今秋9・10月に東京・Bunkamura シアターコクーンにて上演されるスペインを舞台にした愛の悲劇『血の婚礼』。
抑えきれない愛と衝動を描いた本作。都内で製作発表会が行われた。
登壇したのは、木村達成、須賀健太、早見あかり、安蘭けい、そして演出の杉原邦生。
杉原邦生がまず挨拶「実は海外の戯曲を演出するのは3年ぶりでドキドキしている」と開口一番に。「新しい新訳の台本を頂きまして、皆さんが動きやすい言葉になっています、美しい皆さんがドロドロの悲劇を演じます」とコメント。
木村達成は「登場するキャラクターは、各々、別の欲望を持って突っ走っている。僕が演じるレオナルド、唯一、名前が与えられています。ドロドロでやっていきたい」と語る。
木村が演じるのはレオナルド、早見あかり演じる”花嫁”のいわゆる”元カレ”。それ以外の役は、須賀健太が”花婿”、安蘭けいは”母親”、木村以外の登場人物には名前がないのが特徴。また、このレオナルドの意味、「レオナルド」は”強き獅子”を指す、百獣の王。スペイン語でライオンは『león』、『レオン』と発音する。「男の中の男、理想の男性、という役柄ですので逞しく、そして自分にしかないオーラを」とコメント。
須賀健太は”花婿”、つまりこの物語では、結婚式の当日に”花嫁”をレオナルドに取られてしまう役柄。「一番、親近感のある役かな?」とコメント。「奥さんを取られてしまう役です…単純にかわいそうだけではない人間の欲望をさまざまな側面から表現しています」と言及。
早見あかりは「どのキャラクターも愛に対するエネルギーがすごい…パワーが必要な作品」と語る。「このパワー、舞台でやることに意味があると思っています。生で感じることができる、それが舞台。その熱量をお客様に伝えられるように稽古でブラッシュアップっさせて、伝えられればいいなと思っています。体力勝負なので、この作品に負けないように、よく食べて、よく寝て一生懸命に稽古したい」と語った。
安蘭けいは”母親”、「外の暑さに負けないくらい熱い熱い舞台ができると思います。台本見て『なんてセリフ多いんだろう』と。覚えられるのかなという不安を持ちながら…ただ、それぞれの役をそれぞれの声で読んでいるのを聞いて、物語が自然と自分の中に入っていって、ようやく物語が入ってきたなと。セリフの量は多いけど、気持ちが入ってちょっとホッとしています。稽古が始まっていますが、この20代3人のパワーを頂きながら、それ以上のパワーを…愛情あふれる激しい舞台ですが…」と語った。
それから質疑応答。物語についての質問が出た。
演出の杉原邦生は「実は花嫁はその元カレがまだ好きで、それを知らずに、純朴な花婿は彼女を好きになって。結婚式当日に(レオナルドと花嫁は)駆け落ちするんですね、漫画みたいですね、そのくらいドロドロです。愛に突っ走る、ドロドロの話ではありますが、清々しく、かっこよく美しくもある…そういうところを見せれればいいなと思っています。スペイン独特の言い回しはありませんが、 翻訳劇のセリフにはなっています。俳優さんには喋りやすい、言いやすい台詞回し、観客にとっても聴きやすいセリフになっています。劇の世界に没頭できるようになればいいなと思っています」と語り、そこで木村達成が「昨日も稽古でしたが、『この言い回しはどうしようか』というのをお話しさせていただきました。口ずさんでしまいたくなるような言い回しで、そこに魂も持ってて、セリフを歌うっていうんでしょうか、ちょっとラップバトルのような、そういうところも注目していただければ、と思います」と語った。
また、最近、愛を感じましたか?という質問が出た。
杉原邦生は「感染症を発症した時にびっくりするくらい、いろんな食べ物が食べきれないくらいが送られてきました、愛を感じました」とコメント。
早見あかりは「娘がいまして、台本読んでる時も、ちょっとほっといてほしい時も『ママ、ママ』ってずっと言われてて、どうしたら面白くなるかな?と思って『ママでーーーーーーーす』って言ったら、真似するようになって(笑)。『可愛いな、愛だな』と。愛は娘ですね」木村達成は「愛を超えることはできない」と名言。さらに「最近、ない。身近な方、ボクに愛をください」と笑いを誘った。須賀健太は「よく行くお寿司屋さんで、「よく行くお寿司屋さんでウニ2種イクラ2種の丼を頼むんですけど、ウニが3種乗ってきました、愛です(笑)」安蘭けいは「愛ってなんだろうな…というふうに日々思いますね」とコメント。
