1930年代のイギリス、未来のエリートを養成すべく、上流階級の子息が学ぶパブリックスクール。 伝統と規律を重んじる男子だけの寄宿生活でみずみずしく描かれる、少年たちのロマンス、抵抗と葛藤、そして挫折……。果たして、彼らの本当の居場所はどこにあるのか?
『アナザー・カントリー』は劇作家ジュリアン・ミッチェルによって書かれた戯曲で、1981年ロンドン、ウエストエンドのグリニッジ・シアターで初演し、ロングラン。
同性愛に偏見が強かった当時、 そのタブーに鋭く斬り込んだ本作は、大きな衝撃と感動を巻き起こし、翌年のウエストエンド劇場協会賞(現ローレンス・オリヴィエ賞)にて最優秀演劇賞を受賞。舞台では、主役ガイ・ベネッ トを本作が初舞台のルパート・エヴェレットとコリン・ファース、そしてトミー・ジャッド役をまだ駆け出しだったケネス・ブラナー、ダニエル・デイ=ルイスらが演じた。後にルパート・エヴェ レットは映画『ベスト・フレンズ・ウェディング』、コリン・ファースは映画『英国王のスピーチ』 で主演、ケネス・ブラナーは英国一のシェイクスピア俳優と称され映画監督としても活躍、ダニエル・デイ=ルイスはアカデミー主演男優賞を3度受賞。彼らが現在、英米演劇界を支える名優になっていることを考えると、まさにスターへの登竜門的作品。
1984年にはマレク・カニエフスカ監督により映画化。舞台に引き続きルパート・エヴェレットがガイ・ベネット、コリン・ファースがトミー・ジャッドを演じ、世界中で大ブレイク。特に日本では英国美少年ブームの先駆けとして、今なお絶大な支持を得ている。
2013年にはBBCのラジオドラマとして放送、トミー・ジャッド役にトム・ヒドルストン(映画『マイティ・ソー』ロキ役)が演じたことも有名。
この伝説の名作に、日本のカンパニーが挑む。演出を務めるのはこれまでも数多くの海外戯曲を手掛け、繊細な心理描写で知られる鈴木勝秀。自由を求める同性愛者ガイ・ベネット役に、和田優希 (Jr.SP/ジャニーズJr.)、ガイの盟友で共産主義に傾倒するトミー・ジャッド役に鈴木大河 (IMPACTors/ジャニーズJr.)。その他、気鋭の若手俳優が集結し、ホルスト作曲『木星』が流れる中、あたかもドキュメンタリーのような世界が舞台上で。
思春期ならではのまっすぐな熱情と思考、権力闘争、階級社会への疑問、資本主義と共産主義の対立など、様々なテーマを内包した本作。特に世界が混沌としている現在、自分らしく生きるには?
「アナザー・カントリー」とはどこか? それは「ここではないどこか」である。
ジュリアン・ミッチェルの『アナザー・カントリー』は、1930年代初頭のイギリスのパブリックス クールを舞台に、 当時忌避されていた「同性愛」「マルクス主義」を求め、アウトサイダーとして生きる少年たちを 描き出している。
10代後半の男子だけの寮生活。 そこには厳しい規律が存在し、しかもそれを同じ学生同士が監視し、ルールの順守を求める。 規律に背く者は鞭打ちの刑に処され、将来すら奪われる。 それでも同性を愛し、マルクス主義に傾倒していく少年の求めるものは何か? それは「自由」である。 そして、自分を取り巻く閉塞状況を打破し、自由を獲得しようとするのは、普遍的な若者の行動原理なのである。
「アナザー・カントリー」、行けたとしても、それは必ずしも正解ではない。 マルクスの『資本論』も、結局は正解ではなかったことは、21世紀を生きるわれわれはすでに知っ ている。 だが、少年にとって「正解」など必要ないのである。「ここではないどこか」へ行くこと、それが すべてなのだ。
現在、全世界的に「分断」「格差」「差別」が大きな問題になっている。
そして、若者が無意識に「今より悪くならないこと」を選択している。
だが、本来若者は冒険を求めるものだし、それが社会を進化させ、発展させてきたのではないだろ
うか。
舞台『アナザー・カントリー』を通じて、少年期・青年期を生きることを、今一度考えてみたい。
鈴木勝秀(suzukatz.)
