鳥越裕貴主演 舞台「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」開幕!「もう、いいかい?」「まあだだよ」

根強いファンも多い「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の舞台版開幕!

原作は2011年4月から6月までフジテレビ・ノイタミナ枠などで放送されたアニメ。全11話。その後、劇場版も公開。
略称は「あの花」、「あのはな」。2012年に漫画化、2013年8月31日には劇場版が公開、2015年9月21日には実写ドラマ化。
不登校、引きこもりの主人公・じんたんに突然、死んだはずのめんまが現れたところから始まる、物語の舞台となった秩父は今もファンが訪れる”聖地”だ。

出だしは白いドレスを着た女性(横山智佐)のボーカル、こういったところは舞台らしさ。それから始まる。
アニメを見ていればわかるが、”じんたん”こと宿海仁太(鳥越裕貴)が少々いらつきながらゲームをしている。横にいるのは”めんま”こと本間芽衣子(市川美織)、彼女は実はこの世にいない存在だが、仁太には見える、いや、彼にしか見えていない。見た目は成長しているが、中身は当時のままの芽衣子。それから仁太は台所にいってラーメンを作り始める、もちろんインスタント、卵は”お約束”。仁太は高校生だが、学校に行っていない。いわゆる不登校、「あの日」からじんたんの中で何かが止まっている。父と二人暮らし。芽衣子の突然の死、母と死別、高校受験にも失敗、心に深い傷を負った仁太、自ら壁を作り、人と関わらないようにしていた。

 

小学生の頃は活発だった仁太、仲が良かったクラスメイトたちと結成した「超平和バスターズ」秘密基地も決めて、いつも一緒だった。「あの日」から、ギクシャクした関係になり、そのまま時が流れていた。
そんな彼に、芽衣子は『お願いを叶えて欲しい』と言う。彼女の願い、そして、かつての「超平和バスターズ」の仲間たちが、少しずつ動き出す。

 

 

海外を旅をして回っていた”ぽっぽ”こと久川鉄道(伊勢大貴)が帰ってきた、テンション高い。今時の高校生ファッションに身を包んだ”あなる”こと安城鳴子(桃月なしこ)、勉強して進学校に進んだ”ゆきあつ”こと松雪集(佐香智久)、”つるこ”こと鶴見知利子(椿梨央)。もちろん、仁太の話はにわかには信じられない。だが、皆、めんまのことでは皆、どこか引っ掛かっていた、いや、心に何かを抱えていた。めんまの願いは?バラバラになっていた5人が再び動き出す。

アニメは全部で11話、そして劇場版で完結する形の作品、それを舞台にするのにはかなりの苦労があったと思う。どこをクローズアップするのか、どこをカットするのか、ここは悩みどころだが、仁太と芽衣子を軸にサイドストーリーもしっかり描かれており、原作ファンも納得できる作り。子供時代の彼らが登場し、無邪気に「超平和バスターズ」を結成するところや、「あの日」のやりとりの場面を成長した彼らが見ている構図は、今の彼らの状況との差が、観客に切なさと心の痛みを感じさせる。

子供時代は楽しかっただけではない、苦い思い出のひとつやふたつはある。そんな記憶を呼び起こさせるようなシーン、共感とちょっとちくっとする痛みが沸き起こる。容姿にコンプレックスを持っていた安城鳴子、芽衣子に片思いの松雪集、成績優秀で大人びている鶴見知利子、集にちょっと思いを寄せていたりするも気づいてもらえない、可愛らしい芽衣子にはどこかかなわないとも思っている、幼い頃は小柄だった久川鉄道。

そういったキャラクターも舞台ではくっきりと、そして脇の大人たち、娘の死から立ち直れない母・本間イレーヌ(麻生かほ里)が、娘のクラスメートたちが成長しているのを目の当たりにして「なんで、あなたたちだけ大きくなったの?」と激しく慟哭する。妻を亡くし、一見飄々としているが、毎日、妻の写真に話しかけている仁太の父・宿海篤(小林けんいち)。また、入院している仁太の母・宿海塔子(横山智佐)のところに時折見舞いにくる芽衣子が描かれているが、塔子は息子が我慢していることに気がついており、芽衣子にあるお願いをしていた。

 

中央に周り舞台、後方には秩父を思わせる緑、「あの花」の世界が広がる。俳優陣も宿海仁太役の鳥越裕貴をはじめ、キャラクターにあっており、アニメファンだけでなく、まだ、「あの花」を体験してない観客はきっと、原作を観たくなるはず。物語もオチも、登場人物全ての性格やバックボーンを知っていても、ついつい観入ってしまう。心に奥深くしまいこんでいた感情、思い。

松雪集の異常とも思える行動、過去に囚われている姿、皆にみつかり、崩れ落ち、泣く姿につい涙。そして皆、芽衣子の願いを叶えようと一丸となって進んでいくにつれて、彼らの心に光が差し込む。芽衣子、めんまはなぜ、かつての仲間の前に現れたのか、ただ、みんなに会いたい、ただ、それだけだったのかどうかは見る人それぞれの解釈があるであろう。ただ、ひとつ、言えるのは、これがきっかけで離れていた5人が寄り添うようになったこと。ラストシーンはジーンと込み上げてくるものがある。


「もう、いいかい?」「もう、いいよ」かくれんぼでよく使うフレーズだが、奥が深い。繰り返し、上演してほしいと思う。なお、ロビーでは聖地である秩父の商品も販売。

配役
宿海仁太(じんたん):鳥越裕貴
本間芽衣子(めんま):市川美織
安城鳴子(あなる):桃月なしこ
松雪集(ゆきあつ):佐香智久(少年T)
鶴見知利子(つるこ):椿梨央
久川鉄道(ぽっぽ):伊勢大貴
宿海塔子:横山智佐
宿海篤:小林けんいち
本間聡志:小辻庵
本間イレーヌ:麻生かほ里
本間学:河合龍之介

物語
高校へ行かず引きこもりぎみの仁太の前に、 死んだはずの友達・芽衣子が突然現れる。 彼女から”お願いを叶えて欲しい”とお願いされる仁太。
芽衣子は小学校時代の「超平和バスターズ」というグループの1人で、 仲が良い6人組だった。 芽衣子の死がきっかけで離れ離れになってしまった5人だったが、 芽衣子が現れたことがきっかけで、 鳴子・集・知利子・鉄道も、お願いを叶えるため再び集結する。
そんな 6 人によって動き始める、ひと夏の奇跡の物語。

概要
日程・会場:2022年2月2日〜2月6日  あうるすぽっと
原作:「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」
脚本:畑雅文
演出:宇治川まさなり
制作:株式会社コントラ
制作協力:株式会社 S-SIZE
プロデューサー:片岡義朗 慶⻑聖也

WEB:https://anohanastage.com

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