明治座『前川清・藤山直美公演』開幕!

明治座『前川清・藤山直美公演』が開幕した。公演は3月13日まで。第一部は笑いと感動のお芝居、第二部は前川清オンステージ!懐かしのあの曲や今だから話せるエピソードも!

2月18日より、明治座『前川清・藤山直美公演』が始まった。第一部はお芝居。時代は昭和初期の大阪・法善寺横丁。法善寺といえば、織田作之助の小説「夫婦善哉」や藤島桓夫の演歌「月の法善寺横町」で知られている大阪でも随一の観光スポット。多くの文人や芸人に親しまれ、歌碑や文学碑などが点在する。法善寺には阿弥陀如来が安置され、水掛不動尊(不動明王)にお詣りに来る人で列ができるほど。ミナミの繁華街にありながら、静かななにわ情緒が楽しめる。石畳の横丁界隈は老舗の割烹やバー、お好み焼き、串カツ店など大阪の味処がひしめきあうグルメスポットでもある。
東西両端にある門にそれぞれ掲げられた「法善寺横丁」の文字は、西は藤山寛美、東は3代目桂春団治によるもの。
そんな法善寺の小料理屋『誠志郎』、いかにもリアルにありそうな店。そこの女将の辰子(藤山直美)が父の遺志を継いで店を切り盛りしている、という設定。水掛不動尊の住職・少庵(池乃めだか)の元に昔、誠志郎の世話になり、東京で板前をしていた徳三(前川 清)がやってくる。しかし、誠志郎が亡くなっていることを知り、肩を落とす。辰子の計らいで徳三は『誠志郎』で働くことに…というのが大体の流れ。

始まって早々に前川清、藤山直美、池乃めだかの軽妙な掛け合い、心温まるシーンなどが目白押し。なんとなくオチも見えてしまうかもしれないが、温かい結末。実はこの公演、コロナ禍で一度中止となった公演、心のふれあい、やりとりがより温かく感じられる。また、皆、芸達者で見せ所もきっちり。上方の俳優陣多数出演、東京・明治座で上方の雰囲気が充満。ほんわかした前川清、そこにしっかり者の辰子演じる藤山直美、絶妙のコンビネーションで芝居が盛り上がる。また池乃めだかが流石の吉本、笑わせる(俳優陣多数出演シーンで小さくて見つからないギャグでは笑いが)。2幕もの、長さを感じさせない、楽しい舞台。
休憩を挟んで、第二部は前川清オンステージ。衣装も何度か着替え、サービス満点。最初の方で藤山直美の朗読(スライド)、前川清とのエピソードを。また、前川清自身の思い出、一定の世代には懐かしい「内山田洋とクールファイブ」や萩本欽一、志村けんとのエピソードも披露。昭和の歌謡番組や紅白歌合戦、またフジテレビ系『欽ちゃんのドンとやってみよう!』などが脳内に。その後の楽曲は、もちろん!『東京砂漠』『長崎は今日も雨だった』『中之島ブルース』などを熱唱。あっという間の楽しいショーであった。

初日後、会見が行われた。登壇したのは前川清と藤山直美。
まずは挨拶。

前川清が「初日を迎えました。一生懸命に歌って、皆様に伝われば」と言い藤山直美も「無事に初日を迎えられました。今までは無事に初日が迎えられると思ってましたが、いろんな舞台が中止になったりして…」とコロナ前は”当たり前”だった初日が普通に開くこと、それが幕が開いても中止になる舞台が相次いでいることに触れた。そして「一生懸命に感謝して務めます」と挨拶。
また、芝居パートについては前川清が「物覚えが悪いのでセリフも短いのしか言えませんが、芝居は楽させてもらってます。与えられたセリフを忘れることなく自分自身でやれる精いっぱいのことをやってるつもりです…一語一句に心を込めて千秋楽まで頑張ります!」と言い、それを受けて藤山直美が「前川さんは2行以上のセリフはしゃべれない、4畳半以上は動けない」と笑わせた。そして「前川さんの本職は歌手。歌詞と同じで、セリフの理解力がすごく深いんです。感性で演じられるところが多くて…役者みんなも熱を持って頑張ってます」と語る。また、前川清が藤山直美の芝居を「お客様より近いところで聞いてる自分が幸せ」と絶賛。藤山直美も「現在進行形で歌える」と前川清の歌のパワーを。
最後に締め。
「楽しんでいただいて『行ってよかったよ』と。こういう状況ですが、安心してご来場できるように。みんな精一杯やっています」と言い、藤山直美は「大阪の道頓堀、法善寺の雰囲気を味わっていただけたら」と締めくくり、会見は終了した。

<第一部:恋の法善寺横丁>
昭和のはじめ、 法善寺の小料理屋『誠志郎』女将の辰子(藤山直美)は、
父親で若くして亡くなった先代の主人・誠志郎(田村亮)の遺志を継ぎ
必死に店を切り盛りしてきた。
そこへ昔お世話になったと言って徳三(前川 清)がふらりと訪ねてくる。
誠志郎が亡くなったと知り途方に暮れる徳三だが、
辰子の計らいでしばらく店で働くことに。
ある日のこと、板長が店の金を持ち逃げし店中が大騒ぎ。
店は存続の危機。
そんな時、徳三の料理の腕前に一同が驚く。
『誠志郎』の味を完璧に再現した徳三の料理は店の窮地を救い、
やがて評判を呼び店は大繁盛。
いつしか辰子と徳三の間にも女将と花板という
立場を越えた感情がお互いに芽生えはじめるのだが…
― 法善寺に花咲くふたりの恋模様―
 笑いと涙に満ちた人情物語

<公演概要>
日程・会場:2022年2月18日〜3月13日 明治座
演目:
第一部 「恋の法善寺横丁」
第二部 「前川清オンステージ」

公式HP:https://www.meijiza.co.jp/lineup/2022/02/
公式ツイッター:https://twitter.com/meijiza_theater