ヨハン•シュトラウスⅡ世 生誕200年記念東京二期会『こうもり』上演中@日生劇場

きらびやかな舞踏会、嘘と仮面と大どんでん返し、19世紀ウィーンが生んだオペレッタの王様ヨハン・シュトラウスⅡ世(1825–1899)の『こうもり』は、ワルツやポルカの華やかな響きとともに、人間の本音と欺瞞を軽妙に描き出す不朽の名作。2025年は作曲家の生誕200年。
指揮は、2015~23年ハイデルベルク歌劇場およびハイデルベルク・フィルハーモニーの音楽監督を務め、本年より札幌交響楽団首席指揮者に就任した エリアス・グランディ。ドイツと日本にルーツを持つ彼は、ゲオルグ・ショルティ国際指揮者コンクール第2位(2015年、1位なし)を機に注目を集め、ザクセン州立歌劇場(ゼンパーオーパー・ドレスデン)、フランクフルト歌劇場、ウィーン交響楽団など名門での客演を重ね、そして、来シーズンよりプラハ放送交響楽団の首席指揮者兼芸術監督就任も決定。世界的に大きな期待を寄せられている俊英。
東京オペラ指揮デビューとなる本公演では、オペレッタに欠かせない軽やかさと遊び心、そして人間の感情のほつれまでも描き出す音楽で、舞台に世界標準のクオリティをもたらす。歌唱はドイツ語、台詞は日本語――ハイブリッド上演に最適の存在。
演出は、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、チューリヒ歌劇場の名門で総裁を務めてきた アンドレアス・ホモキ。
2017年、2021年と東京二期会が上演してきたこのプロダクションは、スタイリッシュな舞台美術と社会風刺が話題を呼び、好評を博してきたが、今回はその集大成となる日本での最終公演。

キャストは人気歌手と若手注目株が競演。前回公演でも絶賛されたキャストに加え、若手注目のバリトン黒田祐貴、菅原洋平が物語のカギを握るファルケ役で競演。
ウィーンをはじめドイツ語圏の国々の歌劇場では年末年始恒例の出し物となっている『こうもり』。また、オペラはみたことがないが、曲は知っている、という方々も多い。
始まる前、セットに白い布が被せてある。それを取るとセット、舞台は八百屋になっており、木材を中心にした温かみのあるテーブル、クローゼットなど。そして始まる。


セリフは日本語、言葉遣いは現代風、『こうもり』はオペレッタ、基本的には喜劇であり、軽妙な筋と歌をもつ娯楽的なもので、ハッピーエンドで終わるのが主流。一般的にはオッフェンバック、スッペ、ヨハン・シュトラウスの系統に属する作品を「オペレッタ」と呼ぶ。この『こうもり』はヨハン・シュトラウスⅡ世の代表作。
登場するキャラクターは今風に言えば「キャラ立ち」、個性的な面々が次々に登場。アイゼンシュタインは役人を殴ったことで禁固刑を申し渡されてしまう。妻のロザリンデは弁護士のブリントに弁護を頼むも、下手な弁護でかえって景気が延びる、といった有様。そんな折にファルケ博士が登場。

 

楽しいパーティがあるから刑務所に入る前にこっそり行こうと誘う。彼らがいなくなったところでロザリンデのかつての恋人アルフレード、ロザリンデと逢引したい、少々迷惑だが、ロザリンデもまんざらではなさそうな雰囲気。ところが刑務所長フランクがやってきたので咄嗟にアルフレードを夫にして刑務所へ。そして2幕はオルロフスキー邸、ここでは華やかな舞踏会が開かれている。ファルケ博士はオルロフスキーに「今夜は“こうもりの復讐”という楽しい余興がある」と告げ…というのが大体の流れ。


華やかで快活な序曲、『時計の二重唱』や『アデーレのアリア』、『チャルダッシュ』など聴きどころも多く、また、アドリブも。途中で客いじりもあったり、客席から笑いが起こったり。また、舞台装置が場面ごとにダイナミックに変化。大きなシャンデリアは圧巻。オルロフスキーはカウンターテナーもしくはメゾソプラノだが、ここではメゾソプラノ。また、この舞踏会にやってくる主要人物が”変装”してやってくるのも面白さの一つ。女中のアデーレは女優オルガと名乗り、しかもロザリンデのドレスをちゃっかり拝借、問題のアイゼンシュタインはフランス人侯爵になったり、彼を収監しようとしている刑務所長フランクは偽名を使って舞踏会に潜り込み、ロザリンデは仮面をかぶってハンガリーの伯爵夫人に変装。

かなりのカオスな状況がおかしく、彼らのやり取りが楽しい。セリフが日本語でわかりやすく、オペラ、オペレッタ初心者でも十分楽しめる。すったもんだの末にお決まりのハッピーエンド。最後の最後に有名な「シャンパンの歌」で全てをシャンパンと共に”流して”しまう。


ヨハン・シュトラウスⅡ世 生誕200年、そしてこのオペレッタが発表されたのが1874年、アン・デア・ウィーン劇場。ウィンナ・オペレッタの中でも最高峰、公演は日生劇場、30日まで。なお、アニバーサリーイヤーなので年明けには新国立劇場でも。演出も出演者も異なるので、2公演楽しむのも一興。

公演概要
ベルリン・コーミッシェ・オーパー提携公演
東京二期会オペラ劇場 NISSAY OPERA 2025提携
ヨハン・シュトラウスⅡ世 『こうもり』
オペレッタ全3幕 日本語字幕付原語(ドイツ語)歌唱、日本語台詞上演
日程・会場:2025年11月27日(木) 18:00、11月28日(金)・29日(土)・30日(日) 各日14:00開演〈全4公演〉日生劇場
指揮:エリアス・グランディ
演出:アンドレアス・ホモキ
舞台美術:ヴォルフガング・グスマン
照明:フランク・エヴィン
合唱指揮:キハラ良尚
演出助手:上原真希
舞台監督:幸泉浩司
公演監督:澤畑恵美
公演監督補:大野徹也
出演(配役)
11/27(木)・29(土)
アイゼンシュタイン:大沼 徹
ロザリンデ:吉田珠代
フランク:杉浦隆大
オルロフスキー:一條翠葉
アルフレード:金山京介
ファルケ:黒田祐貴
ブリント:持齋寛匡
アデーレ:高橋 維
イダ:石野真帆
フロッシュ:鹿野由之
11/28(金)・30(日)
アイゼンシュタイン:又吉秀樹
ロザリンテ:木下美穂子
フランク:山下浩司
オルロフスキー:小林由佳
アルフレード:大槻孝志
ファルケ:菅原洋平
ブリント:新津耕平
アデーレ:清野友香莉
イダ:村山 舞
フロッシュ:鹿野由之
合唱:二期会合唱団
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
2025/2026シーズン特別協賛企業:
興和株式会社、ソニーフィナンシャルグループ株式会社、ダイドー株式会社、
東京海上日動火災保険株式会社、三井住友銀行株式会社、株式会社龍角散
協賛:みずほ証券株式会社、三井不動産株式会社 支援:大村未来基金、服部未来基金、宗次未来基金
後援:ドイツ連邦共和国大使館 共催:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]

公式サイト:https://nikikai.jp/lineup/fledermaus2025/

写真提供:公益財団法人東京二期会
撮影:寺司正彦