R.オリヴィエ賞受賞の演出家ウィル・タケット×初舞台・寛一郎のタッグ
外界と遮断されたまま成長した謎多き孤児“カスパー”の物語。
ノーベル文学賞ほか、数々の文学賞を受賞するペーター・ハントケの衝撃作初主演の寛一郎が挑む。
幼少期より暗い牢のような場所に約16年間監禁され、発見された当時は一つの文章しか話せなかったと言わ れる実在したドイツ人孤児、カスパー・ハウザー。彼を題材とするペーター・ハントケの初期の戯曲作品『カスパー』 を、これが初舞台となる寛一郎を主演に、来春3月に上演。
日本でも大ヒットを記録したヴィム・ヴェンダース監督作 『ベルリン・天使の詩』の脚本家としても知られ、2019年のノ ーベル文学賞受賞作家であるペーター・ハントケが、19世 紀はじめに実在した謎多きドイツ人孤児のカスパー・ハウザ ーを題材に描いた問題作『カスパー』。興味深い彼個人の 史実を描くのではなく、「ことば」を知ることによって社会にと らわれていく一人の青年として描き、個人と社会、そして教 育とは何かについて現代に突き付けてくるペーター・ハント ケの初期の戯曲です。この衝撃的な作品を、来年3月東京 芸術劇場シアターイーストにて上演する。
主人公カスパーには、映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、『菊と ギロチン』などで数々の賞を受賞し、現在放送中の NHK 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に源実朝を暗殺する公暁役 で出演した俳優の寛一郎。寛一郎は本作が初舞台にして初主演での挑戦。
そして演出には、渡辺謙主演の舞台『ピサロ』やアダム・ クーパー主演の『兵士の物語』などで日本でも人気の英国人演出家、ウィル・タケット。バレエからオペラ、演劇と 様々なジャンルの演出を手がける彼が、外界との接触、他 人との接触がまったくなかったカスパーが保護され、「ことば」 の意味を知り、文明社会に突然放り込まれていく中、カスパ ーは何と出会い、どこへ向かい、そして何を手に入れ、何を失うのかを、身体表現を駆使した演出で作り上げていく。
言葉を通じて他者との関係性をかたち作り、社会生活を営むことが当たり前の人間世界にあって、その根本から考えさせられる本作。この戯曲が描くテーマに惹かれて舞台に初挑戦することにしたと話す寛一郎。
<コメント>
まず台本が非常に興味深く、そして面白かったです。作家が描いている「言葉」というものの認識の深さ、それを 反芻して、言語から身の回りの事象を捉えていくという、作家の視点がとても印象深い作品だと思い、この題材を、 この作品を演ってみたい、と純粋に思いました。舞台に立つことはこの台本と出会うまで全く考えていませんでし たが、とにかくこの作品を演ってみたいと思いました。まず作品があって、それが舞台のための戯曲だったというこ とです。初めて舞台で演じるにしてはハードルが高い作品かもしれないので、楽しみであると同時に、もちろん不 安も感じています(笑)。そしてこの作品との出会いはこれまで生きてきた自分の人生を省みることになるかもしれま せん。数希な運命を生きたカスパー・ハウザーという人物をもともとご存じの方、またそうでない方にも楽しめる作品にしたいと思いますので、ぜひご来場ください。よろしくお願いいたします。
ストーリー
ぼくは そういうような まえ に べつじん だった こと が
ある よう な ひと に なりたい
I want to be a person like somebody else was once.
突然我々の世界に、あるいは時代へ送り込まれてしまった一人の人間。 姿は人間と同じ。たった一つのことば(音)。
「僕はそういうような、前に別人だったことがあるような人になりたい。」
を繰り返すだけ。これがこの舞台『カスパー』の始まりです。 言葉を拷問のように浴びせられ、次第にコトバを言葉として認識し、言葉に意味があることを知る。
そして社会で生きていくための言葉やルールを教え込まれ、調教されていく。 「ことば」が次第に「意味」を持ちはじめ、そこに意思が芽生えた時、 カスパーは何と出会い、どこへ向かい、そして何を手に入れ、何を失うのか。 そして「カスパー」とは何者なのか、いったい何なのか・・・。
立つ・歩く・座る・言葉を使う・・・。 我々が「社会」で生きるために身につけたスキル。 我々は自由に自らの意志と選択でこのスキルを使い、社会で暮らしている。 しかし、もしも「言葉」が我々を操作するために「調教」されたものだとしたら・・・。
寺山修司が『ゴドーを待ちながら』と並んで、「20世紀に書かれた最も重要な作品」と評した、 ノーベル文学賞受賞作家ペーター・ハントケによる問題作『カスパー』、 人間の存在の根本を問いただす衝撃作を上演します。
概要
『カスパー』
作:ペーター・ハントケ
訳 池田信雄
演出:ウィル・タケット
出演:寛一郎 ほか
日程:2023年3月19日(日)〜3月31日(金) 2023年1月中旬
会場:東京芸術劇場シアターイースト
企画製作:TSP
公式サイト:https://tspnet.co.jp
問い合わせ:contact@tspnet.co.jp