物語
1930年代、イギリス。将来のエリートを育成することを目的とした良家の子息のみが集う名門 パブリックスクール《ガスコイン・ハウス》で、ガイ・ベネットは親友のトミー・ジャッドと共に 伝統と規律を重んじる堅苦しい寄宿制の寮生活を送っていた。
ある日、学内で寮生の一人の遺体が発見される。彼は禁忌とされている同性愛の現場を寮監の教師
に見つかってしまったことを苦に自殺を図ったのだった。
寮長・バークレイは自らの力不足を思い悩み、次期寮長候補のメンジース、選ばれし特権階級生
<トゥエンティトゥー>のメンバー・デラヘイたちは事件を収束させるべく動く。
事件を機に寮生たちが様々な思いをめぐらせていく中、ベネットは監督生たちからさらなる反感を
買う出来事を起こしてしまう━。
コメント
上演台本・演出:鈴木勝秀より
Boys always work it out
アナザー・カントリー。
少年はいつでも、ここではないどこかに憧れる。
同性愛、共産主義──大人たちが忌み嫌うものに惹かれる。
そして拒絶される。
だから苦悩し、反抗し、葛藤する。
だが、住めば都なんて老人の戯言だ。
現状に満足したら、それは若さを放棄したことになる。
ここではないどこか、現在ではない未来のどこか。
少年たちは、そこに生きる。
結果など、どうでもいいのだ。
鈴木勝秀(suzukatz.)
ガイ・ベネット役:和田優希(Jr.SP/ジャニーズJr.)
今まで舞台の経験が無く、しかも今回は主役を務めるということで、最初は 「本当に和田で良いのか!?」と思いました。が、初めてだからこそ、そん なに作ろう作ろうとしなくても、この舞台色に染まることが出来る気がしま す。 1980年代にイギリスで話題となった『アナザー・カントリー』の舞台や映画を知っている方も多いと思いますが、そのイメージを壊さない様に演技していきたいです。 共演の鈴木大河君は2歳上の兄貴分なので、頼れるところは頼りつつ、お互い演技を高め合いながら頑張ります。
トミー・ジャッド役:鈴木大河(IMPACTors/ジャニーズJr.)
色々なところで制服を着て高校生役をやりたいと言っていたので、今年24歳になるのですが、舞台の中で高校生活を楽しみたいと思います。 こういった舞台は初めてですが、役を演じるのでは無く、その役になれる 様、全力でぶつかります。 和田君はまぶしいです(笑)。彼に負けないくらいのフレッシュさと、演じ るトミーの芯のあるところ、存在感を示していきたいです。IMPACTors の鈴木大河とは違った僕をお見せ出来ると思いますので、是非楽しみにしていて下さい!
概要
舞台『アナザー・カントリー』
作:ジュリアン・ミッチェル
訳:北丸雄二
上演台本・演出:鈴木勝秀
キャスト:
和田優希(Jr. SP/ジャニーズJr.)鈴木大河(IMPACTors/ジャニーズJr.)/
多和田任益 嘉島陸 山時聡真 岡田翔大郎 中山咲月 近藤廉 浦上晟周/おかやまはじめ
日程・会場:
東京公演:2022年6月24日(金)~7月3日(日) よみうり大手町ホール
大阪公演:2022年7月7日(木)~7月10日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
福岡公演:2022年7月12日(火)~7月13日(水) キャナルシティ劇場
問合: 0570-00-3337 (平日12:00~15:00)
公式サイト:https://another-country.com
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