また楽曲、歌についての質問、
杉原邦生から「角銅真実さん、古川麦さんですが、角銅真実さんは過去に何度かご一緒していて、人柄もふわっとしてて、音楽も優しい部分がある、包み込むようなおおらかさがある。その後のジャズぽさ、その両極端なところが魅力。この作品も『愛』、優しい、おおらかな。ところがこれが激しすぎると狂気になっていく。彼女がこの作品に交わっていくことで、その作品の魅力を引き出してくれる、出来上がっているのは数曲、その歌稽古をやったのですが、歌が難しい、リズムが4分の5拍子、摩訶不思議な曲調。そこに難しいメロディが乗って、苦戦しながらやっているのですが、昨日歌稽古やりまして、きちんと俳優さんの体に入って、舞台に立ったら、すごくかっこよくっていいものになるなっていう予感がします。このメロディを変えずにこのまま頑張って練習してもらおうと、昨日心に誓いました(笑)」それを受けて早見あかりは「本当に初めて聴いたとき、『え?』…でも練習するに従って、耳に染み込んでいくと、すごく癖になるし、わかるやすく感じてくるんですよ、不思議なことに、あのメロディが随所に出てきて、お客様も癖になるのかな?と思っちゃうくらいにあるセリフが分かりやすくって癖になる。本当にしっくりくるように、譜面見ながら一生懸命に…様子見ながら、それが染み込んでいくとすごく素敵なものになるんじゃないかなと。今は楽しみです」と語る。音楽の力、ここは観客側にとってお楽しみポイント。「スペイン、フラメンコもあると思うし、昨日練習した曲は、前のももちろん、皆さんがおっしゃるように、たくさん詰まっている…僕はミュージカルをやらせていただくことが多いのですが、難しい曲はたくさんあります。4分の5拍子は今まで味わったことのない拍子だったので、『これからやっていこう!』と…ワクワクしています」と木村達成。「歌稽古をさせていただいて、皆さん、譜面を見て『ここ、こうなんだね』って…個人的には、まず、譜面が読めない…でも僕なりの経験、感情に寄り添って、一緒に作っていくという感覚、すごく楽しみです」と須賀健太。「歌稽古はすごく楽しくって」と安蘭けい、元宝塚歌劇団トップスター、”歌劇”、歌は得意。「聴いたらすごく心地よくなる、スペイン、『血の婚礼』っていう、この曲調で、みんなで一生懸命、譜面が読めなくても、聴いて体の中に染み込ませれば、とても気持ちよく歌える曲だなと。そのやりとりがすごく楽しかったです。何回も何回も!(ここで「スパルタでしたね」の声が出て一同、笑)そういうやり方するんだって」そこで演出の杉原から「各々だとよく、一人ずつ別の方向に走っちゃう時があるので、ああいうタイミングでみんなで歌稽古できて…まず一回ね」と補足説明。さらに「高校の時の学校行事のとき、『お願いします!』って」、そこで早見あかりが「体育会系で好きだな(笑)」と。ここでまた一同、笑い。ここで時間となり、和気藹々とした会見はここでお開きとなった。
概要
舞台『血の婚礼』
東京:2022年9月15日(木)~10月2日(日) Bunkamuraシアターコクーン
主催・企画制作:ホリプロ
大阪:2022年10月15日(土)~16日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
主催:梅田芸術劇場
スタッフ
原作:フェデリコ・ガルシーア・ロルカ
翻訳:田尻陽一
演出:杉原邦生
音楽:角銅真実、古川麦
美術:トラフ建築設計事務所/照明:齋藤茂男/
音響:稲住祐平(エス・シー・アライアンス)/衣裳:早川すみれ(KiKi inc)/
ヘアメイク:国府田圭/振付:長谷川風立子(プロジェクト大山)/
殺陣:六本木康弘/演出助手:河合範子/舞台監督:足立充章
キャスト
木村達成
須賀健太
早見あかり
南沢奈央
吉見一豊、内田淳子、大西多摩恵、出口稚子、皆藤空良、
安蘭けい
演奏
古川麦、HAMA、巌裕美子