ミュージカル『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』が2023年2月に日生劇場にて上演される。
2018年、米演劇界の最高名誉であるトニー賞で、ノミネートされた11部門のうち、作品賞を含む10部門を独占。
本作は大規模で派手な趣向のある作品ではないものの、イスラエルに演奏旅行に来たエジプトの音楽隊が道に迷い、 言葉も文化も異なる中、地元のイスラエル人とぎこちなくも心を通わせていく一晩の様子を描くシンプルな物語の中に流れる、抒情的な空気と独創的な音楽は、得も言われぬ魅力を放つ。
演出を手掛けるのは、第21回読売演劇大賞・最優秀演出家賞、第47回菊田一夫演劇賞を受賞した森新太郎。古典から現代劇、近年では『パレード』や『ピーター・パン』とミュージカルの演出も務めており、第30回読売演劇大賞の2022年上半期に於いては、舞台『冬のライオン』『奇跡の人』で演出家賞にノミネートされている。
アレクサンドリア警察音楽隊を率いる誇り高い楽隊長、主演のトゥフィーク役には風間杜夫。迷子の警察音楽隊を気前よく助ける、食堂の女主人には濱田めぐみ。カーレド役に新納慎也。電話男役にこがけん。他多くの実力派俳優陣、また実際に舞台上にも上がり警察音楽隊として出演し、中東の音楽を表現する豪華ミュージシャン陣が集結。
公演に先駆けて製作発表会が都内某所で執り行われた。
会見の前にミュージカルの一部と楽曲を披露。衣装着用、まずはこの物語の発端、自力で目的地に行こうと思うがよく似た名称の全く違うところへ行ってしまう音楽隊。風間杜夫と新納慎也が登場、そして間違った方向へ。
それから、新納慎也の歌唱、その後は濱田めぐみ、実はこの製作発表会に幸運な観覧当選の一般の方々も。
Overture
舞台上にトゥフィーク（風間杜夫）とカーレド（新納慎也）、電話をかける、目的地を確認するために。ところがカレードが聞き間違えたのか、案内係が聞き間違えたのか、一文字違いのベイト・ハティクヴァへ。
Haled’s Song About Love
おしゃれな楽曲、新納慎也が熱唱。
Omar Sharif
トゥフィーク（風間杜夫）と食堂の女主人（濱田めぐみ）のやりとりの後、歌唱。聞き惚れるトゥフィーク。
皆、聞き惚れ、終わった後は拍手。その後、会見が行われた。登壇したのは、風間杜夫、濱田めぐみ、新納慎也、森新太郎(演出)。
作品について、森新太郎は「映画版もミュージカル版も拝見しました。劇中の”大したことなかった”、このフレーズが重要なんです。大したことじゃないことが重要。第三者にとってはちっぽけなことでも当事者は大したこと。音楽の力…日常生活で待ち望んでいること…夢物語かもしれない、癒しに満ちたミュージカルです」
それから出演の経緯と意気込み
風間杜夫「数年前にミュージカルに挑戦（ミュージカル「リトル・ナイト・ミュージック」）、初めてのミュージカル、歌わなくていいと言われたのですが…騙されて（一同、大笑）、難解な曲で命を削る思い、死ぬ思いでした、もう2度とやらない、できない。今回も歌わなくていい、踊らなくてもいいと言われて出演を…濵田さんとのデュエット１曲、この１曲に魂を込めて、力の限りを（一同、大笑）。映画版もミュージカル版も観ました。大した出来事は起きないのですが、心が温かくなる。責任の重さをヒシヒシと感じています」
濱田めぐみ「風間先輩についていきます！’18年のトニー賞、びっくりしました。映画も拝見しまして、何をお届けするのか、何が喜ばれるのか、大切なギフトとして。『何もないことが素敵なことで大切なこと』、自然に素朴に素直に情熱的に！今時の言葉だと、エモいっていうんでしょうか…」
