寧にいろいろ教えてくださって…胸を張って舞台に立てます!」
宇野結也「久保田さんの初演出は温かくて…熱い舞台を!」
細貝圭「殺陣が見どころです。久保田さん初演出、見どころは物語が進んでいくところ、久保田ワールドが細かく!」
瀬戸祐介「久保田悠来初演出、どんな演出をするのかな?と…罵声、怒号一切なし。みんなを良い風に導いてくれました」
久保田悠来「僕自身、演出をやりたいと思っていました。この原作、この時代に伝えていきたい、この想いに応えてくださった人たちとともに!間違いなく届くと思います。自信を持ってお送りできると、より多くの方に観ていただきたい」
そして初演出の久保田悠来に演出の苦労については
「苦戦したことはそんなにないです。みんなが楽しそうにやってるので。みんなで作り上げることができました、皆さんに支えていただき、嬉しい限りです」とコメント。
最後に意気込みなど。
瀬戸祐介「Wキャストになっていますので、いろんな組み合わせがあって色が違います。何回でも楽しめます。この時代に刺さる舞台です」
細貝圭「まずは怪我なく23日まで。このご時世で厳しいですが、劇場でこの世界をみてください」
田中珠里「やりたいと思っていた素敵な作品です。たくさんの方に届くと思います」
宇野結也「久保田さん初演出、田中さん初主演…『BASARA』熱い作品、全力で挑んで!」
久保田悠来「作品に出会って何か一つでも!」
<2012年公演レポ記事(アニメ!アニメ!)>
https://animeanime.jp/article/2012/12/14/12385.html
<久保田悠来インタビュー>
<あらすじ>
物語は文明崩壊後の日本を舞台に始まる。
暴君が支配する日本にて、日本を救う運命の子供が誕生する。
しかし運命の少年・タタラは国王の末の赤の王に殺され、代わりに双子の妹・更紗がタタラを名乗り立ち上がった。
日本を救う革命家として、白⻁の刀を携え、残りの朱雀・⻘龍・玄武の刀の継承者を探す旅に出るタタラ(更紗)。
仇とは知らずに朱理(赤の王)と偶然出会い、互いの正体を知らずに惹かれ合っていく。
<概要>
日程・会場:2022年1月13日(木)〜23日(日) 全16公演 シアターサンモール
原作:田村由美「BASARA」(小学館フラワーコミックス刊)
脚本:吉谷晃太朗 奥村直義
演出: 久保田悠来
[出演]
更紗:田中珠里/朱理:宇野結也
ナギ:岩永徹也/ハヤト:野口 準/千手姫:上西恵・田中美麗(Wキャスト)/茶々:原あや香・相沢菜々子(Wキャスト)/
座木:熊沢学・北村海(Wキャスト)/角じい:ナカヤマムブ/錵山将軍:阿見201/亜相:赤塚篤紀
四道:細貝 圭
揚羽:瀬戸祐介・久保田悠来(Wキャスト) 他
主催・制作:Office ENDLESS/TUFF STUFF
公式HP:https://officeendless.com/sp/basara-st
公式ツイッター:@BASARA2022
©田村由美、小学館/2022舞台「BASARA」製作委員会