『Jewels from MIZUKA 2025 ジュエルズ・フロム・ミズカ 2025』の合同記者会見が行われた。登壇したのは上野水香(東京バレエ団ゲスト・プリンシパル)と黒岩祐治(神奈川県知事)。
神奈川県民ホールは、令和7年1月に開館50周年を迎え、同年4月から休館。3月には休館前最後を飾るイベント月間として、神奈川県主催による「ありがとう神奈川県民ホール」を開催。その一環として、神奈川県出身でかながわ観光親善大使を務める上野水香(東京バレエ団ゲスト・プリンシパル)をプロデューサーに迎えたバレエ・ガラ公演「Jewels from MIZUKA 2025」を実施。
数々の名舞台を上演し、県のバレエ文化を牽引してきた神奈川県民ホールで、上野水香と国内外の第一線で活躍する実力派ダンサーが集結し、バレエ発祥の地・神奈川らしいバレエ・ガラで50年の輝かしい歴史を祝う(2014,2018年に県民ホール主催にて同シリーズ公演実施)。日本バレエ文化の発祥は、鎌倉・七里ガ浜といわれている。1919年にロシアから来日したバレリーナ、エリアナ・パブロバが国内初のバレエスクールを開いたのが始まり出そう。
黒岩神奈川県知事より挨拶、上野水香の経歴を説明。上野水香は神奈川県鎌倉市出身。5歳よりバレエを始め、15歳でローザンヌ国際バレエコンクールにてスカラシップ賞を受賞した後、モナコのプリンセス・グレース・クラシック・ダンス・アカデミーに2年間留学。2004年、東京バレエ団に入団。プリンシパルとして日本最高峰のバレエ団で主演を務めてきた。代表作は『ボレロ』 。20世紀を代表する世界的振付家である故モーリス・ベジャール氏から直接『ボレロ』の指導を受けた最後のダンサーであり、日本人女性として初めて踊ることを許された上野水香、また、これまでの功績が認められ、令和3(2021)年度(第 72 回)文化庁 芸術選奨舞踊部門 文部科学大臣賞を受賞。令和5(2023)年 紫綬褒章受章。現在は東京バレエ団 ゲスト・プリンシパルに就任。
神奈川県民ホールとの関わりとしては『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』、『ジゼル』の全幕作品に主演している。また、 〈ファンタスティック・ガラコンサート〉に平成 20(2008)年より毎年出演しているほか、平成29(2017)年に〈ウィンター・ガラ〉『ボレロ』等に出演。平成26(2014)年、平成 30(2018)年には自身のプロデュース公演〈ジュエルズ・フロム・ミズカ〉、〈ジュエルズ・フロム・ミズカ II 〉を実施。
上野水香は「子供の頃から家から一番近い大劇場がここでした…海外のカンパニーの来日公演とか、見に来るのはいつもここだったんです。それがやっぱり子供のときから本当に馴染みのある劇場でした。特別な気持ちで大切にさせていただいてきた場所です。」と語り、続けて「2008年から毎年欠かさず出演させていただいているファンタスティック・ガラコンサート、これがないと年が越せないぐらい大切にしてきました」と語る。また「2017年は先ほど知事がおっしゃっていましたが、ここでモーリスベジャールのボレロを踊らせていただきました」と、県民ホールと共に歩んできた上野水香。また自身の初プロデュース公演も神奈川県民ホール、「個性が輝けるような、そんな舞台にしたいなと思って…すごく温かみのある舞台にしたいなっていうのがまず最初ありましたが、そういう意味でもすごく嬉しかったです」と振り返る。老朽化のため、閉館する神奈川県民ホール、「私にとってあまりにも思い出深い素晴らしいホールが休館になってしまう本当に寂しい、神奈川県民ホールは本当に私にとっていつも特別な場所、憧れが詰まっている」と語る。神奈川県民だけでなく、公演を観に遠方から訪れる観客にとっても閉館は寂しいこと。
そして今後のことだが、「大規模修繕を何度も繰り返してまさに限界が来てしまいました…どんなふうにするかは、これから決めていきたい」とのこと。ただ、近年、首都圏の劇場やホールの休館が続いている。黒岩神奈川県知事は「大規模な会場を確保することが難しいことについては、非常に重大な問題と捉えています。県内の鎌倉芸術館や横須賀芸術劇場とうまく連携して舞台芸術を継承していきたい」と語る。また、神奈川県相模原市で建設が進められている中央新幹線の神奈川県駅(仮称)を、エンタテインメント発信の場として活用する取り組みを進めていることも明かされた。
「Jewels from MIZUKA 2025」では、マリウス・プティパ振付「ドン・キホーテ」、モーリス・ベジャール振付「ルナ」、サン=レオン振付「コッペリア」、ブラウリオ・アルバレス振付新作「パリのアメリカ人」、岡崎隼也振付による新作、金森穣振付作品が披露される予定で、上野は「ドン・キホーテ」「ルナ」「パリのアメリカ人」に出演する。上野は「ルナ」に言及し、「憧れ続けた作品なので、今回挑戦することができてとてもうれしいです。『ルナ』は神奈川県民ホールの最後に踊るにふさわしく、エモーショナルな気持ちを込めやすい作品です。ヨハン・ゼバスティアン・バッハの音楽に寄り添った振付がついているので、『ルナ』を踊ることで“自分自身が音楽になれたら”と思います」と作品について語った。3月8日、一回限りのプレミアムな公演となる。
概要
日程・会場:令和7年3月8日(土曜日)15時開演(14時15分開場)神奈川県民ホール 大ホール
出演(予定):
上野水香
中村祥子 吉岡美佳
厚地康雄 秋元康臣 ブラウリオ・アルバレス
柄本弾、沖香菜子、宮川新大、池本祥真
ほか 東京バレエ団より出演
プログラム(予定)
マリウス・プティパ振付 『ドン・キホーテ』より
モーリス・ベジャール振付 『ルナ』
サン=レオン振付 『コッペリア』より
ブラウリオ・アルバレス振付新作 『パリのアメリカ人』
公式サイト:https://www.kanagawa-kenminhall.com
主催:神奈川県、神奈川県民ホール