新納慎也「NYで観まして、あまりの素晴らしさに出させてくださいとプロデューサーさんに…このカーレド役を…ところが、別のプロデューサーさんからオファーが来まして。最初のプロデューサーさんは忘れていたそうで（一同、大笑）、この役は僕しかできない！繊細で何も起こらず、じわ〜っと。観終わった後、ハドソン川を１時間かけて歩いて帰りました。こんな平たい言葉でしか言えない、観にきてください！」
それから、今回出席するはずだったこがけんはお笑いユニット・おいでやすこがの相方であるおいでやす小田がコロナ陽性だったため、大事をとって欠席。メッセージが読み上げられた。
「（会見に参加できなくて）残念。映画観まして、ほっこりするいい話。これ、ミュージカルでやるの？！トニー賞10冠、youtubeで観て感動。みなさんの胸をお借りして！」
それから、予め、お客様から集めた質問から抜粋しての質問。
Q:行ってみたいところ
風間杜夫「パラオにもう一回行きたい。後は映画『カサブランカ』の場所（俗にいうゆかりの地）」
濱田めぐみ「NYでお芝居三昧、１日中、ミュージカルだけを観たい」
新納慎也「今まで1年に1回はNYに行って3〜4週間滞在してたのですが、コロナで行けなくなってすごいストレス！」
Q:演じる登場人物と似ているところ
新納慎也「遊び人の男ですが、僕は絵を描いたような真面目な男です（一同、大笑）」
風間杜夫「私は聞き上手です。誠実に耳を傾けます、そういうところが似ています」
濱田めぐみ「いろんなところに物おじしないでチャレンジするところ。でも（自分の人生と）彼女の人生とはかなり、違います」
また、演出についての質問で森新太郎は「舞台セットは異なるかと…具体的には言えませんが、今、予算を折衝しています（一同、大笑）」そして音楽的な魅力については「アラブ、イスラエルのメロディー、伝統音楽、この伝統音楽に携わっている人が実はジャズを愛していたり」と森新太郎。
風間杜夫が歌う曲はアラビア語！それについて「まだ、稽古には入っていませんが、アラビア語だから、間違っているかどうかもわからない（一同、大笑）」。濵田めぐみも「独特なオリエンタルな世界観、全て中東の音楽…ここで歌ってもかなり不思議な世界観ですね」、新納真也は「日本人には合うと思う、ヒーリング効果があるような気がします」と語る。
最後に森新太郎が作品アピール。
「砂漠のど真ん中、たまにはゆったりとした空間を、そういう時間になったら」と締めて会見は終了した。
公演概要
ミュージカル『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』
日程・会場
東京：2023年2月7日(火)～2月23日(木祝) 日生劇場
大阪：2023年3月6日（月）～8日（水） 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
問合：06-6377-3888（10:00~18:00）https://www.umegei.com/schedule/1079/
愛知：2023年3月中旬 刈谷市総合文化センター大ホール
問合：052-331-9966（平日10：00～18：00）
キャスト
風間杜夫：トゥフィーク（指揮者）
濱田めぐみ：ディナ
新納慎也：カーレド（トランペット）
矢崎 広：イツィク
渡辺大輔：サミー
永田崇人：パピ
エリアンナ：イリス
青柳塁斗：ツェルゲル
中平良夫：シモン（クラリネット）
こがけん：電話男
岸 祐二：アヴラム
辰巳智秋：警備員
山崎 薫：ジュリア
高田実那：アナ
友部柚里：サミーの妻
太田惠資：カマール（バイオリン）
梅津和時：警察音楽隊（マルチリード）
星 衛：警察音楽隊（チェロ）
常味裕司：警察音楽隊（ウード）
立岩潤三：警察音楽隊（ダルブッカ）
スタッフ
原作：エラン・コリリンによる映画脚本
音楽・作詞：デヴィッド・ヤズベック
台本：イタマール・モーゼス
翻訳：常田景子
訳詞：高橋亜子
演出：森 新太郎
